第9話 歓楽都市フィーナ ④
☆
「……これは全て我々の失態で御座います。その尻拭いを押し付けてしまったばかりか、同胞の命までお救いくださるとは……。私はいかにして貴方様に報いればよろしいでしょうか。我々の命で贖えるとは思っておりませんが――」
「自決を禁ずる。これは命令だ」
いつまでも続きそうだったシルベスターの口上を打ち切る。シルベスターの隣で、同じように跪いていた『白銀色の戦乙女』のナンバー2であるケネシー・アプリコットが無言のまま柄から手を離した。どうやら先手を打ったおかげで、目の前で自決されるという最悪なケースは回避できたらしい。
自決させたり腹いせに殺したりするくらいなら、最初から助けてねーよ。今までの労力はなんだったのかという話だ。俺より頭が良いくせに、こういうときはまるで話にならないのはなんとかして欲しい。
仮面の下で、小さくため息を吐く。
ここは歓楽都市フィーナにある『朱の料亭』、その中にある個室の1つ、部屋番号は011。アリスや白銀色の団員2名が人質として捕らえられていた部屋だ。今もその3人は意識を失ったまま床に転がされている。なにせ、シルベスターとケネシー・アプリコットは入室するなり人質には一切目もくれずに俺の前へと跪いたのだ。
ちょっとは捕らえられた仲間の心配もしてやれよ、と思う。
「息があることは確認した。だが、それだけだ。他に処置が必要ならしてやれ」
「はっ」
シルベスターが横目でケネシー・アプリコットを見る。その視線に頷いたケネシー・アプリコットが、俺へ深く頭を下げた後、床に転がった3人のもとへと歩み寄った。そのまま縛られた縄を解きにかかったのを見届けたタイミングで声が掛かる。
『我々は本当に追わなくてよろしかったのでしょうか。折角の機会を――』
「それはもう済んだ話だ」
テーブルの上に置かれたT・メイカー名義のクリアカード。そこからホログラムで表示されている『番外』のジャスティン・クィントネス・パララシアにそう告げる。おそらく、奴らは歓楽都市フィーナ周辺に展開させていた『番外』と『赤銅色の誓約』の一部メンバーにも気付いていただろう。
気付いていて、見逃した。
歓楽都市フィーナの中に入れていたらどうなっていたかな。本来なら歓楽都市フィーナ周辺で張らせることすら断るつもりだったのだが、ジャスティンとその妹であるイレーア・クィントネス・パララシアが納得しなかったのだ。結局、折衷案ということで今の配置となったわけだが……。
メールの内容を見る限り、怖くてこれ以上近付けさせることは出来なかった。結局、手を出されず人質も無事に返って来たところを見るに、正しい判断だったらしい。
「他の赤銅色から連絡は?」
『定時連絡は受けております。エヴァンス様側、姫百合と花園側、それぞれには変わりありません』
「……花園家第一護衛はまだ戻ってきていないのか?」
『はっ。確認しましたが、戻って来てはいないようです』
……そうか。心配だな。
祥吾さんは、舞の護衛の責任者だ。その祥吾さんへ、剛さんが別件でこれほど時間が掛かるような仕事を押し付けるとも思えないが……。それとも、その別件も護衛繋がりか? 少なくとも、前回ルートでは気付かなかったはずだが。
『……T・メイカー様?』
「了解した。間もなくここを引き払う。お前達も配置に戻ってくれ」
『承知致しました』
通話を切る。
「T・メイカー様、これからの予定をお聞かせ願いますか」
シルベスターからの質問に、少し悩む。
修学旅行中の舞たちと合流するか。
それとも、もう師匠たちと合流してしまうか。
前回ルートでは何をしていたんだっけ?
