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終わらせるための魔法使い――魔物パンデミックと、壊れた世界の正しさ――  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)


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第19話「迫る危機」

翌朝、グリーンゾーンは混乱していた。


政府が避難を呼びかけていて、街中にスピーカーから放送が流れている。


「グリーンゾーン東部の住民は、直ちに避難してください。繰り返します。グリーンゾーン東部の住民は…」


人々が荷物を持って、避難所へ向かっている。子供を抱えた母親、老人を支える若者、皆、不安そうな顔をしている。


俺はアパートの窓から、その光景を見ていた。


混乱。恐怖。パニック。


まるで二年前の、あの日のようだ。


左腕が呟く。


「ああ」


俺は武器を手に取った。リュックに食料を詰める。


部屋を出る。


階段を下りると、長谷川が立っていた。荷物を持っている。


「柊くん、お前も避難するのか」


「いえ」


「そうか。気をつけろよ」


長谷川が笑顔を見せる。だが、その笑顔には不安がある。


「長谷川さんも、気をつけて」


「ああ」


長谷川が去っていく。


俺も、街へ出た。


街は混乱していた。人々が右往左往していて、車が渋滞している。子供が泣いている。


俺は人混みを抜けて、避難誘導が行われている場所へ向かった。


そこでは、桐生が避難誘導をしていた。


「落ち着いて!順番に避難してください!」


桐生が叫んでいる。だが、人々はパニックになっていて、言うことを聞かない。


桐生が俺を見つけた。


「柊!手伝ってくれ!」


俺は頷いた。


桐生の隣に立つ。


「皆、落ち着いてください」


俺が言う。


人々が俺を見る。魔法使いだと分かると、少し落ち着く。


「順番に避難してください。避難所は安全です」


人々が列を作り始める。


桐生が俺を見て、頷いた。


避難誘導を続けていると、冴が現れた。


「柊さん」


冴が声をかけてくる。


「灯火の会も避難誘導をしています。協力していただけますか」


俺は少し迷った。


だが、頷いた。


「分かった」


冴が少し驚いた顔をする。だが、すぐに笑顔を見せた。


「ありがとうございます」


俺は冴と共に、灯火の会の避難誘導を手伝うことになった。


灯火の会の拠点では、陽菜や他のメンバーが避難民を誘導していた。


陽菜が俺を見て、目を丸くする。


「柊さん!」


「手伝う」


俺は短く言った。


陽菜が嬉しそうに笑う。


「ありがとうございます!」


俺と陽菜は、避難民を連れて、避難所へ向かうことになった。


数十人の避難民が、俺たちについてくる。子供、老人、若者。様々な人々だ。


街を歩く。避難所は、街の西部にある。


道中、陽菜が話しかけてきた。


「柊さん、手伝ってくれて、ありがとうございます」


「…」


「どうして、手伝ってくれたんですか」


俺は少し考えた。


「…分からない。ただ、見捨てられなかった」


陽菜が微笑む。


「優しいんですね」


「違う」


俺は否定した。


だが、陽菜は笑顔のままだ。


そのとき、前方で悲鳴が聞こえた。


俺と陽菜は走った。


角を曲がると、魔物がいた。


B級魔物で、熊のような姿をしている。避難民を襲おうとしている。


俺は火炎魔法を使った。炎が魔物を包む。魔物が咆哮する。


陽菜も支援魔法を使う。光の矢が魔物に当たる。


魔物が俺たちに向かってくる。俺は左腕の力を使った。黒い炎が魔物を焼く。魔物が倒れる。


戦闘が終わった。


避難民が安堵の表情を浮かべる。


「大丈夫ですか」


陽菜が避難民に声をかける。


「はい…ありがとうございます」


避難民が答える。


俺たちは再び歩き始めた。


避難所まで、まだ距離がある。


道中、陽菜が口を開いた。


「柊さん、私、強くなりたいんです」


俺は陽菜を見た。


「なぜ」


「守りたい人がいるから」


陽菜が真剣な顔で言う。


「私、弟を守れなかったんです。二年前、魔物が出現した日に」


陽菜が続ける。


「弟が転んで、魔物が追ってきて、私は…逃げました」


陽菜の声が震える。


「弟を置いて、逃げたんです」


俺は何も言えなかった。


「だから、強くなりたい。もう、誰も失いたくない」


陽菜が俺を見る。


「柊さんも、同じじゃないですか」


俺は答えなかった。


同じか。確かに、俺も誰かを失った。守れなかった。


だが、俺は…


「俺は、化け物だ」


俺は言った。


「守ろうとすると、暴走する。皆を殺す」


陽菜が首を横に振る。


「違います。あなたは、化け物なんかじゃない」


「お前には分からない」


「分かります。だって、あなたは今、避難民を守っているじゃないですか」


俺は何も言えなかった。


陽菜が続ける。


「一緒に、戦いましょう。一緒に、皆を守りましょう」


俺は陽菜を見た。


その目には、決意がある。恐怖もある。だが、それでも前を向こうとしている。


「…考える」


俺は答えた。


陽菜が笑顔を見せる。


「それで十分です」


避難所に到着すると、夕方だった。


避難民を避難所に入れる。人々が安堵の表情を浮かべる。


俺と陽菜は、避難所の外に出た。


空が赤く染まっている。夕日が沈んでいく。


陽菜が空を見上げる。


「綺麗ですね」


俺は何も答えなかった。


そのとき、遠くで大きな音が聞こえた。


地面が揺れる。


俺と陽菜は、音の方向を見た。


北の方角だ。亀裂がある場所だ。


そして、光が見えた。


巨大な光が、空に向かって放たれている。まるで柱のように、光が天に届いている。


左腕が叫ぶ。


俺は走り出した。陽菜も続く。


街を抜けて、北へ向かう。


やがて、広場に到着した。


亀裂が、開いていた。


いや、開いたというより、裂けた。亀裂がさらに大きくなって、その中から何かが出てこようとしている。


光が溢れ出している。空気が震えている。地面が揺れている。まるで世界そのものが悲鳴を上げているかのようだ。


そして、亀裂から、「それ」が出てきた。


巨大な影。


体長30メートル以上ある。竜のような姿だが、もっと禍々しい。黒い鱗に覆われていて、赤い目が六つある。翼が六枚ある。尻尾が三本ある。牙が鋭く、爪が長い。


圧倒的な存在感。


空気が重い。呼吸が苦しい。足が震える。


これは、SS級魔物だ。


今まで見た中で、最強の魔物だ。


陽菜が息を呑む。


俺も、声が出ない。


SS級魔物が咆哮する。


地面が揺れる。ビルが崩れる。


そして、SS級魔物が、こちらを見た。

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