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油断大敵ー1



「なるほど、理解しました。それで、エディ様としては、上級解毒ポーションはどの程度必要だとお考えですか?」


俺は今、学校帰りに中央ギルドに寄っていた。昨日トーカスが仕入れてきた情報をもとに、こちらからも正式に解毒ポーションを追加で用意してもらえるよう依頼をする為だ。

決して、ギルドに来れば、テイムされた魔獣達をワンチャン見れたりするんじゃないかな、なんて思ったからでは、断じてない。


「うーん、そうだな……討伐訓練に参加予定の生徒の数はざっと50人程度だと思うから、念のため、それぞれで各50くらいあれば大丈夫だと思うんだが、どうかな?全員が使わないといけないような事態にはならないと流石に思うし……」


ギルドに到着した俺は、依頼をするために受付カウンターへと向かった。元々、今日はアオに事前に会う約束を取り付けていたわけではなかったし、そもそも、ポーションの追加手配については、シエラにお願いして対応してもらおうと思っていたからだ。

だが、想定外なことに、今日はシエラは受付業務を行っておらず、しかも、受付を担当した人間が俺がボルトン家の人間であることを知っていたため、代わりにギルドマスター(アオ)の部屋へと案内される、という事態になってしまったのだった。

別にアオに会うのが嫌だとか、そういうわけではない。

単純に、俺みたいなうっかり爵位だけは高い家の人間が直接来てしまったがために、ギルドマスターなんて忙しい人間を、態々、仕事をしている手を止めて対応させてしまっていることが申し訳なかったのだ。


だが、せっかく部屋まで通してもらったわけだし、今回のポーションを用意してもらうことになった経緯を説明するのであれば、正直、シエラがいない今、彼に話を通すのが一番手っ取り早いことは間違いないので、それはそれでまぁ、結果オーライと思い、さっそく来訪の理由と、ポーションを手配してほしい旨を伝えているところだった。


「確か、バジリスクの毒は、個体によっては通常の解毒ポーションでは対応ができない場合があるんだよな?」


一般的に使用される解毒ポーションと上級解毒ポーションでは、値段が10倍以上差がある為、解毒ポーションで問題がないのであればそちらを使用したい、というところが本音である。だが、バジリスクの毒は個体ごとに差が激しく、場合によっては数分で死に至るほどの猛毒である場合がある、と、図書室に置いてあった図鑑に書いてあった為、念のため、アオに認識に相違がないかを確認する。


「はい、その認識で間違いありません。通常の解毒ポーションも一応同数用意するようにしますが、万が一、本当のその情報の通りであれば、バジリスクの毒は上級の方が確実ですから」


「人命には代えられないからな……そこは仕方がない」


学園長に追加予算を組んでもらうよう話をしたら、物凄く嫌な顔をされたのを思い出す。

まぁ、ぶっちゃけ、情報源が生徒が言ってただけってところで納得が全くできなかったんだろうが、しょうがない。何せ今回の討伐訓練には殿下が同行するのだ。しかも、色々と()()()()()まで出回っている状況。

バジリスクがいなかったとしても何かあったときの対策として、ポーションは持っておくべきだろう。


俺がそう言うと、アオはにこりと笑ってわかりました、と頷いた。


「書類は後ほど作成次第、ミュシカよりお渡しします」


アオが言うと、その後ろに控えていたミュシカが小さく頭を下げた。

……この人、いつも全然表情が変わらないけど、仕事はできる人って感じがすっごいするんだよなー。


「助かるよ……忙しいところ、こんなイレギュラー対応までさせてしまって申し訳ない」


俺がぺこりと頭を下げると、アオはふふっと笑って、気にしなくて大丈夫ですよ、と答えた。


「……エディってさ、ほんと、貴族っぽくねーのな」


「貴族っぽくないって失礼だな」


膝に鎮座してゆらゆらと体を揺らしていたトーカスが突然ちゃちゃを入れてきたので、俺は思わずムッとした顔になる。

なんだよ、さっきまで話がつまらないとか言って、うつらうつらしてたくせに。


「いやいや、その顔とかもそうだろ。普通貴族っていえば、アオみたいにニコニコ笑ってるけど、腹の中じゃ何考えてるかわからねー、常にお互い腹の探り合いをやってますって感じじゃん?でも、お前はそうやってすぐに顔に思ってることが出るだろ」


トーカスの言葉に、俺は思わず片頬をひくつかせる。


「……お前、大概失礼だな」


「ほら、そうやってすぐ思ったことも口にする」


トーカスがまるで肩を竦めるかのような動きをして見せ言ってきたので、エディは思わず口に手を当てて表情を隠そうとした。


「まぁ別に、そこがお前のいいところだと、俺は思うし、だから、一緒にもいるんだけどな」


「トーカス……」


「……二人の世界を作るなら、よそでやってもらっていいですか?ていうか、家に帰ってからやってください」


突然入り口から聞こえてきた声に、俺はハッと我に戻った。

視線を声の方に移すと、そこにはシエラの姿があった。

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