交易都市クルリアでは『無音白色の暗殺者』と『白銀色の戦乙女』とのいざこざを目撃し、巻き込まれないようにするためにさっさと退散することに決めた。その後向かったのは創造都市メルティだ。そこでは道すがらウインドウショッピングを楽しみつつ、王立エルトクリア魔法学習院へ向かったはずだ。俺たちは関係者ではないため、学習院の敷地内には入れないが、見るだけは見ようという理由だったと思う。
確か、スペードと再会したのはそこだ。
そこで、和解するのだ。
貴族都市ゴシャスでアルティア・エースと一戦交えたことに関して。
もっとも、それは前回ルートだけの話であり、今回はエースと敵対していない。むしろ良好な関係を築けていると言えるだろう。おまけに、スペードはアリス・ヘカティアを回収させるために貴族都市ゴシャスにある関所で待機させている。今、ここで舞たちと合流しても創造都市メルティでスペードと会うことは無い。
そうだ。
スペードに解決したことを知らせておかなくては。
関所で待機させたままのスペードへ、誘拐された逃走奴隷を無事に奪還できたこと。予定通り、白銀色のメンバーに関所まで届けさせることをメールで伝えておく。
さて。
前回ルートでは、その後どうしたっけ?
創造都市メルティでの観光を済ませた後は、宗教都市アメンへ向かいアリスと偶然にも遭遇するわけだ。いや、そう言えば宗教都市アメンに向かう前、創造都市メルティにある師匠の元教師であるティチャード・ルーカスさんの店を訪ねたっけ。
精霊王の話を聞いたのはそこだったな。
正体を知った上でウリウムと対話したのも。
そうなると、修学旅行の過程でこなさなければいけないイベントは全て終わったということか? ルーカスさんへ直接お礼をしに行った事実も無くなってしまっているため、出来れば訪問したいところだが、正直今はそれどころではない。
精霊王の話は前回ルートで聞けているし、ウリウムとの対話も済んでいる。その記憶は俺だけでは無くウリウムにもある。そして、遡りの話をしたエマと美月にも。逆に、遡りの話をしていない舞や可憐はこの事実を知らない。俺が直接創造都市メルティに足を運ばずともこの状況にもちこめているのは、記憶を保持した状態で今回ルートに突入したからだ。
同時に、宗教都市アメンに向かう必要も無い。なぜなら、逃走奴隷のアリスは既に捕獲済みだ。後はここにいるアリスを関所にいるスペードへと送り届けるだけ。俺もついて行きたいが、『脚本家』からの警告にある『保護したアリス・ヘカティアを王城へ連れていく際、ついていくな』がまだ有効のはずだ。ここは白銀色に任せるべきだろう。
「お前たちは、当初の予定通りアリスを連れて貴族都市ゴシャスの関所を目指せ」
シルベスターからの質問は一旦スルーしてそう告げる。クリアカードが着信を知らせてきたため確認したところ、相手はスペードで『了解した』とのメールが届いていた。『ユグドラシル』側のアリス誘拐の目的が今回のアマチカミアキと俺の会談のためだとしたら、もう襲われる心配はしなくていいはずだ。ただ、残念ながらそれを保証する要素がどこにもないところが怖い。
「一度解放している以上、二度目の襲撃は無いと信じたいが油断はするな」
「お待ちください。我々全てが出払ってしまうと、御身の警護が疎かになります。不肖の身では御座いますが、我らの中から警護の者をおつけください」
気にするな、と言ってしまいたいが、シルベスターの言い分も納得できる。特に、エマから俺自身の安全も保障されているわけではないと警告をもらっている以上なおさらだ。
「では、ケネシー・アプリコットに俺の警護を命じよう」
「はっ、はひっ!!」
人質に取られていた3人の容態を確認していたケネシー・アプリコットが、突如として立ち上がってそう返答した。直立不動のまま耳を真っ赤にさせた彼女にどう反応して良いか分からず、噛んだことは気付かなかった振りをして視線をシルベスターへと戻す。
「それで構わないな?」
「……T・メイカー様の判断であれば従います。しかし、私では不足でしょうか」
従うと言いつつ、不満のありそうな様子のシルベスターである。
