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テレポーター  作者: SoLa
第3章 魔法文化祭編〈上〉
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第10話 森の中の死闘

「お前っ!! いったい何――」


 何者だ、と。

 そう問う暇も無く、気が付けば謎の男子生徒の顔が眼前に広がっていた。


「――っ!?」


 突き上げられた拳を首の動きだけで躱し、伸ばされた腕を掴む。


「……へぇ」


 至近距離で男子生徒は口角を歪めた。


「反射神経はまずまず」


「誰だお前。何の目的があってここへ来た」


 改めて、問う。


「あぁ? もしかして自分の立場、ご理解頂けてない?」


「俺の立場? 何の話だ」


「くははっ!!」


 小馬鹿にするような笑い声と共に俺の腕が振り解かれた。その手で肩を小突かれる。


「くくっ、くくくくくっ。知らぬは本人のみってか」


「話す気は無さそうだな?」


「喋らせてみろよ」


 一瞬の視線の交差。ほぼ同時に発現された身体強化魔法。


 俺の拳は男子生徒の左頬を。

 男子生徒の膝は俺の左わき腹を。


「がっ!?」


「ぐっ!?」


 同時に吹き飛んだ。地面を抉り、殴り飛ばされた勢いを殺しながら男子生徒は叫ぶ。


「げほっ!! ちっとはやるみてぇじゃねぇか中条聖夜!! 無詠唱でこのスピードとはなぁ!! いんやぁ、むしろ詠唱できないんだっけかぁ!?」


「……ごほっ、よく調べている」


 蹴り飛ばされた勢いに任せ、近くに生えていた木の枝に着地した。

 男子生徒の動向を窺う。口内を軽く切ったのか、垂れた血を親指で拭っていた。


 それだけ。

 それ以上のダメージを与えられた気配は無い。


「あーあァ。(しょ)(じき)なハナシ、こんなクッソ下らねぇ指令なんざ無視してやろうかと思ってたんだが……。いいじゃねぇか、お前。想像以上に楽しめそうだわ」


「指令だと? いったい何の――」


「小難しい話はいいじゃねぇか!! 今を楽しもうぜ今を!! なぁ中条ォ!!」


 男子生徒が叫び両手を広げた瞬間、その周囲に5本の矢が発現した。

 属性は攻撃特化の火。


「お、おい!! お前!!」


 制止するより早く射出される。それはオレンジ色のレーザーを思わせるほどの速さで2人の間にある障害物を貫通し、一目散に俺を目掛けて飛んできた。


「くそっ!!」


 あの貫通力を備えた攻撃特化魔法はまずい。

 そう判断した俺は、身体を捻り紙一重のところで5本の矢を回避した。制服の焼ける音と匂い。恐らく何本か掠ったのだろう。それは身体に纏わりついているはずの、魔力の層を突破してきた証。


「よぉく避けたァァ!! そうこなくっちゃなァァァァ!!!!」


 いつの間にか肉薄していた男子生徒の拳を避ける。


「アーク・シャイオン・リーク・ガイオン」


 男子生徒が、俺へと人差し指を突きつけた。


「『業火の砲弾(ファイナス)』!!」


「――――なっ!?」


 紅蓮の炎が視界一面を覆う。身体強化魔法に割いていた魔力を底上げし、腕を交差させることで防御を図った。

 爆音。続いて木々が吹き飛び焼け焦げる音。被害が及んだのは俺だけではない。周囲一帯が炎の海と化す。


「こ、こいつ……っ!!」


 炎の海から逃れ、少し離れた木の頂上に着地した。超至近距離から、それも攻撃特化の火属性高等魔法を放たれては流石に防ぎきれない。身体強化魔法の発現に加え、生徒会御用達の対抗魔法回路が施されている学生服だったにも拘わらず、俺の右腕から先は学生服の袖が吹き飛んでいた。


 言葉にならない。

 今のは明らかに殺す意思のある一撃だった。自分がこの学園の部外者だという自覚も無いのか、隠れる気も持ち合わせているようには見えない。

 炎の海を挟み、俺と反対側の木の頂上に着地した男子生徒は、自ら生み出したオレンジ色の光を浴びて恍惚の表情を浮かべている。


「野郎……」


 腕にセットしていたMCマジック・コンダクターに触れる。身体強化魔法に水属性を付加させた。その状態で着々と燃え移っていく木々の火種に突っ込む。辺り一帯に燃え広がろうとしていた炎を沈静化させていく。


「ははっ!! そうだよなぁ詠唱できねぇもんなぁ!! そうやってちまちま火を消していくしかないってわけだ!! たかだか学園の庭の為に健気じゃねぇか中条!! 健気過ぎて泣いちゃいそうだぜぇ!!」


「クッソ、野郎が!!」


 高速で一周し、炎の道を塞いだところで進路を変えた。地面を抉り跳躍する。


「アーク・シャイオン・リーク・ガイオン」


 詠唱し切る前に、止める!!

