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Case.1-5
カチコチと一定のリズムを刻むアンティーク調の振り子時計とテーブルの上に置いた白い砂が入った砂時計をそれぞれ見比べながら男と取引をしていた店員はゆったりとコーヒーを飲んでいた。
やがて0時を告げる振り子時計の音と共に砂時計もちょうど落ち切る。そして白かった砂が次第に赤く染まっていくのを見てため息をつく。
「やはりこうなりますよね」
カップをソーサーに置くと砂が真っ赤になった砂時計を手に取った。
「あの男性が担保にしたのは『残りの寿命』でしたから念を押しましたが……」
そう呟いて店員は砂時計とカップ一式を持つと奥に続く扉を開き、長く続く廊下を歩いて古めかしい扉をくぐる。その部屋には大小さまざまな大きさの真っ赤な砂時計がずらりと並べられていた。
人によってはそれらを狂気じみているように思うかもしれない。
店員がそれらの一つに新たに砂時計を加える。その表情に感情はなかった。
「欲望に際限はないと言いますが……上手い話には裏がある、と疑うべきですね。まぁ、ここでは無意味なことでしょうが」
店員は肩をすくめると振り向きもせずに部屋を出て扉を閉める。暗闇に包まれた部屋は砂時計の赤い砂がぼんやりと赤い光を放っていた。




