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今日も安定の残業です-2
至ってごく普通の、小さな村のとある夫婦のもとで、シエラは誕生した。
ごく普通の村人である両親のもとで特にこれといった問題もなく、すくすくと育っていった彼女は、小さな村の学校を卒業し、働き口として紹介された、村から少し離れた町にある、小さなギルドで受付嬢となった。
元々、町自体がそこまで大きなわけではないので、もちろんギルドでの毎日の仕事も、のんびりとしたもので、このままゆったりと仕事をしながら、ほどほどのお給料をもらって、のんびりと暮らしていけるものだと思っていた。
だが。
ある日、モルトの各ギルドの職員があまりにも不足している、という理由で、国中の中規模以下のギルドから、職員が集められることが決まった。
そして。
不運にも、モルトのいずれかのギルドへの異動者として、私は選ばれてしまった。
理由は単純明快。
彼女が一番下っ端で。
(もちろん)独り身で。
転勤を伴っても何ら問題がない。
そんな人物はシエラしかいなかったからだ。