オマケ TAMATAMA
ここから先はオマケのターンで御座います。前回は転移魔法についての簡単なQ&Aでしたので、今回はどんなやつにしようかなぁと思っていたのですが、感想を下さった方の中で何件か「聖夜の反省文の内容が気になる」といった内容のものがありました。全文再現はめんどくsこほこほ。全文再現はちょっと時間的に余裕が無いので、反省文をテーマにした小ネタでもと思い下記に綴ることにします。あくまでも小ネタなので、真面目な感想や意見は無しで(笑)。
前置きが長くなりましたが。
どうぞ聖夜の完成させた反省文の鱗片でも掴んで行って下さいませ。
最初に断っておきたい。
これは、“たまたま”その日学園に持ってきていたボイスレコーダーが“たまたま”中条君の教室へと足を踏み入れた時に“たまたま”手を滑らせ“たまたま”中条君の机の近くに落ち“たまたま”死角へと滑り込んでしまった際に記録した音源である。しつこいようだが、これは“たまたま”電源がONの状態になっていたボイスレコーダーが拾った彼らの会話であり、決して意図的に行ったものでは無いという事をここに断言する次第である。(件の情報提供者:青藍魔法学園生徒会長・御堂縁 談)
ザザッ……
ガララララ
「おう、やっと戻って来たかよ」
「あん? お前ら、こんな時間まで何やってんだ?」
「何やってたって、決まってんでしょ。アンタの事待ってたのよ」
「流石に心配でね」
「何せあの超大作にお前の学園生活が握られていると言っても過言では無いからな」
「過言だろ」
「それで、どうだったのですか、中条さん。大丈夫なんですよね?」
「中条せんぱい。……退学になんてならないですよね?」
「ああ、多分大丈夫だろ。つーか、あれだけのモン書き上げて退学にされんなら、アレ使って学園放火してやる」
「アンタ、物騒な事言うの止めなさいよ」
ガサッ ガササッ
「ま、とにかく悪かったな、待たせて。とっとと帰ろうぜ」
「そだなー。聖夜も来たし、行くか?」
ガタンッ ガタガタッ
「にしても、随分とかかってた割に結果はまだなんだな」
「ああ、まだ読んで貰って無いしな」
「え? それじゃあこんな時間まで何やってたんだい?」
「説教だよ。ひたすらな」
「あー」
「手を合わせて拝むな。縁起でもねぇ」
ガサッ ガガガッ ザザザザッ
「――(雑音の為、聞き取れず)し、飯でも……」
「ん? 何か音がしないか?」
「音?」
「何?」
「え?」
「……何か近付いてくる」
トトトトトドドドドドドドドドドドドッ
バッタ――――ンッ ピボビイザザッ
「中条くぅ――――んっ!?」
ザジザザザザザッ ガギッ ピビビッ
「きゃっ!?」
「し、白石先生!?」
「はるかちゃん?」
「うおっ!? そんなに血相変えてどうしたんです?」
「はぁーはぁーはぁー」
ガササッ
「え? それって」
「聖夜の……」
「はぁーはぁー」
「どうしたんです? 名前でも書き忘れてましたか」
「はぁーはぁー。なまえぇ?」
「怖っ!?」
ドドッ ガシッ バターンッ
「痛っ!?」
「ちょっ!? 白石先生!?」
「はるかちゃん、何聖夜に抱き着いてんの!?」
「中条君、これはいったいどういう事ですかー!?」
ガタンッ ガタガタ ザザザッ ピピッ
「うわっ!? ちょっと白石先生、上でもぞもぞすんの止めて下さい!!」
ザザッ ガタンッ
「聖夜、てめぇ何てうらやまし――」
「おっと滑った」
バギッ
「へぶしびっ!?」
「うわっ!? 痛そ……」
「ぐおおおおおおおおお」
ガタン バタン ドタン
「もつれ合ってるトコに屈みこむからだ」
「修平! 冷静に分析してないで白石先生をどけてくれ!!」
「中条君、この反省文はいったいなんですか!!」
「ちょ、ヤメテ! 変なとこ触らないで!!」
「変!? 変なとこって何処よ!! 聖夜アンタ何してんのよ!!」
「おれのせいじゃ無くない!?」
ザザッ
(しばらく聞くに堪えないやり取りが続くため、早送りをする)
「……でですね」
「何で皆いるんだよ。お前らもう帰れよ」
「ここまで待ってやったんだ。最後まで待つさ」
「綺麗な友情のように言ってんじゃねぇよ!! ただ面白半分で残ってるだけだろ!!」
「俺は面白全開だぜ」
「一遍死ね!!」
「なっかじょーうくぅーん」
「はっ!? いや、いえ。……将人、仲良くしよう」
「キモッ」
「やっぱ殺す!!」
「中条君! 暴力に関する反省文を書いてきたくせに、提出した担任の前で再び暴力を振るおうとするなんていい度胸です!!」
「え? いや、そんなつもり――ぎゃー!!!!」
ガタンッ バタンッ
(しばらく聞くに堪えないやり取りが続くため、早送りをする)
「それで、この反省文なわけですが……。どういう事なんです、この内容は!?」
「何だ、聖夜。何かやらかしたのか?」
「アンタ、自分の学園生活懸ってんだから真面目にやっときなさいよ」
