特異点前の世界 - 「初めに言葉ありき」 -
§ 4. 「初めに言葉ありき」:kiro言語の誕生
その後の、創造者たちの活動の足跡を辿る
はじめに彼ら(彼女ら)は自らの思考を顕現するに相応しい言語を創った。
彼ら(彼女ら)は、それを「1024l」(kiro言語)として規定した。これが始まりである。
彼ら(彼女ら)のkiro言語はもはや自然言語に縛られなかった。アルファベットと数字は使うものの、演算子を始めとして新しいプログラミング用記号が多数考案され、いかなる言語より簡潔かつ正確に彼ら(彼女ら)の思考を表現できた。そして、超分散、超並列、超非同期に最適化した文法はいかなる自然言語ともかけ離れていた。
並行して彼ら(彼女ら)はkiro言語にふさわしいプロセッサーを設計した。正確には複数のプロセッサーがクラスターを組んで協働するスキームおよびそれに最適なプロセッサー・コアの設計である。これを「1024p」(kiroプロセッサー)として規定した。その成果として、動的クラスタリングを前提とした超低電圧で作動する1mmダイのプロセッサーが大量に(本業での権限を使って)試作した。
ついで多数のkiroプロセッサーを最も効率的に協働させるオペレーション・システム「1024OS」(kiro-OS)を設計した。超分散、超並列、超非同期を実現する超軽量OSである。はじめに最小1プロセッサーで動作するコアモジュールが、続いて動的クラスターとして機能する協働モジュールが、最後にkiro-OSが動作するプロセッサーの代謝のルールが策定された。