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いただきます

「おや?用意しておいた服はお気に召さなかったかい?」


お風呂から出ると、そのままメイドに案内されてクロード達の待つ食堂に到着した。

部屋の中に入ると、少し残念そうな表情のクロードが、聞いてきたので、シエラは小さく頭を下げて、いえ、と否定する。


「私には勿体ない代物でしたし、着るのは着慣れた物がやはり一番落ちつくので」


風呂から上がったとき、脱いで置いてあったはずの制服の姿がなくなっており、代わりに一枚のバスローブが置かれていた。シエラは何が起こっているのかと、とりあえずそのバスローブを身に着け、そっと部屋へと続くドアを開けたところ、メイドたちにキラキラフリフリのドレスに着替えさせられそうになったので、全力で拒否したのだった。


(たまたま、マジックバッグに昨日調査に行く前に入れておいた着替えが、こんなところで役に立った…片づけてなくて助かった)


あんな見るからに高級そうなドレスを身に着けようものなら、おちおち食事もできやしない。汚したりしようものなら、一体何年ただ働きをする羽目になるのか、と、考えて身震いする。


「この服装でご一緒すること、お許しいただければと思います」


お許しがいただけなければ、コーカス達を生贄に捧げて(さしだして)自分は帰ったらいいさ、なんてことを思っていたのだが、クロードは優しく微笑みながら、構わないよ、と頷いた。


「さ、シエラ様。どうぞ」


スティーブが椅子をひいてくれたので、シエラはありがとうございます、とお礼を言って、席に座る。と同時に、扉が開き、見慣れたコッカトリスの一団が部屋の中へと入ってきた。


「うまい飯が食えると聞いてきたんだが」


コーカスの、入ってきて開口一番の言葉に、シエラは頭を抱える。

そんなコーカスの様子に、クロードはくすくすと笑いながら、すぐに用意させるよ、と言って答えた。


シエラの横の空いたスペースに、コーカスたちがならんで座ると、エディがコーカスの所に駆け寄ってきて、声をかけた。


「コーカス!トーカス!久しぶりだな!元気にしてたか?」


ニコニコと笑顔のエディに、嬉しそうで何よりです、とスンとした表情でシエラは横から視線を送るに留めた。


「なんだ、エディ。お前まだいたのか?暇なのか?」


トーカスの言葉に、エディは思わずうぐ、と口ごもった。ハルとニュークは肩を震わせる。


「お前、公爵家の跡取りなんだろ?いいのか?いつまでもふらふらしてて」


トーカスの遠慮ない口撃に、エディはシュン、としながら、席へと戻っていく。今回は視察だし、とか、ふらふらしてるわけじゃないし、と、何やらブツブツ言っているのが聞こえたが、シエラは聞こえなかったふりをする。


「ちょっと、トーカス」


一応、小さな声でトーカスを窘めようとすると、トーカスは小首を傾げて、本当のことだろう?と言い放った。


(…いや、間違ってはないし、正直、私もそう、思うけれども!)


もう、これはかかわらない、の一択だわ、と決めたシエラは、諦めて何も言わないことにした。


「さぁ、皆そろったようだし、食事にしようか」


クロードの言葉と共に、それぞれの目の前に料理が置かれていく。コーカス達の所にも大量に山積みされた野菜が大皿で5つほど出てきていた。


「本当に、今日はありがとうございます」


シエラが頭を下げると、クロードは気にしないで、と笑って答えた。


(ほんとに、いい領主様よね)


クロード達が食べ始めたのを確認して、シエラも小さく、いただきます、と言って、目の前の食事に手を付けた。

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