大盤振る舞い-2
「我が主、この奥に続いていた道、および部屋については、殲滅が完了いたしました」
「うむ、ごくろ」
「喋った!?!?!?」
(この薄桃色、喋った。コーカスとトーカスのように喋った!?)
思わずコーカスが労いの言葉をかけようとしていたところに、シエラの叫び声がかぶさってしまった。
「あ、ごめん!どうぞ続けてクダサイ」
(たぶん)しらけた表情(をしている気がする)のコーカスと薄桃色がシエラを見つめているのに気づき、我に返ったシエラは、慌てて謝ると、残っている素材たちをマジックバックにせっせと詰める作業に戻った。
「まぁよい。ところで…ふむ、なるほど。意思疎通のスキル取得と、火魔法と土魔法を取得したのか」
コーカスはじっと薄桃色を見つめて言った。
「…マジで?」
手に持っていたマインアントの鎌を放り出して、薄桃色の所に駆け寄る。
鑑定スキルで薄桃色を鑑定したところ、確かに、火魔法初級と土魔法初級を取得済みと出てきた。
「…これって普通?」
シエラがコーカスに聞くと、コーカスは少し考えたのちに頭を縦に振った。
「まぁ、なくはない。まぁ、生まれた時が通常色だった個体の場合は、魔法なんかを覚えるのに時間がかかることが多いんだが…まぁ、だからと言って、取得ができない、というわけではないからな」
コーカスの言葉に、シエラは顔をひきつらせた。
(戻ったら、絶対に討伐推奨ランクのアップ申請を忘れずにしないと…もしくは、体毛によって推奨ランクを判断するようにしてもらわないと)
まだ見ぬ明日の残業確定に、シエラは一筋の涙を流しながら、そうなんだー、と返事をした。
「それで、この子は名前ってあるの?」
シエラが聞くと、いや、とコーカスは頭を横に振った。
「そもそも、名前というものは群れの長か、それに準ずるものくらいにしかついていないからな」
そういわれて、シエラはうーん、と唸った。
薄桃色、とはさすがに呼べないし、かといって、名前がないと行動を共にしているときにかなり不便だ。
「んー…ねぇ、名前って付けてもいい?」
シエラが聞くと、コーカスは目を見開いた。
「よいのか?」
「え?ダメなの?」
まさか聞き返されると思わなかったシエラは、思わずコーカスに再度聞き返す。
「いや、シエラがよい、というのであれば我等は問題ない」
コーカスがいうと、薄桃色が隣でこくりと頷いた。
「んー、それじゃ、薄桃色の体毛してるから、サクラでいいかな」
シエラが言うと、薄桃色は小さく頭を下げる。
「名付けていただき、感謝する」
サクラに言われて、シエラは、気にしないでー、と照れたように笑った。