「中条さん……」
「中条せんぱい……」
「俺が不真面目みたいに言うのやめろ!! あと、可憐と咲夜!! そんな悲しそうな顔でこっち見ないで!!」
(しばらく聞くに堪えないやり取りが続くため、早送りをする)
「それでは、順に見ていきましょう」
「「「「「「はい」」」」」」
「え!? お前ら帰れよ!! 聞くなよ!!」
「うるせぇ、こんな面白いモノごほんげほん。お前の事が心配なんじゃねぇか!!」
「今言った!! 面白いモノって言った!!」
「中条君!」
「は、はい!?」
ガササッ
「中条君は、これについてどう思いますか?」
「……どうも何も、反省文以外の何物でもないですけど」
「この内容で?」
「はい」
「この内容で?」
「はい」
「この内容で?」
「は、はい」
「この内容で?」
「……はい」
「この内容で?」
「……」
「この内容で?」
「……違うんでしょうか?」
「……」
「……」
「自分で気付けないのなら、やはり第三者の視点から見て貰った方がいいですね」
「公開処刑か!!」
(しばらく聞くに堪えないやり取りが続くため、――――以下略)
「まずは表紙・タイトルです。『今回の暴力事件に対する反省点及び私見』」
「……」
「……私見?」
「私見って何だ」
「タイトルから躓くの止めろよ!!」
「だって、反省文だろ?」
「私見て」
「私見は無いわね」
「流石に私見は……」
「ふわぁ、中条せんぱい凄いです……」
「先進んでよもう!!」
「ちなみに、表紙で2P使います」
「超常現象か!!」
「どういう原理だよ、おい」
「いいから先進め!!」
(しばらく聞くに堪えないやり取りが続くため、――――以下略)
「次に目次が入ります」
「目次かぁ」
「明らかにページ稼ぎではあるよな」
「目次で3P使ってます」
「多っ!?」
「明らかにカサ増しじゃん!!」
「……お前ら俺の事心配なんだろ。だったらフォローしろ」
「まぁ、12万文字もあるんなら目次もそれくらいでいいんじゃない?」
「舞!! お前は最高の友達だ!!」
ガタンッ
「わっ!? ちょっと聖夜!?」
「あ、あ、あ、な、中条さんと舞さんがっ、あ、え、あ、――(小声で聞き取れず)」
「わ、あ、い、いいなぁ、花園せんぱい。わ、私も――(小声で聞き取れず)」
「聖夜ぁ!! てっめぇ!!」
(しばらく聞くに堪えないやり取りが続くため、――――以下略)
「『1、そもそも暴力とは』」
「ぶっ!?」
「『暴力とは』!?」
「そもそも論からかよ!!」
「……」
「あはははははっ!! 何語る気よアンタ!!」
「ぷっ、ふふふふ」
「あはは」
「哲学か!!」
「帰れよもうお前ら!!」
(しばらく聞くに堪えないやり取りが、――――以下略)
「流石に全部は朗読しきれないので、さわりの部分だけでも――こほん」
「読むの!?」
「いいぞいいぞはるかちゃーん!」
「ちょ、マジで止めて」
ガタンッ
「あっ!? 聖夜を取り押さえろ!!」
「白石先生が止められる!!」
「ぐっ!? 離せてめぇら!!」
「『そもそも今回のテーマである「暴力」という言葉は、何時の時代から意識されるようになったのだろうか』」
「ぎゃははははははははは!!」
「あああああああああああああああああ!?」
「はははははははははっ!! じ、時代!? 時代かよ!! ははっ!! 初っ端から壮大なスケールだな!!」
「くっ!? 冒頭くらい好きにやらせろよ!! 表現の自由だ!!」
「『遥か太古の文献を読み解くと』」
「あはははははははは!! 遥か太古って! いったいいつの文献を引っ張り出してきたんだい?」
「字数稼ぎの形容詞でいいのが思い浮かばなかったんだよ!!」
「これで30P使います」
「凄いな!!」
「頑張ったな!!」
「努力賞くらいは貰えるんじゃないかな」
「うるせぇよ!!」
ザザ ガガ ピピ
(しばらくの間、雑音の為会話が聞き取れず)
「――て、次に学園の暴力に関する校則の抜粋がひたすら続き、各校則ごとに中条君の見解を挟みます。『2、学園の考える暴力とその対応法、そしてそれに対する私見』」
「また私見か!!」
「考えるの大好きだな!!」
「あーあー! もうグレちゃおっかなー!!」
(しばらくの間、聞くに堪えない幼稚な校則への私見が相次ぐ為、割愛する)
「そして『3、今回の事案について。その概要』」
「やっと本題か!!」
「おっせえ!!」
「……何に対する論文なのか分からなくなってたよ」
「ああ、そういえばこれ反省文だったっけ」
「ふふふ」
「それだけ読者を引き込める文才って事ですね!」
「……いじめで訴えていいですかね、もう」
「ちなみに、この段階で全体の文量で見ると既に折り返してます」
「前書き長っ!!」
「どんだけ引っ張ってんだよ!!」
「うるせぇー!!」
ガガァァァアダダザピイビッ!!
