表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/281

受付嬢のお仕事-5

「すみません、どうかされましたか?」


取り合えず、伝え聞いた状況でしかないため、まずはきちんと双方から話を聞く必要がある、と思ったシエラは、いつものようににっこりと笑って、冒険者たちに声をかけた。


「あ、シエラ姐さん…!」


少し泣きそうな顔でシエラを見てくるオーリに、シエラは大丈夫、とポンポン、と肩を叩いて微笑む。


「どうしたもこうしたもねーよ! このねーちゃんが、俺らが持ち込んだ素材がたったの銅貨20枚にしかならねーって言うから怒ってんだよ!」


カウンターに置かれている素材を見ると、そこにはキラキラとした輝きをを放っている大ぶりの魔石が4・5個置かれていた。

通常、魔石であれば、小ぶりのものでも1個で銅貨30枚、カウンターに置かれているくらいの親指サイズの魔石なら、銀貨1枚(=銅貨100枚)での買取が相場だ。


「このくらいのサイズなら、銀貨1枚はくだらねー、最低でも銀貨5枚はもらえるはずだろうが!」


冒険者の言ってくる相場は、そうおかしな相場ではない。適正値だ。

だが。


「オーリ、これが銅貨20枚になる理由を、ちゃんと伝えた?」


シエラがオーリに聞くと、オーリはすみません、とふるふると首を振った。


「お伝えしようとしたんですが、話を聞いてくれ」

「ふっざけてんじゃねーよ! なんでこれが銅貨20枚になるってんだ! 理由なんてあるわけねーだ

ろうが! ちゃんと鑑定もできないようなクソ受付嬢なんて、とっとと辞めさせちまえよ!」


男の言葉に、シエラはピクリ、と眉を上げた。


「…申し訳ございません、今、なんておっしゃいました?」


「何度でも言ってやるよ、そんなクソ受付嬢なんて…!? ひぃ!!」


シエラの顔を見て、思わず男は悲鳴を上げた。

にっこりと笑っているはずなのに、明らかに怒りのオーラを放っているシエラに、思わず男は後ずさった。


「…この魔石、どうやって入手されましたか? 何を倒して入手されましたか?」


じっと相手の男を見据えて、シエラが言う。


「オーリの鑑定はあなたなんかの足元にも及びませんよ?なんせ、この子、こう見えても鑑定スキルのレベルはすでに5に到達してますから」


「な!?」


補助系のスキルレベルは基本、MAXが10まで。オーリの鑑定スキルは、その半分の5に到達していた。これは、16歳の少女が持っているスキルとしては、かなり異例で、このスキルレベルがすでに5に到達していれば、ダンジョン由来の素材等、未知の素材でなければ、ほぼ問題なく対象を鑑定することができるのだ。

男はその事実に、思わず汗を流す。


「うちの受付嬢を舐めないでいただけますか? この魔石、そもそも、劣化がひどすぎて、含有魔素がほとんどありません。そのため、魔石としての使い道がほとんどないため、ただのクズ石同然です。ただし、サイズが大ぶりで元々が魔石だったので、その見た目から、宝石には劣りますが、アクセサリーの加工品としての需要が見込めるため、買取提示額が銅貨20枚になっているんです。そうよね、オーリ?」


オーリに聞くと、彼女はこくんと頷いた。


「正直なところ、表面にもいくつか傷が入っているので、加工の際にはそのあたりを削る必要があり、実際に使用できる範囲としては一回り近く小さくなるので、銅貨20枚がギリギリの買取価格になるかと…」


オーリの言葉に、男はふざけるな! と叫んだ。


「てめーら、さては俺らを騙そうとしてやがるな! 大体、魔石の含有魔素なんてわかるはずが」


「わかりますが、何か? 私の鑑定スキルはMAXの10ですよ?」


シエラの言葉に、男は絶句した。


「はい、これ。私のスキルボードです」


男に見えるように、ポケットに入れているスキルボードを提示して見せる。

そこには、鑑定:Lv 10 と出ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