第四話
この小説はリレー形式で掲載していきます。
作者 oga
握手をかわし、晴れて俺たちは仲間になった。
「ちょっと質問なんだけどさ、ダンジョンは何で俺が勇者だって知ってたんだ? お告げのことは話してないし」
「……俺も聞いたんだよ。 正直、勇者がお前みたいな阿呆だとは全く思わなかったがな」
「あ、阿呆ってなんで分かんだよ!」
くっそ、まさか戦士がこんなむかつくやつだとは……
これから仲良くやってけるのか?
「とにかくさっ、まずは仲間集めだよな! ヒーラーを探さなきゃいけないんだけど、どんな奴か分かるか? 俺最後までお告げ聞いてなかったんだよな」
あっはっは、と笑いながら答えると、ダンジョンはふう、とため息をついた。
「……ヒーラーは少女。 それだけしか情報はない。 そもそも、なんで俺が戦士なんだ……」
「なっちまったんだから諦めろよ。 ヒーラーってことは、医者か? でも少女だもんなぁ。 どうやって探したらいいか検討もつかねーわ。 なんかいい手ある?」
「なんでもかんでも俺に頼るな。 いいか? お前を助けたのは仕事だったからだ。 別に魔王を倒す使命に燃えてたわけじゃない」
なっ、マジかよ……
こいつが戦士とか、人選ミスじゃねーか?
しかし、ダンジョンは腕を組んでふうっと一息吐くと、こう言った。
「だが、お前の言う通りだ。 選ばれたものは仕方がない。 ヒーラー探し、協力する」
……!
なんだよ、ちょっとは話の分かるやつじゃねーか。
たまにイラっとくるけど、まあ弁護士だし、頼りにはなりそーだ。
「よっしゃ! じゃあ、街に繰り出そうぜ!」
俺たちは「ヒーラーになりたい方はいらっしゃいませんか?」というプラカードを掲げて街を歩くことになった。
「ダンジョンさ、もっといい案なかったの?」
「……黙れ、この阿呆勇者」
「なっ」
持ってるプラカードで殴りつけようかと思ったが、ぐっとこらえた。
弁護士といい、留置所の警察官といい、口悪すぎだっつの。
だが、このプラカード作戦、思ったより悪くはない。
もしヒーラーもお告げを聞いてたとしたら、俺たちを探してる可能性があるからだ。
俺たちは街を2時間ほど練り歩いた。
「この街じゃないのかなあ。 みんな冷ややかな目で俺たちを見てくるんだけど」
「……とりあえず飯でも食うか? ヨシノヤ」
「ヨシピコな」
ダンジョンに言われたら急に腹減って来たな。
ちょうど12時だし。
「了解、飯にすっか」
結局、その日は収穫もなく、また翌日プラカードを持ってで街を練り歩くこととなった。
この行為が巷で噂となり、ユーチュー○などに俺たちが歩く様子がアップされるようになった。
「あなたたちが今話題の勇者と戦士ですか?」
マスコミなどにも取り上げられ、インタビューも何回か受けた。
「俺たち、結構有名になっちゃったな」
「……ああ、だが肝心のヒーラーが見つからなければ意味がない」
確かに。
ヒーラーになった少女、どっかで俺たちのこと見てないかなあ……
そんなことをぼやいていた翌日、なんとダンジョンの事務所にヒーラーと名乗る少女から連絡が入った。