 朗々と詠唱を続ける男子生徒に拳を振り抜いた。

 が。


「水ってのは回復がウリの属性だぜ!?」


「なっ!? がっ!?」


 捉えられると確信したところで、男子生徒の膝が腹へとめり込む。


「身体強化魔法として攻守機動力は底上げされちゃいるが、他の属性に比べりゃ到底及ばねぇ!! チマチマ癒してんのがお似合いのクソ属性だろうがぶぼっ!?」


「げほっ、……そのクソ属性とやらに詠唱を止められた気分はどうだクソ野郎」


 俺の指先が男子生徒の頬に触れた瞬間、発現された水の塊が男子生徒の顔を包み込んだ。


「お返しだっ!!」


「ぶぶふっ!?」


 男子生徒のみぞおちを抉るようにして回し蹴りを叩き込む。周囲の木々を数本なぎ倒しながら、男子生徒は盛大に吹き飛んだ。


「あ、……が、う……、くくっ、はぁっ、はぁっ!! ……くくっ、はははっ」


 本気だった。

 それでも男子生徒の意識を刈り取る事はできなかったようだ。手頃にあった木の幹に爪を喰い込ませ、男子生徒は立ち上がる。


「……何なんだ、お前」


 この男子生徒が使っていた魔法、火属性『ファイナス』。舞が愛用するそれは火属性の中でもかなり上位に位置する高等魔法だ。それを、あの程度の(、、、、、)音の数で(、、、、)発現している以上(、、、、、、、、)、ただの一般生徒という事はないだろう。そもそも学生服を着ているというだけで学生だと判断するのもおかしい。


「お前は何だ。何が目的だ」


「『誰』じゃなく『何』で来たか。いや、まあ本質としてはそっちの方が正しいか? くはは、まっ、ンな事はどうでもいいんだがよ」


 ゆらり、と。

 黒髪の男の上半身が揺れる。


「……中条聖夜。中条聖夜、中条聖夜。……くくくっ。覚えたぜぇ? 想像以上に面白れぇ」


「……」


 目的が、見えない。

 俺を狙っているであろう事は理解できるが、そこから先が読めない。俺の無系統魔法について知っているわけでもなさそうだ。現にそれについては何ら言及して来ない。だとしたら、何だ。俺の何が狙い――、


「っ」


 ざわり、と。

 全身の毛が逆立つのを感じた。黒髪の男の手に何かが握られている。

 それは。


「……サイコロ?」


 手を開き、コロコロと転がるそれは良く見慣れたものだった。赤色と青色が1つずつ。男の掌の上を転がっている。


「ギャンブルは好きか? 中条ぉ……」


 質問に応えるより早く地面を蹴った。

 あれが魔法具(マジックアイテム)だとするならば、その効力が発揮されるより先に潰す!!


