第一話
リレー形式で掲載していきます。
作者 oga
俺は山田。
訳あって下の名前は明かせない。
25歳独身、恋人募集中だぜ!
深夜、寝ている時に妙な声を聞いて目が覚めた。
「ヨシピコよ。魔王が復活しようとしている。お前が勇者となり、街で戦士、ヒーラーを揃えるのだ。他の2人も」
「うわあああっ」
変な声が聞こえて、びっくりして目が覚めた。
だ、誰だ!下の名前で呼ぶやつは!
しかし、誰もいない。
「夢……か」
俺は再び眠りについた。
「最後まで聞くのだ、他の2人……」
「うわあああっ」
昨日の謎の声。
はあ~、ストレスって怖いわ。
いやマジで!
今日帰ったら医者に行こう。
俺は原付のキーを回して、エンジンをかけた。
いつもこいつに乗って、職場に向かう。
原付を走らせていると、交差点の右の方から女子高生が走って来た。
食パンをくわえている。
「なんだありゃ。 少女漫画の主人公かよ」
俺はベタなラブストーリーを思い浮かべた。
都合よく交差点でイケメン男子とぶつかって、恋がはじまるアレだ。
「俺がぶつかったらどうなるんだろ?」
それは恋ではなく、事故の始まりである。
でもよく見ると、結構かわいい?
女子高生の方を見ながら運転していると、突然視界に何者かをとらえた。
「!!」
ドガアアアアン……
気が付くと俺は地面に投げ出されていた。
「いってえ……」
くそ、やっちまった。
左から誰かが走ってきやがった。
俺は何とか立ち上がり、恐る恐るそのひいてしまった人の方へ向かった。
そこに倒れていたのは、イケメン男子だった。
俺は留置所に入れられ、弁護士を待っていた。
ギイと扉が開き、弁護士が現れた。
「今回、君の弁護を担当する国選弁護士のダンジョンだ。今君はケガを負わせてしまったイケメン男子の親族から、賠償金8000万を支払うよう要求されている」
「は、8000万!?」
そんな馬鹿な!
俺がまともにこれから働いたとして、一体どれくらいかかるんだよ!
「法外だ!ありえない……」
「山田君だったね?私は君の味方だ。 私に一つ名案がある。 もし、今回の件で君が無罪を勝ち取るには君が彼をひいたのでなく、彼が君にぶつかってきた、ということにすればいいのだよ」
「そんなムチャクチャな……」
「君は魔王のことを知っているか?」
ダンジョンは話を始めた。
魔王の存在、魔王の能力、そして、勇者の俺を狙っていること……
ダンジョンが言うには、魔王はコウモリを操る能力を持ち、コウモリの超音波でイケメン男子を操った可能性があるらしい。
そして今回俺の原付に飛び出し、この状況に陥れた。
だから、イケメン男子が操られた証拠を、次の裁判までに準備できれば俺の無罪を証明できる。
「これから私はある人物のもとに向かい、その証拠を手に入れてくる」
ダンジョンはそう言って、部屋から出て行った。