理之書『天真』
『天真』の【ウェネーウム】について
彼女は遠い昔、創生代の頃より存在する七人の―閲覧不可能―の中、彼女は“天真”の任を賜り、第一世代に“天真”たることを教えた。
己の力を別ち、自身の分身ともいえる【アラクネ】と【ピュトン】を生み出した。
第一世代にただ“美徳”を教えるだけでは、それは本当の―閲覧不可能―とは言えない。そのために、【ウェネーウム】を含む―閲覧不可能―達は自らの手で己の内に“大罪”を背負った。
“大罪”の力を行使するたびに、己が内の悪魔は大きくなり、ついにはその身を喰われることとなる。
自らを蝕むその悪魔に【ウェネーウム】は最後まで抗い続けたが、ついにそれも叶わなくなった。
体は蝕まれ、下半身は大蠍となり、その痛みと苦しみ、醜さから連日涙を流し続け、それでも耐えようと気を強く持った。
ついには己の心さえも蝕み、自我を保てなくなる前に恋仲であった同じ―閲覧不可能―の一人、五輪之介と、己の半身ともいえる【アラクネ】と【ピュトン】に自分の封印を頼み、万が一にも間違いが起こらぬよう人が滅多に通らない砂漠の果て、【イラーフ飛泉】で眠りについた。
最後の瞬間まで願い続けたのは人々が純粋でいられるようにと。
本当はもっと貴方と一緒に居たかったと。
この身が【導き手】を成長させるカギとなり、―閲覧不可能―が成功するならば、と。
純粋無垢な少女はそう願い続けた。
これ以降の文字は掠れており、読むことが出来ない。