 俺の意図に気付いたのか、黒髪の男が喋るのをやめてサイコロを手から滑らせる。

 サイコロが、落ちる。


 しかし。

 俺の拳が男の顔面を捉えるより先に。

 男のサイコロが地面を転がるより先に。


 ――――乾いた鈴の音が響き渡った。


 その音に、思わず身体が硬直する。

 その、音は。


「ちっ」


 黒髪の男は器用に2つのサイコロを足で受け止めると、腕を一振り。熱風が辺り一帯を薙いだ。


「うっ!?」


 その勢いに負け、再び黒髪の男との距離が空く。

 しかし、それよりも。


「そこまでだ、千金」


「……早かったスね。呵成さん」


 黒髪の男の後ろ。

 今まで誰もいなかったはずの空間に、1人の男が立っていた。青を基調としたローブ。頭にはどこぞの神官が被っていそうな長細い帽子。


「……ふ」


 俺と目が合ったその男は、緩やかに口角を吊り上げた。


「言ったはずだぞ千金。やるのは文化祭でだ、と。静かな学園でお前の魔法は目立ちすぎる。青藍の文化祭は魔法公認のイベントだ。多少の魔法の使用なら誤魔化せる」


 呵成と呼ばれた男は俺から目線を外し、言う。


「……コソコソコソコソつまんねぇ仕事だぜ。こっからがお楽しみのところだったのによぉ」


 黒髪の男は靴の足先に乗せていたサイコロを宙へと放った。それは何の前触れも無く原形を無くし霧散する。


「……魔法具(マジックアイテム)じゃないな。何だそれは」


 原形を無くせるという事は、魔法そのもの。魔法具(マジックアイテム)とは、あくまでも原形のある物に特別な加工を施して補助具とするものだ。


「お前は誰だ。お前らは何だ。文化祭をどうするつもりだ」


「質問が多いなぁ、中条」


 笑いを噛み殺すように黒髪の男は肩を震わせた。


無系統のお披露目(、、、、、、、、)は次のお楽しみだ(、、、、、、、、、)。今度は文化祭で会おうぜ、中条」


「っ、待て――」


「『遅延術式解放(オープン)』、『堅牢の壁(グリルゴリグル)』」


 呵成と呼ばれた男がそう口にした瞬間、俺の足元がうねりを上げて隆起する。次いで地面から10mにも及ぶ土の壁が勢いよく盛り上がってきた。


「くっ!?」


 鈴の音が耳に聞こえてきた時にはもう遅い。視線を戻してみても後の祭りだった。

 学園へと侵入してきた謎の2人組の姿は、どこを探しても見当たらなくなっていた。







「この魔力残滓は……、まだ新しいわね。どうやら本当にネズミが……、ん?」


 教会の直ぐ近くの草むらで。何やらガサガサやっていた不審なシスターが、自らに近付いてくる足音に気付いたのか顔を上げてこちらを見た。


「何してんの、チミ。こんな時間に――って」


 俺の姿を見て目を見開く。そりゃ驚くだろう。制服は無残にも焼け焦げ、右腕から先は吹き飛んでおり素肌が覗いている状態だった。血も流している事だし、どう見られてもまともには見えない事くらいは承知していた。


「何があった」


「幽霊騒動の元凶に遭遇しました」


 端的な質問に対し、端的に答える。シスターは眉を少しだけしかめた後、


「入んな」


 教会を顎で指し示し俺を中へと促した。







「魔法、使えたんですね」


 教会奥の、シスターの私用空間。その居間に通された俺は、瞬く間に完治した自分の腕を見ながら、素直な感想を述べてみる。


「当たり前でしょ。チミ、私を何だと思ってんのよ」


 そりゃあ、怪しいシスターだろう。


「失礼なことを考えていそうな顔ね」



 否定の言葉を入れようとしたが手で制された。シスターにしては珍しい真面目な表情になる。


「で」


 いつぞやと同じ銘柄のペットボトルをテーブルの上に置きながら、シスターは何があったと訴えてくる。


「森で戦闘になりました」


 飲め飲めと進められるペットボトルのお茶を丁重にお断りしながら答えた。


「この近くの?」


「いえ、少し離れています。魔法を使わず歩いたのなら30分近くかかるでしょう」


 近さで言うのなら、生徒会館の方が近かっただろう。


「正体は?」


「人間ですよ。まあ、当たり前ですけど」


 そりゃあそうだ、とシスターが鼻を鳴らす。


「若い男でした。服装が学生服だという理由で学生と決め付けていいかは分かりませんが、見たところ俺と同年代かも」


「学生服ねぇ。知ってるトコ?」


「まさか」


 その質問には思わず苦笑してしまった。


「俺、まだ日本に戻ってきて二ヶ月ちょいですよ? こっちの学校なんて知りませんって」



「そりゃそうか」


「赤……、いやもう少し暗めのワインレッドのような色の学生服でしたね。心当たりあります?」


「……、いんや」


 少し間を置いた後、シスターは首を振る。記憶を辿っていたのかもしれない。


「自分のことを何か喋ってた?」


「……それほど多くは。俺が誰だか分かるなり『一獲千金だ』とかワケ分からんこと叫び出して……、あぁ、後は文化祭で何かやらかすであろうことも」


「……文化祭」


 シスターはその単語を拾い上げた。


「チミ、もしかして予見してた?」


 こちらの様子を窺うような視線で問われる。おそらく、美麗さんを呼び出して文化祭のセキュリティに関する質問をしたことを言っているのだろう。


「そんなはずないですよ」


 確信を持っていたわけではない。それに、危惧していたのは俺じゃなく師匠の方だ。


「ふぅん……」


 見つめられる。嘘を吐いても直ぐに見透かされそうな目だった。ただ、生憎とこちらは後ろめたいものなど何一つとして無い。


「……ま、いいわ」


 無駄と悟ったのか、シスターの方から切り上げにかかった。


チミの能力(、、、、、)については(、、、、、)?」


「……むしろそこが疑問なんですよね。相手は、俺の能力を知っているようではありませんでした」


 俺の無系統魔法がどこかでバレており、それが狙いで来ているのなら話はもう少し簡単だった(本来なら、それも許容してはまずいのだが)。しかし、相手は俺の無系統魔法については何ら言及してくることはなかったのだ。


「ふむぅ……」


 俺の答えに、シスターはやや大袈裟に首を捻った。


「どこかで恨みでも買ったんかね? それで復讐の為に首を……」


「物騒なこと言わないでください」


 正直、心当たりがあり過ぎて怖いわ。


「ただ、それが一番確率高いんじゃないの?」


「答えにくい質問ですね。でも、そうなると『なぜ今?』って話になりません? ここは姫百合と花園の領分でしょう。この国でその名を荒らすことがどれほど危険なことなのか、分からないとは思えませんが」


