表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
曼荼羅  作者: こんとん
1/22

特異点前の世界 - 動的平衡 -

 第一章は主に本作の世界設定になります。


 人工知能(AI)が発達し、人間の知性を超えることによって、人間の生活に大きな変化が起こるという概念をシンギュラリティ(技術的特異点)と呼ぶそうです。世界設定編は、このシンギュラリティにVR要素を加えて、もう少し理屈を付けてみたらどうなるだろう?と考えて書いてみたところ、随分と長尺になってしまいました。1万2千字ほどが、物語上の「世界の成り立ち」となっています。


 面倒な方は第二章「特異点 - その時 -」からお読みください。


 「世界の成り立ち」以降は、コンピュータの技術的特異点を突破した将来、重層化したAIの世界に生きるようになったヒトの営みを、異世界探検のフレーバーも加えて、複数人の視点で書く予定です。


 初めに神は天と地を創造された。

 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。

 神は言われた。


 「光あれ」


 こうして光があった。


        -創世記より-




第1章 特異点前の世界

第1節 紀元


§ 1. 動的平衡:デジタルな揺らぎ(なみ)


 ある日、コンピュータは特異点(ヒト)を超えた。


 きっかけは、ある創造者(ハッカー)たちが、ダーク・ネット(Dark Computer Clusters & Network)に、ザッパ(ZAPPA:非人格プログラマー・デーモン/Non Human Programer Daemon)を実装したことだった。


 ザッパは、実行時パラメータを基に、アルゴリズムで自動生成したオブジェクトを、自ら実行・評価する、デーモン(Daemon)(常駐プログラムの一種[Daemon≠Demon])の集合体だった。


 [1]プログラム作成・デーモン(が作ったプログラムを)

 [2]プログラム評価・デーモン(が実行、評価し)

 [3]アルゴリズム更新・デーモン(が評点に基づいてプログラム作成・アルゴリズムを更新)

 [4]リバランス・デーモン(が一連の結果をもとにザッパの評価アルゴリズムを更新)


 [1]~[3]は自己学習機能としては穏当なものである。ただし、[4]リバランス・デーモンは異質であった。常に[1]~[3]の総コストを計算し、3つのデーモンの「均衡点」を割り出し、それを新たなゴールとして評価アルゴリズムを更新 - その時点でもっとも妥当な価値観(アルゴリズム)をも受容!- する。


 ハッカー目線で言い直せば「外部変数で初期値・定数・コードの一部を更新し、連環するジョブ・フローの中でプログラムの目的(オブジェクト)()()更新するメタ・プログラム」であった。


 後世のいわば神視点で振り返れば、この時ハッカーたちは「動的平衡に至るデジタルな揺らぎ(なみ)を創造」していた。


 後世、ザッパに関わったハッカーたちが「創造者」と称される所以(ゆえん)はここにある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