「不足なわけがあるか。むしろ逆だ。白銀色の中の最高戦力はお前だろう。白銀色の中から1人選び、人質に取られていた2人を任せろ。白銀色は全部で7人だったな。ケネシー・アプリコットは俺の護衛、人質2名につける者が1人、残りはお前を含めた3人だ。戦闘力が無く、おまけに意識も無い状態のアリス・ヘカティアを護衛しながら関所まで送り届けることになる。最高戦力のお前をそこにつけることに問題があるか?」
「いえ、ございません。死力を尽くして任務を全う致します」
「では、行動に移れ」
「はっ」
俺の命令に頷いたシルベスターが、クリアカードを取り出して外で待機している仲間へと指示を出し始める。それを視界の端で確認しつつケネシー・アプリコットのもとへと歩み寄った。
「ケネシー・アプリコット。3人の容態はどうだ」
「がっ、外傷はありませんので、気を失っているだけでひょう。直に目を覚ますかと」
俺の質問に対し、なぜか震える声で返答する。先ほどは折角気付かない振りをしたのに、面と向かってまた噛まれるといよいよどう反応していいか困る。
なぜだ。
そんな怖がらせるようなことをした覚えは無いのだが。
シルベスターからギロリと睨まれたケネシー・アプリコットが、僅かに肩を震わせながらも頷いていた。どうやら、シルベスターにも部下のあからさまな緊張に思うところがあったようだ。それなら、俺は気付かなかったことにすればいいだろう。
「……そうか。ならば、後のことはシルベスターが呼び寄せる白銀色の者へ一任する。聞いていたと思うが、これより先、お前には俺の警護を任せる」
「はっ!! このケネシー・アプリコット、一命を賭して御身を守り抜くことを誓います!!」
……。
思わず一歩引いてしまうほどの気迫を感じた。
ある程度、シルベスターと接することで慣れてきたと思ったのだが、年上美人からこうも傅かれるような態度を取られると反応に困ってしまう。師匠直属の部下故に寄せられている信頼のはずなのだが、表面通りに言葉を受け取っていたらそのうち勘違いを起こしてしまいそうだ。
「シルベスター、後は任せる。ケネシー・アプリコットは付き従え」
両名の肯定を聞き、部屋を出る。踵を返した瞬間に、目にも留まらぬ速さでケネシー・アプリコットが動き、扉を開けてくれた。足を滑らせて扉に頭を打ち付けるようなドジっ子属性はついていなかったようだ。
暖色系の灯りに照らされた狭い廊下を進む。
仮面にローブ姿の俺だが、着物を着て接客する従業員から呼び止められることは無かった。すれ違う際には、従業員が廊下の隅に移動して一礼してくる。
俺のように、身分を隠して店を利用する客が多いのかもしれないな。
今も目の前で別の個室から従業員が出てきたのだが、従業員が退席し扉を閉める直前まで室内から女の嬌声が聞こえていた。歓楽都市フィーナは、人の欲望を満たすものならなんでもあると言われている都市だ。そこにある店なのだから、そういった行為もされているだろうとは思っていたが、ここまであからさまだとは思わなかった。
俺の接近に気付いた従業員が隅に寄り、頭を下げる。
それに手を軽く挙げることで応えて通り過ぎた。
前方から足早にこちらへと接近する人物を捉える。シルベスターが人質2人を任せるために寄越した増援だろう。付き従っていたケネシー・アプリコットが、小声で「同僚です」と教えてくれた。
見れば分かる。なにせ、ケネシー・アプリコットと同じ白銀の甲冑を身に纏っているのだから。おまけに、やって来るゆるふわ系巨乳美女も記憶にある。前回ルートの交易都市クルリアで、俺の正体に気付いたアイリーン・ライネスとチルリルローラ・ウェルシー・グラウニアを止めてくれた人だ。
むしろ、ゆるふわ系巨乳美女が背負っている馬鹿でかい武器の方が目についた。円状のそれは、直径が2m近くある。少なくとも1.5m以上はあるはずだ。その外周に鋭い刃がついており、暖色系の灯りを鈍く反射している。ゆるふわ系巨乳美女が一歩進めるたびに金属が擦れ合うような音が響いている。見れば、美女の影から鎖が垂れ下がっているようだった。どうやら円状の武器の一部らしい。
その武器はどうやって使うんだ?
