Case.1-2
店の中はやはりどこをどう見ても雰囲気の良いレトロな喫茶店にか思えなかった。しいて違いを挙げるなら一つのテーブルと二つの椅子しかないのが目につくくらいか。男が着席したのを見届けた店員は、一度店の奥へと消えたが数分もしないうちに一人用の珈琲と書類らしき数枚の紙を持って対面した。
「それではご説明させていただきます。表の看板に表記されている通りウチの店はお客様から担保を先にいただきまして、それの価値によってお借入できる額が決まります。通常ですと利息が発生するところですがウチでは一切いただいておりませんし、返済も借りた日から90日……約3ヶ月後から振り込みによる手数料だけはお客様が負担していただきますが、最低額が千円からの返済となっております。もし万が一、支払いが滞った場合ですが最後の返済から3ヶ月過ぎた時点で支払いを放棄するという意志とみなしまして、担保にいれたモノの権利が失効しますのでご了承ください。……ああ、これが今話した内容が書かれている書類ですのでお確かめください」
男はそれを聞いて目を見開いて提示された書面を見つめる。一字一句、漏れがないように何度も確かめたが店員が言った以上の条件は書いてない。信じられないがあまりにも都合がいいそれに男はすがるように店員に詰め寄る。
「た、例えばどんなものが担保になる?」
「そうですね……わかりやすく言うならウチは質屋に近いので、提示していただいたモノの価値をその場で査定してお客様にお伝えしています。貴方の腕時計なら頑張って2万……という感じですね」
男の腕時計は一応はブランド物にあたるのだが、使い古している以上はそんなものだろうと納得した。男は息を飲むと恐る恐るといった様子で店員に問う。
「もっと借入はできないのか?」
そう問われた店員は何かを考え込むように目を閉じた。それはほんの数十秒に過ぎないのだろうが男にとってはやけに長い時間のような錯覚に陥る。店員が目を開け静かに告げた。




