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知らぬ間に勇者になりました。ー天秤の勇者になるまでの軌跡ー  作者: 九渡
第二章チャプター1 ー勇者殺しー
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38 情報入手、無意識の……

説明回

 港街カイロスのハンター協会。ガルドシールの建物と比べると一回りも二回りも小さく、外装も貧相なものであった。

 ライたち三人は勇者狩りとマジックアイテム盗難事件についての詳細を受付のお姉さんに説明を受けていた。

「アマラさまのような高名なハンターの依頼受理、まことに助かります。いま資料を持ってきますのでしばしお待ちください」

 受付のお姉さんは依頼名簿を棚から取り出しライたちに内容を伝える。

「勇者狩りがこの街に現れたのはいまから三ヶ月ほど前からです。現れ始めは毎日勇者の襲撃報告があがっています。その狙われた対象は魔核のレベルが低いなりたての勇者などばかりでした。そしてそんな状況が三週間ほど続くと、その後一ヶ月ほど間音沙汰がなくなりました。勇者狩りがこの街から去ったと思った矢先にまた七日まえから勇者が襲われはじめました。そしていま現在も勇者が襲われている状況です。いままでの被害は亡くなられた方が12人、命からがら生き延びた者は14人となっています」

「そんなに被害が……」

 ライは絶句した。予想以上の勇者が被害を受けていたからであった。

「それでは次にマジックアイテムの盗難事件の件です。まず盗まれたアイテムは『神の目プロビデンス』。この街の商業ギルドの宝物庫から盗まれました。盗まれたのはちょうど十日前です。盗んだ方法は建物の下にトンネルを掘り、宝物庫に下から進入したとのことです」

 商業ギルドの宝物庫は周りには鉄と防御結界によって守られていた。しかし床の部分だけは防御結界が張られておらず、ただ鉄で出来た床に穴を開ければいいだけという盲点を突いたものであった。

「犯人の目星などはあるの?」

「こちらがいま現在わかっている情報です」

 そういって受付の女性は紙を提示してきた。その紙には、勇者狩りについてと書かれており、勇者狩りの犯行はいつも夜中に行われ、必ず一人のときに襲われる。襲われた人の証言では、格好はいつも違うマントを羽織り、顔には祭りなどでよく使う喜びの仮面を付けていたとのこと。体格は小柄なため性別は不明、肉声も聞いたものはおらず、武器はおそらく剣と推測され、犯行はいきなり気配もなく襲われ、最初の一太刀でしとめきれなかったらすぐに逃げるとのこと。そしてこんなに被害が出ているにも関わらず犯人の有力な情報はいまだつかめずと書かれていた。

「なるほど、この勇者狩りはなかなか慎重な者のようね」

 次にマジックアイテムの盗難事件について書いてある紙には、犯行時刻は深夜、商業ギルドには毎日警備のものが就いているが、ちょうど見回りを終えた直後の手薄な時刻に犯行は行われたとのこと。そのため内部犯か内部に手引きをしたものがいる可能性が高く。進入してきた経路は犯工を及んだ後に埋められて隠されていたため、犯人は土属性の魔術の使い手の可能性が疑われているとのこと。そして進入経路の入り口は街の郊外にあったため、時間をかけて計画に及んだのではないか、とのことである。

「うーん。この資料に書かれている以外に新しい情報とかってないの?」

「申し訳ありませんがいまのところ新着の情報はございません」

「そっか、わかった。それじゃウーたちも犯人を追うことにするよ」

「どうかよろしくお願いいたします」

 こうして情報を仕入れたライ一行は、一度バニラの食堂二階に戻り会議を行うためにハンター協会から離れた。



「ハンター協会から得られた情報はあまり有力なものではなかったわね」

 アマラは部屋に戻るとベッドの上に腰掛けて言った。

「そうですね。おねえさま。でも有力な情報が出ていたらすでに事件は終息したと思います」

 エリィは部屋にある椅子に座り応える。

「うーん」

 ライは座る場所がなかったため、壁にもたれながら考え込んでいた。

 ーリブラ。

 ーこの世界の警察とかって捜査能力はどんなくらいなの?

【警察とな。うむ。おぬしの世界のようなしっかりとした組織はないのう。あったとしても街ごとの自警団や騎士団、そしてハンター協会など場所ごとに治安活動をしておるぐらいなもんじゃ】

 ーつまりあまり捜査能力は高くないってことね。

【そのとおりじゃな】


「さて、ウーたちの今後の方針をどうすべきかな」

「まずどちらの事件を追われるのですか?」

「そうね、ウーは勇者狩り、ライはマジックアイテムと分かれて行動しようかしら」

 アマラの目的は勇者狩り、ライはマジックアイテムのプロビデンスが目的なための分担であった。

「それでいいと思うよ」

「ワタクシはおねえさまに同行しますわ。おねえさまも勇者狩りの対象ですので単独行動は危険ですわ」

 もちろんエリィはアマラと行動したがっていた。

「そうね……。ライはどう?一人で大丈夫?」

「うん。大丈夫しゃないかな?僕は勇者じゃないし、勇者狩りに襲われる危険性も低いでしょ?」

 そうライが言ったとき、エリィがアマラには聞こえない声量で。

「……こいつ勇者でもないのにおねえさまと同行しているだなんて……分不相応だわ…」

 ぼそりとつぶやいていた。エリィは弱い人が嫌いである。そのため勇者ではないライのことが見た目からして気に食わないのであった。ライははっきりいってひ弱そうな体格、そして本当にひ弱である。まだひ弱そうな体格でも勇者であるならば能力が高い見込みがあったがその可能性が失われたため、よりいっそうライのことが気に食わないエリィであった。

「……ちょうどいい別れかたなのかしら?」

 アマラはライを見ながらリブラに語りかけるように問う。

【そうじゃな。われが行動しやすいことは確かであろうな】

 リブラの意見を酌んだライは。

「うん。これでいいと思うよ」

 アマラにリブラの意見を伝えた。

「うーん。夕方またこの部屋で一度は集まるようにして情報の共有をしましょう」

「わかった。それじゃぼくは行くね」

 ライは少し急いで部屋から出ようとする。先ほどからエリィの目がこちらを狙っている気がして、早朝での出来事を思い起こされていたからだ。

 ライが部屋から扉を開けて出ようとしたとき。

「アーよ。無理はしないでね」

 とアマラが言うと。

「ははっ。出来る限り危険からは避けて行動するよ」

 ライは軽くウィンクすると扉を閉めた。

【……おぬし……そんなことが出来たのじゃな】

 ーん?

 ーなんのこと?

 ライは無意識にウィンクをしたため、リブラが言いたいことが理解できなかった。

【うむ。おぬしはあいかわらず、ちぐはぐな奴じゃのう】

 ライは首をかしげながら、街構内を歩んだ。


ちょっと面白くないからあとで改稿するかも。

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