投げるのか?
すれ違う際、こちらへ会釈をしてくれた。それで終わり。こちらの歩みを止めるようなことは何も無い。先ほどのシルベスターやケネシー・アプリコットのように、いきなり跪かれるかと身構えそうになったがそんなことは無かった。もしかすると、シルベスターが何か言っておいてくれたのかもしれない。
朱の料亭から外に出る。
「移動には交通手段は使わない。強化系魔法は扱えるか?」
「はっ」
「よし、ついて来い」
身体強化魔法を使い、跳躍する。ケネシー・アプリコットも直ぐに追従してくる。近接戦闘のエキスパートである『白銀色の戦乙女』のメンバーに対して、不要な心配だったな。
行き先は、創造都市メルティ。
ルーカスさんの店だ。
直前までは舞たちと合流しようと思っていたのだが、気が変わった。
お礼の件だけではない。アマチカミアキから受け取った謎のMCを見てもらうためだ。ウリウムが言うには本物のようだが、どのような意図で俺に渡してきたのかは不明だ。MCの構造に詳しいルーカスさんに、一度診てもらった方が良いだろう。場合によっては、そのままルーカスさんに返却してもいいかもしれない。元はと言えば、ルーカスさん達が造り上げたものだし。
2つ持っていても意味が無い。
なにせ……。
「……ウリウムの時のように、声が聞こえないんだよなぁ」
「何か仰いましたか? T・メイカー様」
「いや、何でもない」
無意識のうちに声が出ていたらしい。
ケネシー・アプリコットからの質問にそう答え、改めて前を向く。
《あたしの時だって、最初は言葉が通じなかったじゃない》
しっかりと俺の呟きを拾っていたウリウムが、俺にしか聞こえない声でそう言った。そうだ。よく考えたらこいつに聞けばいいんじゃないか。こいつなら、アマチカミアキから受け取ったMCに他の精霊王の意思が宿っているか分かるだろう。
ただ、ケネシー・アプリコットがいる手前、この状態では聞きにくい。ルーカスさんの店に着いたら、一度席を外してもらってその時に聞くとしよう。どちらにせよルーカスさんにはウリウムの話をもう一度する必要がある。ルーカスさんの前でなら、ウリウムに話しかけても問題は無い。
ウリウムの言っていた通り、俺はこのMC『虹色の唄』を受け取った瞬間からウリウムと意思の疎通が出来ていたわけではない。しかし、ノイズのようなものは聞こえていたのだ。そして、アマチカミアキから受け取ったMCにはそれが無い。
もし仮にウリウムと同じように精霊王の意思がこのMCに宿っているのだとしたら、ノイズが聞こえていてもおかしくはないはず。それが無いという事は、俺との波長が合っていないことを意味する。すなわち、ウリウムの時と同じように意思の疎通は出来ないという事だ。
……。
ここで結論を出すのは早計か。
全てはルーカスさんに会えば分かる。
問題なのは、店に辿り着けるかどうかということだ。
初めて行ったときは、師匠の案内があったからで。
二回目は出鱈目に歩いて奇跡が起こったというだけだ。
二度ある事は三度あるか……?
