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騒ぎ‐1

街の入り口である門が見えてきたところで、何やら誰かが何かをしているのか、ざわざわと騒がしくしている声が聞こえてきた。


「おい、あれ」


とにかくシエラの元に急がないと、と思っていたターナー達だが、横を通り抜けようとしたのだが、その騒ぎの中心に、ターナー達を置いて逃げ出した男がいるのに気づき、思わずスミレに声をかける。

スミレも、ターナーの視線の先にいる男を見て、思わず目を大きく見張った。


「なんだ、知り合いか?」


一緒に戻ってきた冒険者の一人、ヘイデンが、二人の足が止まり、騒ぎの方を見ていたので、声をかけてきた。


「あ、いや、そういうわけじゃ」


「なら、とっとと中へ」


「ほんとなんだ、信じてくれよ!!」


移動するよう促そうとしたところで、男が叫ぶ声で遮られた。


「お、おい、落ち着けってセス!ここらでオークの目撃情報なんて全然出てなかっただろ?何かの見間違いだって」


「ほんとに出たんだよ!俺の仲間もみんなやられたんだ!早く、早く門を閉めろよ!追いかけてきてたらどうするんだ!」


男の言葉に、ターナーとスミレは顔を見合わせた。


「オーク…?確かにすごい雄叫びのようなものは聞こえてきたが…まさかほんとに、いたってのか…?」


隣で聞いていたヘイデンが思わず呟く。


「ヘイデンさん。そのこと、あそこにいる門番の人に伝えてあげたほうがいいかも!」


「俺たちは急いでいくところがあるから。スミレのこと、ありがとうな!」


「あ、おい!?」


ターナー達は急いでその場を駆け出す。

ちょうど当番だった門番は、ターナー達の知り合いのルーカスだったので、お帰り!と声をかけられただけで、ただいま、と二人が返すと、そのまま特に引き留められることもなく、門を潜り抜けていった。


*****


「シエラ姉ちゃん!いる!?」


ギルドに到着するや否や、大声で叫びながら中に入るターナー。

何事かと冒険者たちが一斉に彼の方を向いた。


「ど、どうしたの!?」


ちょうど戻ってきた冒険者の報告受付が終わったところだったシエラは、驚いた様子で慌ててターナー達のところへと駆け寄った。


「シエラさん、大変なんです!オークが…オークがいたんです!」


一瞬、スミレの言葉の意味が分からず、きょとんとした顔になるシエラ。


「呆けてる場合じゃねーって!今、師匠が一人でオークと戦ってるんだよ!」


ターナーの言葉に、彼らと一緒に居るはずのコーカスの姿がないことに気付き、シエラは思わず息をのんだ。


「二人とも、こっちに来て!」


シエラはカウンターへ二人を移動させると、急いで二人が向かっていた森の地図を取り出し、どのあたりで見たのか、覚えているかと確認をする。


「…た、たぶん、この辺りだと思う…」


街からどう移動していたかは目印をつけながら移動していたので、ある程度は覚えているのだが、地図上でそれがどのあたりになるのか、と言われてしまうと、二人は自信がなかった。


「わかった、ありがとう!後は任せて!二人は家に帰ってゆっくり休みなさい」


シエラはにっこりと笑ってそう言うと、カウンターに離席中の札をだし、棚に置いてあったベルを大きく三回鳴らした。


対応を行っていた受付嬢たちは、冒険者たちに少し急ぎの件が入ったので、後日、と断りを入れ、休憩中の受付嬢や、他の作業場にいた従業員たちが一斉に、会議室へと集まった。


「みんな、集まった?」


シエラが聞くと、何がったんだ?と聞く声がしたので、シエラはふぅ、と息を吐いて、ターナー達から伝えられた情報を、全員に聞こえるように、はっきりと声に出して伝えた。


「オークが現れました」


その言葉に、会議室の中は騒然となった。

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