新人冒険者-2
毎年、成人の儀の翌日の冒険者登録は通常とは異なる方法をとっている。
普段であれば、カウンターで受付をし、対応を行うのだが、この日は申込み希望者が殺到するため、別室の、普段、会議室として使っている部屋で登録専用作業を行うのだ。
その為、その場所にはもちろん、11・12歳の子供たち数十人が集合する。
「おねーさん!僕、冒険者になりたい!どうしたらいいの!?」
「いたーい!誰、私のこと今押したの!」
「なぁなぁ、登録ができたら、すぐに魔獣を狩りに行けるのか!?」
「ねー、トイレどこー?」
「これ、どこに持っていったらいいのー?」
「登録ってどこでできるの??」
はっきり言って、カオスである。
「はい!みんな静かに!」
シエラが大きな声で呼びかけると、子供たちは喋るのをやめて、シエラの方を見た。
「これから、ここで冒険者登録を行い、そのあと、初心者講習を合わせて行います」
初心者講習については、通常は任意となるが、成人の儀を受けたばかりの子供たちには、安全面を考慮し、講習の受講を必須としている。
「みんな、自分の名前は書けるよね?これからみんなに1枚ずつプレートを渡していくので、そこに自分の名前を書いてください」
そういって、一人一人に薄い1枚のプレートを渡していく。
これは、職業プレートと呼ばれるもので、どこに所属しているのかを証明する大事な証明書の役目も果たしてくれるものだ。ちなみに、冒険者の場合は、この薄いプレートに名前とランクが記載され、裏側に、賞罰が表示される仕組みになっている。
「これは、冒険者になる君たちにとって、今後大事なものになるので、なくしたり、壊したりしないように気を付けてください。名前が書けたら、私の所にきて下さい。ちゃんと並んでくださいね」
そういうと、名前を書き終わった子達が、シエラのもとへと殺到した。
「な・ら・ん・で・く・だ・さ・い・ね?」
シエラがもう一度言うと、子供たちは慌てて、一列に並んだ。




