序
作文用紙が配られ、みんな文句を言いながら書いていた
俺はペンを持たずに真っ白の作文用紙をずっと眺めていた
あの時、俺が暴走しなかったら、まさにぃはいつか夢叶えられていたのかな
ずっと言ってたもんな
全員が学校来て良かったって思えるようにしたいって夢を叶えるんだってさ
そんなまっすぐなまさにぃがかっこよかった
なのに俺のせいで...
ふとした瞬間に涙が零れた
やばい作文用紙が...
いつのまにかチャイムが鳴った
俺の作文用紙に書いてあるのは、将来の夢と言う題名と名前だけ
あと涙の乾いた後がある
こんなの出せない...
結局、俺はなにも書けないまま、 提出した
その用紙は、未来のようでもあった
学校も終わり、屋上でずっと空を眺めていた
校庭では部活が行われていた
体育館からはボールのつく音が聞こえた
いつもと同じ景色だ
けど、まさにぃがいないと正直寂しい
俺は部活に属していない
まさにぃは男バレの顧問で、すげぇ優しいし、上手いんだ
そんなまさにぃにずっと憧れてた
「またここにいたのか」
?
そう言って誰かが屋上に出てきた
ゆうすけにぃだ
有罪雄典
陸上部の顧問で体育の先生だ
俺はガキの頃からの知り合いでゆうすけにぃとまさにぃとずっといた
そして俺の本当の親でもある
俺は普通に生まれた人間なんかじゃない
魔力で人を創ったのだ
その魔力は3人の者で親が3人いる
ゆうすけにぃ、まさにぃ、そしてもう一人は月影御堂という男だ
「うん、ここにいると少し楽になる」
「そんなに自分を責めるなよ
お前は悪くないからな」
ゆうすけにぃは諭すように言ってくれた
けどそんな優しい言葉を受け止められているようなことはなかった
「うん...
ゆうすけにぃは部活行かなくていいの?」
「あぁ今から行くよ
やっぱり、陸上部入らないか?」
「ごめん
縛られるの嫌いだから」
俺は笑いながら言ってみせた
誰にも迷惑がかからないように
ゆうすけにぃは俺が孤独を感じているのを気にしてくれてる
けど今は何かをする気にはならない
ダメなんだよ
自分だけ幸せに生きるのが...
まさにぃのこと考えると怖いんだよ