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発見-1

先ほどの襲撃を受けてからは、スミレが索敵を行い、そのスミレをターナーが護りながらという各々の役割分担の元、二人は慎重に目的地へと進んでいた。


(ふむ。二人とも、筋は悪くない)


きちんと自分の言葉に耳を傾け、真剣に受け止め、そして努力する。

これまで何人かの冒険者に対して、マイスのために訓練を行ってきたコーカスだが、やはり、どこか魔獣だといって侮っている雰囲気の者がほとんどで、コーカスの訓練を繰り返し受ける人間は少なかった。


「ターナー君!右手から2頭、ラージマウスがきてます!」


「わかった!」


スミレの言葉に素早く手に持っていた武器と盾を構えて右手方向へと方向転換する。スミレも同じく、持っていた武器を構えて、索敵を続ける。


「あと少しで到着…きます!」


スミレの言葉と同時に、茂みからラージマウスが飛び出してきた。


「おりゃー!」

「やぁ!」


スミレとターナーは声を上げてラージマウスにそれぞれ切りかかる。


「「ぎゅー!!」」


ラージマウスは悲鳴を上げると、そのまま絶命した。


「やったな」

「うん!」


スミレとターナーの関係もかなり良くなったのではないか、とコーカスは二人の様子を見て思った。最初の頃は、ターナーはどこかスミレのことを下に見ている節があり、スミレはスミレで、ターナーに対してどこか遠慮のようなものを感じていた。


「解体、終わったか?」


「うん、あともう少しで…できた!」


「お、上手に皮が剥げてるじゃねーか」


「ほ、ほんと?やったぁ」


だが、少し前のコーカスの説教からは、二人ともお互いを対等に接するようになってきて、連携もスムーズに行えるようになってきているのがはっきりとわかるようになっていた。


「出発したころとは雲泥の差だな」


コーカスが苦笑しながら小さく呟く。


「んあ?なんか言ったか?」


「いや、何も」


ターナーに声をかけられて、コーカスはくすくすと笑いながら答えた。


「師匠、楽しそうですね」


スミレに言われて、コーカスはぴたりと笑うのを止めた。


「……師匠??」


急にどうしたのかと、スミレが呼ぶ。


「そう、か。そうだな。確かに、お前たちを教えるのは悪くない。…いや、楽しいと、感じているかもしれん」


マイスの為、と自分では思っていたのだが、スミレの一言で、思いの外、彼らを教えることが楽しいと、そう思っている自分がいることにコーカスは気づいた。


(人間と関りを持ってからというもの、日々が飽きることがないと思っていたが…そうか。楽しいと、そう思っていたからか)


「おーい、先に行くぜ?ほら、行こうぜ、スミレ」


「う、うん」


ターナーに背中を押されて、スミレは索敵を展開し、コーカスの様子を少し気にしつつ、また、歩き出した。


何度かの魔物たちとの戦闘を経て、陽も少し傾いてきたころだった。


「…ターナー君、止まって」


スミレはそう言ってターナーに声をかけると、立ち止まって索敵に集中する。

その様子に、ターナーは周囲を警戒する。


「…いた」


そう呟いたスミレの顔色が、少し悪いことに、ターナーは気づいた。


「あのね、引き返して、報告したほうがいいと思う」


「なんでか、理由を聞いてもいいか?」


スミレはこくりと頷いて、理由を説明した。


「あのね、ゴブリンがいたの。数は3体だと思う」


スミレの言葉の続きを、ターナーはじっと待つ。ゴブリンが3体いるだけならば、引き返して報告するか、討伐するかを自分に相談するはずだと、そう思ったからだ。


「…それと別に、ゴブリンより強いのが1体いる。何かはわからないんだけど…少なくとも、私もターナー君も、勝てない。どうにかできるような相手じゃ、ない」


スミレの言葉に、少し思案した後、ターナーはわかった、と頷いた。


「とりあえず、索敵だけの情報じゃ帰れねぇ。近づけるところまで行って、様子を探ってから帰るぞ」


ターナーの言葉に、スミレは頷いた。


「それなら、あそこ。あの大きな木なら、たぶん、見て確認することができると思う」


スミレは少し先に見える太い大木を指して言った。


「よし、ならここからは急いだほうがいいと思う。周囲に他に何かいるか?」


ターナーが聞くと、スミレはふるふると首を横に振った。


「よし、なら一気にあそこまで走って行くぞ!」


「うん」


二人は顔を見合わせて頷きあうと、大木目指して駆けて行った。

二人の行動内容に、まずまずだな、とコーカスは頷くと、気配を消して、二人の後を追う。


索敵通り、近くに魔物や魔獣はいなかったので、大木まで無事に二人は到着すると、そのままひょいひょいと身軽に大木を登って行き、ゴブリン達の姿が見える高さまですぐに到達した。


「…なぁ、あれ。ゴブリンと一緒にいるの。見たことあるか?」


ターナーが目を凝らしながらスミレに聞くと、スミレは首を横に振り、ない、と答えた。


「師匠、あれはなんですか?」


スミレがコーカスに聞くと、コーカスは短く、オークだ、と答えた。

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