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【プロローグ】世界の半分を君にあげる。

誤字脱字

言葉の使い方がおかしい

――――――――――――――――――――――――――

↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑

見つけたら、ご報告ください。

『どうもどうも~』




『初めまして』




『神だよっ』




『突然ごめんね~』




『そちらは今世界崩壊寸前で忙しいだろうに』




『まぁ今こっちも忙しくて時間無いから単刀直入に用件を』




『とてもとても頭が良い君に一つ提案があるんだけど……』




『人間離れした、僕達世界群管理者にも劣らぬ素晴らしいその頭脳を使って』




『世界の半分を治めてみない?』




『具体的には、僕達世界群管理者の仲間入りするってことね』




『まぁ仲間って言っても人間上がりだから下っぱになっちゃうけど』




『僕達はね~』




『君ら世界群53を殲滅した後、その他119の世界群も手中におさめようと思ってるんだよ』




『なんでって?』




『そりゃ、君ら世界群が禁忌に触れたからだよ』




『やっぱ放し飼いは駄目だね』




『君らが禁忌に触れたおかげで、世界が乱れちゃった』




『だから、直接僕達で治めることにしたんだ』




『一万年前に人間共と約束したはずなんだけど、軽々しく破られちゃったし』




『とりあえず、各世界の代表者には死んでもらうことにしたんだ』




『それで、僕達神から上位の者を選んで120の世界群それぞれの王にたてるの』




『君達が二度と禁忌を犯さないように監視する』




『ところで君』




『その世界は退屈じゃないかい?』




『もっとその頭脳を使いたくはないかい?』




『最大限に、さ』




『だろ?だからこその提案だよ』




『うん、そう』




『僕達神は頭脳指数の高い順に位が決まってくの』




『見たとこ、君の頭脳指数は僕達神の中でもトップスリーに入るくらいだ』




『ぶっちゃけ、上位百二十位の中の下の連中に王を任せるより君にいくつもの世界を任せた方が確実にいい』




『その世界にいてはせっかくの頭脳(モノ)が台無しだろう?』




『だから』




『世界群の半分を君にあげよう』




『悪くはない話だろう?』






―――わかった。








『契約成立だね』












 聞こえる。

 悲しみ、怒り、哀れみ、恐怖の叫びが。

 苦しむ住民たちの悲鳴が。

 もうすぐこの世界は終わるだろう。人々が犯してしまった過ちによって。

 神の制裁が下る(黙示録のラッパがなる)。とでも言えばしっくりくるかな。

 自業自得という言葉がしっくりくるこの状況は、俺も望んでいたものだ。

――滅びてしまえばいい。こんな何もない世界なんて。

 ずっとそう思ってた。

 馬鹿げた茶番劇のような政治。

 虐めとプライドの塊である学校。

 支配者を気取る大人達。


 学校では教師が、家では親が、世界では政治家達が偉そうにしてる。

 たいして、いや、猿にも劣るほどの脳であんなにも偉そうに。


 馬鹿にされる。虐められる。笑い者にされる。


 力の無い者が隣の家の赤い花を見て羨ましがり、しかし手に入らないことを知ると仲間同士で輪になり赤い花を持つ家を落とそうとする。


 嫉妬。


 そんなくだらないもので、俺は。俺たちは。


 怒り。怒り。怒り。


 初めはそんな感情ばかりだった。

 でも、もう違う。


 嘲笑。


 そう。俺は、俺たちは嘲笑う。


 今に見てろ世界。




 俺達が、お前らを支配し、嘲笑(わら)ってやる。










 ピピピピピ ピピピピピ ピピピピピ

 カチャ


 重い瞼を無理矢理持ち上げる。

 目の前には白い天井があるが、光を遮るカーテンのおかげで黒っぽく見える。

 体は柔らかくものに包まれていて、そこから抜けるのには少々の時間がかかりそうだ。


 寝起き。


 一日のうちで、一番テンションが下がる時間帯。

 起きる。

 ゲームをする。

 寝る。

 夢ではいつも必ず神を名乗る者に世界の半分をやると言われ、俺がそれに応えると夢は終わる。

 もう百回同じ夢を見た。

 どれだけ期待しても、この夢を見ても、現実は変わらない。

 中卒で友達がいない、親もいない。

 競える仲間もいなければ、尊敬できる目上の奴もいない。

 つまらない。

 夢が現実になればいいんだ。

 こんな世界は滅んで、俺が王に。

 もっと面白いことで世界を作る。退屈なんかしないように。

 俺は目を閉じる。

 この世界を作ったのは誰か。

 こんなつまらない世界を作ったのは誰だ。


 誰だ。誰だ。誰だ。誰だ誰だ誰だ誰だ誰だ。


 神様?否、人間だ。


 だったら、全人類を俺が滅ぼしてやる。

 そんな力があったらの話だけ――


――あるよ、力なら


 声が聞こえた。

 いつも夢で出てくる幼い少年のような声。

 俺は耳を、いや頭を疑った。

 なぜなら、その声は俺の耳ではなく頭から聞こえたから。

 夢が、現実に?

