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第三話

この小説家はリレー形式で掲載していきます。


作者 山咲りさ

勇者ハ無罪放免トナッタ!

 テレテレッテレ〜。


 こんにちは、山田です。お前は勇者だとかなんとか言われましたが、その後事故を起こし檻の中にいれてしまわれてた山田です。


 勇者が檻の中とか笑っちゃうんですけど。


 その間優秀な弁護士ダンジョン殿がいろいろと根回しやら証拠集めやらをしてくれました。

 そして俺は救い出されました。もう誰が勇者なのやら。


「勇者はダンジョンで良いんじゃないかな?」


「阿保言ってないでさっさと書類にサインしろ」


「へーい」


 現在ダンジョン殿の所属している事務所で今回の裁判関係の書類に目を通している段階です。


 この書類、ほんっとに理解するの大変なんだ。見たこと無いような単語の連なりばかりで、疲れてくる。これ普通弁護士が説明すんじゃないのって思うけど、残念ながら弁護士に会ったのはこいつが初めてだ。よって普通がわからない。でもこのメガネエリートが無愛想ってことはわかる!


「っ! そもそもなんで俺が勇者なんかに」


 勇者は魔王に狙われる定めなのだとか。


 俺なりたくて勇者になった訳じゃないのに。「お前が勇者になれ」って一方的に指名されただけなんだけど。俺同意してないんだけど!


 百歩譲って俺が勇者だったとしよう。

 で? 何すれば言い訳?


「やっぱー、勇者と言えばまずはスライムを剣でバッタバッタと斬ってレベルアップ?」


「それは銃刀法違反だ」


 俺がサインした書類を確認しながらダンジョンが答えた。


「えー、じゃあ捨て身の覚悟で魔王城に潜入?」


「それは不法侵入だな」


 ダンジョンの冷静なツッコミに俺はがくりとうなだれる。


 じゃあ何しろってんだ!


 ……いや、待てよ。なんかお告げっぽいのが、まずは仲間を増やせって言っていた気がする。


「よし、ダンジョン君。君は今日から戦士になりたまえ」


「却下」


 返答が速い。


「え~、じゃあ誰を仲間にすりゃあいんだよ。このノリだったら『それを待っていたよ(メガネキラーン)』だろ?」


「他をあたれ」


 さらに彼は『「魔王を倒したい方はいらっしゃいませんか?」ってプラカード持って街中を練り歩けば良いんじゃないか?』と無謀な提案をしてきた。

 今時の厨二病でもそんな事しねぇよ。


 そしてダンジョンは腕を組んでかっこつけて言った。


「いいか、自称勇者、山田ピロシキよ」


「ヨシピコな」


 ロシア料理じゃねんだよ。

 一瞬の間があった。


「ヨシピコよ」


 何事も無かったように言い直した! これがクールメガネの特殊スキルか。


「弁護士とは事件や問題が発生しないと必要のない存在だ。ならいま社会問題になりつつある魔王の存在は我々にとっては歓迎すべき存在だろう?」


 わかるか? とダンジョンは淡々と言った。


「は? なにえっらそーに馬鹿なこと言ってんの!?」


 俺の中で糸が切れた。


「ば、馬鹿だと?」


 いきなり立ち上がった俺に、ダンジョンは少々たじろぐ。

 でも俺は止まらない。


「ああ馬鹿だよ。お前何で弁護士になったわけ? 金が欲しかったから? 違うよな。困っている人を助けたかったからじゃねえの? 存在とかどうでもいいよ! お前はどうしたいんだ! 心のどこかで正義を求めているんじゃないか?」


 そこで俺はダンジョンに手を差し伸べる。


「一緒に魔王を倒そうぜ」


 ダンジョンはじっとこちらを見る。俺も目をそらさない。


 暫くにらめっこが続いたが、やがてダンジョンがため息をついた。


「お前がなぜ勇者に選ばれたのかわかった気がする」


 そして俺の手をとった。


「いいだろう、協力しよう」


「おう、よろしくな!」




 勇者二仲間ガ、デキタ!

 テレテレッテレ~

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