スキルの取得
その後、特に魔物の襲撃を受けることなく、無事、一夜を過ごしたシエラ達は、手早く朝食を取った後、再び調査へと戻った。
「今日はスキルの取得もしないとだな」
トーカスがシエラの前をトテトテと歩きながら言う。
「うーん、まぁ、そうなんだけど…」
昨日の意気込みと打って変わって、歯切れの悪い反応を見せるシエラに、トーカスはどうかしたのか、と首を傾げて聞く。
「いやぁ…そもそも私、回復魔法しか使えないし、魔法の使い方がちょっとよくわかってないっていうか…」
「え!?」
トーカスが驚く。
「攻撃系の魔法は?」
「一切使えないよ?そもそも、使えるなら、火をおこすのに態々道具なんて使わないって…」
シエラがため息交じりに答えると、トーカスがそういえば、と、これまでにシエラが魔法を使って攻撃をしているところを見たことがないことに気付いた。
「…なんだろう、俺、てっきりシエラはSランクの冒険者と同じくらいに思って」
「ちょっとやめてくれる!?そんなわけないでしょ!?」
ただのしがない受付嬢だと毎日あれだけ言っているというのに、とんでもないこと言ってきやがったぜこいつ、という表情でトーカスを見た。
「ま、まぁ、とにかく。まずは定番のスライムを探そうぜ」
トーカスがあからさまに話題を変えてきたのに、若干むすっとした顔をするも、あのままあの話題を続けたいとも思っていなかったので、そうだね、とシエラは頷き、ポチと一緒にスライムを探し始めた。
*****
「…テイムってほんと、どうやったらいいの」
もうかれこれ何度目になるかわからない、スライムとの遭遇。
目の前の少し青みがかった透明なゼリーっぽい塊は、さっきからプルプルと小刻みに揺れている。
「私の仲間にならない?」
とりあえず、今までのスライムと同じように話しかけてみる。
だが、スライムはその場で相変わらず小刻みに揺れているだけで、テイムは案の定できない。
「…なぁ、スライムに人の言葉って通じるのか?」
「う………」
ほぼ通じていないだろうな、と思いながら話し換えていたシエラは、そこを突っ込まれて顔を引きつらせながら、小さな声で、やっぱり?と呟いた。
「他にだって、どうしたらいいって言うのよ…。あ、そうだ、何か食べる?」
そう言って、シエラはマジックバックからマイスを1本取り出して、スライムの前に置いてみる。
「あ!俺の飯!」
「うっさい!1本くらいいいでしょ!」
だが、スライムは相変わらずプルプルしているだけで反応がない(ように見える)。
「マイスじゃないとか?えー、他って何が…」
そう言ってシエラは、マジックバックから他の野菜に各種お香等、色々と取り出して地面に置いていく。
「あ、おい、シエラ!あれ!」
「え?」
トーカスの言葉に、視線をマジックバックからスライムに移すと、スライムがスススっとお香の方へと移動し、その中の1つを自身の中に取り込み、シュワシュワっと音を立てて消化していった。
「え、まって、あれ、魔物よけのお香なんだけど!?」
魔物が魔物よけのお香を取り込むなんてどういうことだ!?とシエラは少し驚く。
「シエラ、テイムは!?」
トーカスに言われて、スライムを鑑定してみる。
名前:
種族:スライム
年齢:1歳
スキル:消化 Lv1
吸収 Lv1
固有スキル:擬態、液状化
テイム:シエラ
「て、テイムって出た!」
シエラが両手を上げて喜ぶ。
「おぉ、やったな!とりあえず、自分のスキルも確認しといたらどうだ?」
トーカスに言われて、シエラはそうだね!と頷いた。
名前:シエラ
種族:人族
スキル:鑑定 Lv10
真贋 Lv10
複写 Lv10
マッピング Lv9
千里眼 Lv5
索敵 Lv9
隠密 Lv5
解体 Lv3
テイム Lv5
意思疎通 Lv2
「な………!?」
思わぬスキル結果に、シエラは開いた口がふさがらなくなった。
(待って待って待って!?いやいや、確かに自分のスキルなんて最近全然確認してなかったけれども!いつの間にマッピングと索敵のスキルレベル上がったの!?ていうか、テイムのレベルが5ってどういうことよ!?私、これまでテイムスキル持ってなかったのに何で!?いきなり5とか、どういうこと!)
状況が理解できず、大きく目を見開いたままブツブツと何かを呟いているシエラ。
「ねぇねぇ、シエラー、どんな結果だったのー?」
「…………ん?」
急に声をかけられてハッと意識を現実へと戻すも、聞いたことの無い声にシエラは首を傾げた。
「え、トーカス?」
「ん?なんだ?」
一瞬、トーカスの声を聴き間違えたかと思ったが、明らかにさっきとは違う、いつも通りの聞きなれた声。
「シエラってば―」
やっぱり聞こえた!そう思った時だった。
ポチがシエラの足元にすり寄ってきていてキラキラとした視線を向けてきている。
「……え?ま、まさか…いまの、ポチ?」
「そうだよー!」
ポチが嬉しそうにそう言うと、そのままシエラの方へとジャンプして飛びついてきた。
「わわわ!」
急に飛んできたポチに思わず驚いてバランスを崩し、そのまま後ろへと倒れこむ。
「シエラ、やっとお話できるようになったねー!」
「ちょちょ、待って、どういうこと!?」
嬉しそうにペロペロとシエラの顔を舐めてくるポチを何とか引きはがして、じっとポチの顔を見つめる。ポチが、どうしたの?と首を傾げるのを見て、思わず、あれ?お話できるようになったのは別に良いんじゃないのかなぁ?とポチの頭をわしわしと撫でながら思い直す。
「ポチとお喋りできるようになったよ!」
今度はシエラが目をキラキラと輝かせてトーカスに言うと、テイムスキルを取得して、意思疎通のスキルも取得したからだろうな、と説明してくれた。
「意思疎通ってやっぱりめっちゃ便利だ!ね~ポチ~」
「うん!」
ポチとキャッキャと遊んでいると、トーカスが、それよりも、とシエラの頭を嘴でこつんとつついた。
「痛!ちょ、なにする」
「こいつにまずは名前を付けてやれよ」
体を起こしてトーカスが指した先を見ると、そこでは、先ほどテイムしたばかりのスライムがプルプルと震えていた。
「あ…」
正直、テイムスキルの取得の為だったので、そのままテイムし続けるつもりはシエラにはなかったのだが…
「う………」
テイム解除しようかな、と考えた瞬間。
用なしですか?
私は捨てられるのですか?
スライムなんて所詮そんなものですか?
とでも言っているかのように目の前のスライムから、悲壮感が漂っているように見えてきた為、
「……えぇと…では、プルプルで」
そう言ってスライムに名前を付けてやり、そのままテイムを続けることとなったのだった。
いつもお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字につきましても、適宜修正いたします。ご報告いただきありがとうございます。
無事にPCが戻ってまいりましたー!!
めっちゃ時間かかった…でも直ってよかったT T
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…え?言われなくても取ってるって?
デスヨネー…(PCのローカルに保存でバックアップ取ってるつもりになって、初期化して返ってきて泣いてるわてくち…涙)