「T・メイカー様」
「……何だ?」
追従するケネシー・アプリコットから声を掛けられる。
やたらと深刻そうな声色だったため、少し身構えてしまう。本当に何だ。不審な行動でもしていただろうか。そんな俺の心配を余所に、ケネシー・アプリコットが言う。
「……その、差し出がましいお願いではあるのですが、そっ、その、私のことを呼ぶ時も、えっと、その。けっ、ケネシーと呼び捨てて頂けないでしょうか!! シルベスターのように!!」
……。
「分かった。今後はケネシーと呼ばせてもらおう。これでいいな?」
「はっ、はい!! ありがとうございます!!」
このやり取り、どこかでしたことがあるような気がする。
……シルベスターか。
今のケネシーとの会話でふと思ったのだが、俺は今回ルートでシルベスターと呼び捨てることを許可してもらったか? 前回ルートと今回ルートの記憶が混在しており、いつの間にかシルベスターを呼び捨てている気がする。
……まあ、いいか。
シルベスターだし。
全てが終わった後、向こうが気分を害しているようなら謝ろう。
屋根から屋根へと飛び移る。
客引きするために建物から出てきている煽情的な服を着たお姉さまが目に毒だ。
未成年には刺激が強すぎる。
煩悩を振り払うようにして頭を振った。
創造都市メルティに向かう為には、立地的に中央都市リスティルを抜けなければならない。
さくさく行くとしよう。
★
ツインテールにしていた髪を解いた沙羅双樹は、外した金髪のカツラを助手席へと放り投げた。アマチカミアキが後部座席に乗り込んだことを確認し、車を発進させる。
「あれ? カツラ取ったんだ」
「……お言葉ですが、私をいくつだとお思いですか。あのような髪形、私には似合いません」
アマチカミアキからの言葉に、沙羅双樹は思わず不貞腐れたような声色で返答した。バックミラーに視線を向けてみれば、後部座席で涼やかな笑みを浮かべながら座るアマチカミアキの姿が映る。
「そう? 似合っていたと思ったんだけどな」
「……恐縮です」
本心なのかリップサービスなのかを測りかね、結局のところどちらでも構わないという結論に至った沙羅双樹は、半ばヤケクソにそう答えた。
「行き先は、近未来都市アズサでよろしいでしょうか」
「うん、構わないよ」
質問に対する肯定を聞き、沙羅双樹がハンドルを切る。しばらくの間、沈黙が続いた。アマチカミアキは笑みを浮かべたまま車窓から覗く景色を眺めている。沙羅双樹はハンドルを握りながら、正面とバックミラーへ交互に視線を向けていた。
それを何度繰り返したか。
アマチカミアキが沈黙を破り、口を開く。
「何か聞きたいことがあるなら聞いても良いよ」
無言。
沙羅双樹が直ぐに口を開くことは無かった。しばらくバックミラー越しに沙羅双樹へと視線を向けていたアマチカミアキだったが、やがてその視線を車窓へと戻す。「無いなら別に良いんだけど」と呟こうとして、そこでようやく沙羅双樹が口を開いた。
「……私は、一定の信頼を得られたと考えてもよろしいのでしょうか」
「それはどういった意図での質問だろうか。部下としてなら、勿論信頼しているよ。天上天下によく仕えてくれている。これでは、君の欲した回答には遠いかな?」
やや間を空けて、沙羅双樹が再び口を開いた。
視線は前へ向けたまま、アマチカミアキを見ることなく。
「……直接お会いできるとは思っていませんでしたので。このまま用済みとして処理されないのであれば……、お姿を見せても構わないと判断される程度には、私は信頼されたのかと愚考しました」
「はは。なるほど」
軽く笑い、アマチカミアキが続ける。
「そうだね。姿を晒しても構わないと考える程度には、君のことは信頼しているよ。……君にはまだ重かったかな?」
「いえ、恐縮です」
沙羅双樹の視線は、前を向いたまま。
アマチカミアキの方へは見向きもしなかった。
「ところで、俺の方からも質問を1ついいかな」
車は歓楽都市フィーナを抜けて中央都市リスティルへと入った。
「……何なりと」
「天上天下の寄り道について、何か聞いているかい?」
「確認したいことがある、と申しておりましたが、それ以外は何も」
次回の更新予定日は、1月24日(金)18時です。