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終わらせるための魔法使い――魔物パンデミックと、壊れた世界の正しさ――  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)
3章-真実

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第33話「黒牙会の暗躍」

 レッドゾーンの廃工場。


 地下に続く階段を降りると、湿った空気が漂っている。


 黒川竜二は、その階段を降りながら、タバコを吸っていた。


 年齢は四十代。身長は百八十五センチ。筋肉質の体に、黒いスーツを着ている。


 黒川は、かつて暴力団の幹部候補だった。


 だが、魔物パンデミックが起きた時、組織は壊滅した。


 黒川だけが、魔法に目覚めて生き延びた。


 そして今、彼は「黒牙会」という組織の首領だ。


 地下に到着する。


 広い空間が広がっている。かつては工場の倉庫だったのだろう。天井は高く、柱が並んでいる。


 そして、その奥に、檻がある。


 巨大な鉄の檻だ。


 その中に、C級魔物が二体、閉じ込められている。


 一体はトロール型。もう一体はベアー型だ。


 魔物が暴れている。檻の柱を曲げようとしている。金属が軋む音がする。


 黒川が近づく。


 魔物が、黒川を睨む。


 だが、黒川は動じない。


 黒川「まだ暴れるか」


 部下の一人が、黒川に報告する。


 部下「昨日、二名が死にました」


 黒川「そうか」


 部下「檻の修理中に、魔物が暴れて……」


 黒川「分かった」


 黒川が、タバコを床に捨てる。


 黒川「実験を続けろ」


 部下「……はい」


 部下が、緊張した顔で頷く。


 黒川は、檻の前に立った。


 魔物が、再び暴れる。


 黒川は、その様子を冷静に観察している。


 黒川「……面白い」





 黒川が、別の部屋に移動する。


 そこは、簡易的な研究室になっている。


 机の上には、魔物の解剖データ、魔素濃度の測定結果、実験記録が並んでいる。


 黒川は、その中の一つの資料を手に取った。


 「魔物の体内魔素量」というタイトルだ。


 黒川が、ページをめくる。


 「C級魔物の体内魔素量:平均80 MS」


 「B級魔物の体内魔素量:平均150 MS」


 黒川「……魔素が蓄積されている」


 黒川は、資料を机に置いた。


 そして、窓の外を見る。


 廃墟の向こうに、グリーンゾーンの明かりが見える。


 黒川「魔物を制御できれば、この世界を支配できる」


 黒川が、部下たちに語りかける。


 部下たちが、黒川の周りに集まる。


 黒川「政府も自衛隊も、力の底限は見えている」


 黒川「だが、俺たちには、まだ可能性がある」


 黒川「魔法の才能と、この混乱だ」


 部下の一人が、口を開く。


 部下「ですが、首領。魔物を操る方法は……」


 黒川「今は研究の段階だ。急ぐ必要はない」


 黒川が、再び資料を見る。


 黒川「魔物の体内に、魔素が蓄積されている」


 黒川「これを利用できれば……」


 黒川が、独言のように呟く。


 黒川「面白いことができる」


 部下たちは、黙って聞いている。


 黒川の目には、野望の光がある。


 この混乱は、黒川にとって、チャンスだ。


 法も秩序もない。力だけが全ての世界。


 黒川「最高だろ」


 部下たちが、緊張した顔で頷く。





 廃工場の外。


 遠くの廃ビルの陰に、一人の男がいた。


 相良健一だ。


 年齢は五十代。白髪交じりの黒髪、無精髭。よれよれのシャツとジーンズ。


 相良は、フリーランスのジャーナリストだ。


 かつては、戦場ジャーナリストとして名を馳せた。


 だが、魔物パンデミックで、元妻と子供を失った。


 それでも、相良は記録を続けている。


 「記録する」。それが、相良の生きる理由だ。


 相良は、カメラを廃工場の入り口に向けている。


 レンズの先に、黒牙会の構成員が見える。


 相良は、シャッターを切る。


 カシャ。


 相良「魔物の飼育…か」


 相良は、ノートに書き込む。


 「黒川竜二。元暴力団。現在は黒牙会の首領」


 「魔物を捕獲し、実験を行っている」


 「目的:不明。だが、危険だ」


 相良は、ノートを閉じた。


 相良は、この一ヶ月、黒牙会を追っていた。


 最初は、ただの犯罪組織だと思っていた。


 だが、違った。


 黒牙会は、魔物を利用しようとしている。


