新人冒険者-6
「シエラねーちゃん!見てみて、すっげーたくさん狩れたぜ!」
日が傾いてきて、外が赤くなってきたころ。バタバタと子供たちがギルドの中に走って入ってきた。
「こら!ギルドの中じゃ走っちゃダメだって、いつも言ってるでしょう!」
シエラがしかると、ごめんごめん、とターナーが苦笑いした。
「それよりほら!見てくれよ。こんなに狩ってきたぜ!」
カウンターに討伐証明部位であるしっぽが詰められた麻袋をぼん、と置く。
「わぁ、すごいじゃない!ちょっと待ってね、数を数えるから」
そういって袋からしっぽを出すと、シエラはその数を数えていく。
「すごい、この短い時間で合計37匹も倒してるじゃない!」
「へへ、だろ?なぁなぁ、これ、今日の報酬はどうなるんだ?」
目をキラキラと輝かせる子供たちに、シエラは苦笑しながら、少し待ってね、と依頼書を取り出す。
「討伐依頼はラージマウスを5匹だったから、まずは達成報酬として銅貨30枚ね。それと、5匹以上討伐した場合は、追加報酬として、1匹あたり銅貨5枚だから、追加報酬分が銅貨160枚。合計で、銅貨190枚分だから、今日は銀貨1枚と銅貨90枚が報酬になります」
『やったぁー!!』
はじめて、依頼の報酬が銀貨1枚を超えた嬉しさに、子供たちは大はしゃぎする。
「5人で報酬はわけるよね?どうする、全部銅貨で渡したほうがいいかな?」
シエラが聞くと、ターナーは頷いた。
「うん!それでお願い!」
「わかった、それじゃちょっと用意してくるから、待っててね」
にっこりと笑うシエラに、ターナーたちは嬉しそうにうん、と頷いた。
「どうなることかと思ったけど、ちゃんと早めに戻ってきたし。何より、思ってたよりたくさん狩れたみたいだし。罠がうまくいったのかな?」
少年冒険者たちが無事に帰ってこれたことと、しっかりと依頼を達成できたことに、シエラは嬉しくなる。
「はい、それじゃこれ、数えてくれるかな?」
彼らの目の前に、銅貨を10枚ずつにした束を、19本置く。
「うん、大丈夫!ありがとう!」
ターナーが言うと、シエラは、受領書にサインをさせて、それを回収する。
「それじゃ、今日はお疲れ様。ゆっくり休んで、また、頑張って依頼を受けにきてね」
シエラが言うと、彼らは大きく頷き、はしゃぎながらギルドを出て行った。
「杞憂だったね」
ルーの言葉に、そうだね、とシエラは笑った。




