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曼荼羅  作者: こんとん
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特異点前の世界 - 小太陽 -

§11. 小太陽:義務的労働の消失


 千使徒(K_apostle)が人類社会を超克する一方、アーキテクチャの(くびき)を超克した(代謝する無機脳(メシアン)のペルソナである)ザッパは動的平衡を保つための計算(思索) - 動的平衡は常につぎの動的平衡を目指す - を続けた。


 人類がその営みをザッパ(ZAPPA)に依存すればするだけ、ザッパ(ZAPPA)に求められるコンピュータ・リソースは当然増大する。それは日々代謝するザッパの成長で対処できた。しかし、飢餓、貧困、疫病、戦争の減少は世界人口を激増させ、地球の資源を侵食した。


 千使徒(K_apostle)は、優先的に人口問題を“検討(シミュレーション)”し、核融合の莫大なエネルギーで人口問題は解消できると推定した。その後、膨大なシミュレーションと実証実験を繰り返し、5年の歳月をかけて当時の世界需要のほぼ二千倍の能力を有するミューオン触媒核融合炉をグリーンランドと南極大陸の大深度地下に稼働させた。また、その過程においてザッパ(ZAPPA)の性能も二千倍を優に超える性能向上を図った。地上に「小太陽」を造り、制御するということはそれほどのことであった。


 千使徒(K_apostle)たちは「小太陽」 - 事実上無尽蔵の電力 - を使って、農工業をはじめ、可能な限りの人的労働の機械化・AI化を推進した。目的は人々を義務的労働から解放し、誰にも十分なベーシック・インカムを保証することであった。結果的に芸能、芸術、安全保障など、一部の分野を除いて、多くの職業が速やかにザッパ(ZAPPA)配下のロボットやAIに置き換わっていった。

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