 相良「……これは、記録しなければ」


 相良は、再びカメラを構える。


 その時、相良の頭に、別の名前が浮かんだ。


 柊慎吾。


 あの伝説の魔法使い。


 第七班壊滅事件の生存者。


 相良は、慎吾のことも追っている。


 相良「柊慎吾…あの男と、この組織…」


 相良「つながるかもしれない」


 相良は、ノートに「柊慎吾」という名前を書き加えた。


 そして、廃工場を見る。


 相良「記録する。全部」


 相良の目には、執念がある。


 記録すること。それが、相良の使命だ。





 翌日。


 対策室。


 藤崎聡が、報告書を読んでいた。


 タイトルは「黒牙会の活動報告」だ。


 藤崎は、眼鏡を直しながら、ページをめくる。


 「レッドゾーンで魔物を捕獲」


 「実験施設の存在を確認」


 藤崎「……魔物の飼育」


 藤崎が、報告書を置く。


 森川麻衣が、藤崎の前に立っている。


 森川「室長。これは、阻止すべきです」


 藤崎「分かっている」


 森川「ですが……」


 藤崎「だが、現状では人手が足りない」


 藤崎が、別の資料を見せる。


 「レッドゾーン各地での魔物出現報告」


 「イエローゾーンでの避難民保護」


 「グリーンゾーンの防衛」


 藤崎「対策室のリソースは、すでに限界だ」


 森川「……」


 藤崎「黒牙会の件は、優先度が低い」


 森川「ですが、魔物を兵器化されたら……」


 藤崎「その時に対応する」


 藤崎が、報告書を引き出しに入れる。


 藤崎「今は、目の前の脅威を処理するのが先だ」


 森川は、何も言えなかった。


 藤崎の判断は、合理的だ。


 だが、森川の良心が、それを拒否している。


 森川「……分かりました」


 森川が、部屋を出る。


 藤崎は、一人になった。


 藤崎が、窓の外を見る。


 藤崎「黒川竜二…」


 藤崎は、その名前を静かに繰り返す。


 藤崎「……やっかいだな」


 だが、今は動けない。


 それが、現実だ。


 藤崎は、眼鏡を外し、目を閉じた。





 その夜。


 廃工場の地下。


 黒川が、再び檻の前に立っている。


 魔物は、疲れたのか、動きが鈍い。


 黒川が、部下に命じる。


 黒川「明日、新しい魔物を捕獲しろ」


 部下「はい」


 黒川「今度は、B級だ」


 部下たちが、驚く。


 部下「B級は…危険すぎます」


 黒川「だから、面白い」


 黒川が、笑う。


 黒川「俺たちは、この混乱を楽しむ」


 黒川「法もない。秩序もない」


 黒川「力だけが全ての世界だ」


 黒川が、魔物を見る。


 黒川「最高だろ」


 部下たちは、何も言えない。


 黒川の目には、狂気に近い何かがある。


 だが、同時に、冷静さもある。


 黒川は、この混乱を、本当に楽しんでいる。


 黒川「柊慎吾…」


 黒川が、唐突に、その名前を呟く。


 部下「首領?」


 黒川「あの男のこと、知ってるか」


 部下「第七班壊滅事件の…」


 黒川「ああ。あの伝説の男だ」


 黒川が、タバコを吸う。


 黒川「あの男は、力を恐れている」


 黒川「だが、その力の意味を知っているのか」


 部下「……」


 黒川「いつか、会ってみたい」


 黒川が、タバコの煙を吐き出す。


 黒川「力を恐れる男と、力を楽しむ俺」


 黒川「どちらが正しいか、確かめたい」


 部下たちは、黙って聞いている。


 黒川の言葉の意味が、分からない。


 だが、黒川は、すでに次のことを考えている。


 柊慎吾。


 その男との、出会い。





 遠くの廃ビル。


 相良が、廃工場を見ている。


 カメラのレンズの先に、黒川の姿が見える。


 相良は、シャッターを切る。


 カシャ。


 相良「……柊慎吾と、黒川竜二」


 相良が、ノートに書き込む。


 「二人は、いつか出会う」


 「その時、何が起きる」


 相良は、ノートを閉じた。


 相良「記録する。全部」


 相良が、廃工場から目を離す。


 そして、空を見上げる。


 夜空に、星が一つ見える。


 相良「……この混乱も、いつか終わる」


 相良「だが、記録は残る」


 相良が、カメラを抱える。


 相良「それが、俺の仕事だ」


 相良が、廃ビルを降りる。


 静寂が、戻る。


 廃工場の地下では、魔物が、静かに息をしている。


 黒川は、その姿を見ている。


 そして、笑う。


 この混乱は、まだ続く。

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