序
俺は避けるのをやめた
ずっと殴りかかってきて、ふくろだたきにされている
周りは当然のように見てるだけ
みんなは俺が何をしようとしてるのかわかる
「どうだ?
苦しいか?
お前もどんだけ無力か思い知ったか?」
顔に痣ができちまうな...
「お前の小さい頃の夢は?」
俺はポツリと呟きまじりに言った
「あぁん?
それがどうした?
俺がガキん時は、強い魔導士になりたかった
けどわかったんだ
越えられない壁はあるし、くだらねぇってよ」
「確かに俺も無力だ
目の前の命を救えず、そいつが追いかけてた夢は叶わなくなった」
「てめぇは何が言いたいんだ?」
「けど夢は逃げねぇ
てめぇが夢から逃げねぇ限り叶うんだよ
夢が逃げるんじゃねぇんだよ
逃げてるのは人間だ」
「黙れ、黙れよ」
「越えられない壁?
笑わせんなよ
壁を越える勇気なんていらねぇ、プライドなんて糞くらいだ
プライドなんか捨てちまえよ
がむしゃらになればなんにだってなれんだよ
本気で覚悟を決めたら、そんなもん勝手についてくんだよ
夢を叶えるには覚悟を決めんだよ
てめぇにはそれが足りなかった
それだけのことだろ?」
「わかった口きいてんじゃねぇーよ
てめぇには俺の気持ちわかんねぇーよ 」
「あぁわからねぇーよ
俺は夢なんて胸張って言えないし、持ってすらいない
夢なんてくだらないって思うけどそう思う自分が嫌いだ
矛盾してっかも知れねぇけど、夢を持てるだけ羨ましい」
「黙れぇぇ
草薙の剣 慚愧」
草の剣で斬りつけようと振り下ろされた
こんな剣じゃ真っ二つになってしまう
俺は寸前で素手で掴んだ
「効かないよ」
俺が言うと、焦っている