「けどさ」


 シスターはテーブルに置かれていたペットボトルのキャップを開け、ぐびりと口に含む。


「姫百合可憐と咲夜は誘拐されそうになった。そうでしょ?」


「……そうですね」


「その名の効力を知らぬ無知な輩か、はたまたその名を知ってなお手を伸ばす傲慢な輩か」

 どちらにせよ、面倒なことには変わりないわけだ。

 ならば。


「……少しお灸を据えてやらねばなりませんね」


 俺の口から出た言葉に、シスターは目を丸くした。


「こりゃ珍しい」


「何がです?」


「いやぁ、チミがそんな能動的に動こうとするなんてさ」


「……」


 出会って一ヶ月ちょいの俺の何が分かるって言うんだ。実にその通りだよ馬鹿野郎。


「もう護衛の任は解かれてるんでしょ?」


「よくご存じで」


「それでも動くんだ?」


「ええ」


「なぜ?」


 なぜ、と言われてもな。

 確かに、俺は特殊な人間だ。魔法使いのクセに呪文詠唱はできないし、現代魔法では不可能と言われている転移魔法が扱える。そして魔法詠唱ができない分、実力者と渡り合う為にはそういった(、、、、、)魔法(、、)を使わざるを得なくなるのも事実で、それは師匠と交わした約束に反することにも繋がる。

 それでも。


『……ほんと、何勝手にいなくなってんのよ』

『最初に、謝って頂けて嬉しかったです。私は、貴方を許します』

『……中条せんぱい。中条せんぱいは、中条せんぱいですよね?』


 3人の声が聞こえる。あれからもうそれなりの日数は経っているにも拘わらず、その声は未だに鮮明に思い出せるのだ。向こうにとっては、ただ感情に任せて放った何気の無い一言。それでも俺にとってはとても大切な言葉だった。


「友達、ですから」


 友人の庭が荒らさせるってのが分かってるなら、その前に叩き潰す。しかも、本当に俺が狙いだとすれば、俺だってとっくに当事者ということになる。俺が動くことに何ら問題はないはずだ。


「へぇ」


 シスターはにやけ顔で大きく頷いた。

 そして。


「自分のキャラじゃないって分かってる?」


「色々と台無しだな!!」







 深夜。

 聖夜が教会を後にしてからしばらく経った後。

 メリッサは頃合いを見計らっていたかのように、携帯電話に手を伸ばした。お目当ての番号を呼び出して通話ボタンを押す。お相手は数コールで出た。


「私よ」


『どうしたの?』


 メリッサとこの相手方の間に世間話など無い。つまり、電話が鳴ったということは何かがあったということ。相手方もそれを十分に理解している為、メリッサは即座に本題を切り出した。


「聖夜が接触したわ。相手、一獲千金って名乗ってた(、、、、、)らしいけど」


『……もう気付かれたということ?』


 相手方の声色が、幾分か緊張を帯びたものに変わる。


「肯定しかねるわね」


『なぜ?』


「相手、本気で殺しにきてたみたい。バレてるならそうはならないんじゃない?」


『……、……そう、ね』


 やや長めの間を置いて、相手方が肯定した。


「まあ、向こうがどうしたいのかってのは想像の域を出ないわけだけど」


『相手は一獲千金、と?』


「うん。表裏の無い発言なら取り越し苦労って事になるけど……。ああそれと、聞いた特徴から察するに、紅赤の制服を着てたようね」


『まさか』


 息を飲む音が聞こえる。ただ、心情としてはメリッサも同じだ。


「下手すれば黄黄、もしかすると青藍にも潜り込んでいるかもしれない」


『……直ぐにそちらに戻るわ』


「馬鹿仰い」


 相手方の決意を、メリッサは一言で切り捨てる。


「今の貴方の身体で(はや)ったところで何ができるってのよ。そっちの案件きちんと片付けてから来なさい」


『……こちらの標的は曖昧なものばかりだし』


「それを気長に、そして虱潰しにやっていこうって言って合意したんでしょうが」


 今更それを確認させるな、と。メリッサは言外に言い放った。相手方が押し黙る。


「こっちはこっちで何とかするわよ」


『何とかって……、貴方ねぇ』


 聖夜もやる気になっているようだし、という言葉は口にしなかった。しようものなら平気でやるべき事をほっぽりだし、こちらへ戻って来てしまうだろうことを、メリッサは知っているからだ。

 だからこそ。

 メリッサは、「私もあの少年に感化されてたか」と思いつつ彼女らしくないセリフを紡ぐ。


「……最悪、私が出る」

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