「(雑音の為聞き取れず)――で、状況説明をする為だけに発生時刻を秒単位で記載、又学園の図面をひいて対象者との距離まで全て詳細に記載されてます」
「秒!?」
「距離!?」
「……」
「突発的に発生した時間や距離なんて、よく分かったね」
「……公衆の面前だったからな。そこは俺の綿密な調査の元にだな」
「ちなみに、発生時刻は少なくとも30分以上ずれてます。又、立ち位置においてもこれを見ると4人の生徒さんが階段を下りるところで喧嘩になったと書かれていますが、実際は、4人の生徒さんはクラスから出て来たばかりの場所で暴力を振るわれており、階段から上って来たのは中条君本人だったようです。周囲で見ていた生徒さんから、綿密な調査の元位置関係を割り出しました」
「……」
「嘘かよ!!」
「酷いな!!」
「字数稼ぎで奮闘してる俺の気持ちを少しは汲めよ!!」
(しばらく聞くに堪えないやり取りが、――――以下略)
「『4、今回の事案の因果関係、及びその私見』」
「私見!」
「私見!」
「私見!」
「私見!」
「……」
「しけんっ!」
「うるせぇよ!!」
「ここでは4人の生徒さんのプロフィールから説明が開始されます」
「プロフィール!?」
「配属クラスから得意魔法、果ては身長体重性別までこと細かに」
「凄いな!!」
「変態か!!」
「流石にそれは驚きだね。どうやって調べたんだい?」
「流石にちょっとヒくわ、それ」
「……中条さん」
「……中条せんぱい」
「え、いや、それは、えっとですね」
「ちなみに。配属クラスはDであり、Cは間違いです。又、得意魔法もどれ1つとして合っておらず、身長、体重においても誤差とは思えぬレベルでの違いが見受けられます」
「また嘘かよ!!」
「嘘の塊だな!!」
「……そんな事だろうと思ったよ」
「あははははははっ!」
「酷い誤解をしてしまいました。申し訳ございません、中条さん」
「よ、良かったですー、中条せんぱいが変な事してなくて」
「……バレて良かったのか悪かったのか、複雑な気持ちだ」
(しばらくの間、何の面白味の無い中条君の言い訳タイムに突入するた――こほん。しばらくの間、雑音により聞き取れない為、早送りをする)
「そして、これで最後になります。『5、総括』」
「まとめてないで反省しろよ、お前」
「……修平、頼むからお前口開くな」
「総括では今回の事案、暴力に対する見解を改めて記載しているようですね。それもこれまでの文章と“一文字も違わず”に、ね」
「……」
「……しかも丸写しかよ」
「総括っていうより、前回までの復習とかおさらいみたいね」
「あ、花園せんぱいうまいです」
「……」
「これで300枚、中条君の“反省文”になります」
(しばらくの間無音が続く)
パチパチ
パチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
わあああああああああああああああああああああ
ザザザガガッ
(音割れ)
ザザビビテッピボッ!!
「良くやったわ、聖夜! これは近いうちに学園の教科書になるかも!!」
「ならねぇよ」
「男だぜ、お前! よくやりきったな!! 面白かったぜ!!」
「最後の一言取り下げろ」
「中条さん、お疲れ様でした!」
「ありがとう」
「実に興味深い論文だったよ!」
「反省文だ馬鹿」
「中条せんぱいっ、お疲れ様ですっ!!」
「ありがとう」
「ま、暇つぶしにはなったな」
「死ね」
「と、いうわけで中条君」
「はい?」
「書き直しです」
「え」
……End
以上が今回俺が提出する、実に興味深い資料である。尚、これは“たまたま”入手する事ができた音源であり、万全の準備の元録音したものではない。従って雑音等が混じる事により聞き取れぬものや、小声過ぎて聞き取れぬもの等も多数あったと思う。又、誰が喋っているのか分からなくなる場所もあったかもしれない。だが、それに関する質問は一切受け付けられないので、その点についてはご理解頂きたい。(件の情報提供者:青藍魔法学園生徒会長・御堂縁 談)