 そんな、まさかな。

 だって、今までだって幾度となく同じ夢を見てきたけど一度もこんな声が聞こえたことがなかった。

「どこに」

 でも、俺は聞いた。

 これが、最初で最後のチャンスかもしれない。

 なぜ今回は、なんてどうでもいいんだ。

 もしこれが最後なら、もしその手に乗らなかったとき必ず俺は後悔する。

――君の中だよ。

 俺の、中?

 俺の中にどんな力があると言う。

――夢で、君に沢山あげた。

 夢?それってまさか。

――君の中に元々あった頭脳(ちから)と、僕があげた九個の能力(ちから)。あわせて十個が今君の中にある。その十個の能力(ちから)は、僕達世界群管理者の中心種族十種類のそれぞれの特徴だ。

 世界群管理者。

 種族。

 俺が何度も見た夢と、なぜこのタイミングでこの声が、神が現れたのか。

 もしかしたら俺は――

――まぁ、九個の能力(ちから)をあげるのにものすごい時間がかかったけどね。

 そうか。だからこんなに何度も同じ夢を見たんだ。

「お前が、俺の夢の中に出てきた神なんだろ?」

 俺は問う。

――そうだね。僕は神だ。

 神。

 なんかピンと来ないが、とりあえず信じておこうか。

 あと。聞きたいことがあった。

「世界の崩壊ってなんなんだ?」

 夢でこいつが言ってたことだ。

 もし本当に世界が崩壊してくれるのならもう。

 苦しむ必要なんてない。

――夢で言ったままだよ。人々が禁忌に触れたから僕達が制裁を下すんだ。

 禁忌。

 それがなんなのか俺には分からなかったが、質問はできなかった。

 なぜなら、神は次にこう言ったから。

――他にも質問したいことがあるだろうけど、それは全部向こうに行けば分かることだよ。

 向こう?

 向こうってなんだ。

 俺はそう聞こうとした。

 でも、それも行けば分かることなのだろう。

――じゃあ向こうに飛ばすから、歯食い縛っといて~。

 俺は歯をきつく縛る。

 すると、目の前が真っ白になって下から強い風に持ち上げられた。

 そういえば、さっきあいつ俺に元々あった力とか言ってたな。

 それが気になって仕方ない。

 向こうに行けば分かると言っていたが、それでも俺は聞いた。

「なぁ。元々あった俺の力ってなんなんだ?」

――はは。向こう行けば分かるのに。まぁいいよ。教えてあげる。

 風の音で声が聞こえずらくなってる。

 つまりそれは、頭からではなく耳から聞こえてるということ。


 俺はこれから『向こう』に行く。

 それがどんなところかは、予想もつかない。

 でも、一つだけ確かなことがある。

 それは――。

――君の力は、その頭脳(トト)だよ!僕達神にも劣らないその頭!ずっと苦しかっただろう?一人は寂しかっただろう?でももう大丈夫!向こうには君の仲間が沢山いるから!

 それは、今の世界よりは遥かにましな世界だってことだ。

――僕はノヤ!感情を司る神だ!

 真っ白だった俺の視界に、ポツポツと銀色の斑点が見え始める。

 それは、近づいてきてガラスの島だと分かった。

 右を見れば、緑の多い島。

 左を見れば、炎に包まれた島。

 その全てが、浮いていた。

――ようこそ、ここは高天ヶ原!僕達世界群管理者、神がすんでいる世界だ!

 高天ヶ原。

 よく神話とかで出てくるような所。

 実際に、あったんだな。

――今日から君には、世界が崩壊するまでここにすんでもらうことになるから!

 ノヤと名乗った幼い見た目の神は、だんだん実態が薄れていく。

――じゃあ、よろしくね!天音黝心くん!

 この世界だ。

 俺はこんなのをずっと待ってたんだ。


 偉そうな大人、嘘つきな子供。

 腐った政治家や親、教師。


 その全てが、壊れることを、俺は待っていた。

 俺が壊さんばかりだった。

 だから今、俺は希望に満ち溢れている。


 さぁ。


 見ていろ、世界。


 今度は、俺達がお前らを支配し、嘲笑(わら)う番だ。

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