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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第5章】何かと不穏な空気が

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第61話 地道な努力

 僕たち4人は山奥の村へと続く街道をのんびりと歩き続けている。

 その村ではイノシシが暴れ農作物に被害を与えているらしい。

 一刻も早く、そのイノシシの駆除するのが今回の依頼の内容だ。



 青の勇者は周辺を警戒しながら歩いている。頼りになるね。

 マジソンはいつも以上に荷物を多く持ってくれている。どうしたのだろうか?

 新しくパーティのメンバ―となったエルフのエルミアは、青の勇者に話しかけていた。


「ねぇねぇ、青ちゃん! いつもこんな風に無言で歩いているの?」

「えぇ、そうですね。まわりを索敵しながら進むので無駄口を叩く暇なんてないんですよ。ね!師匠」


 別にそんな理由で黙っているのでない。単に話題が無いだけだ。

「そうだね、僕たちは遊びに行く訳じゃないからね」


 誤魔化した。


「マジそれな~! てか、みんなチョーまじめ!」




 僕はそんなパリピなエルミアに尋ねてみた。


「エルミアは先日までは『青の勇者様!』って呼んでいたけど、なんで今は『青ちゃん!』なん?」


「えー、今さらそれ聞いちゃう感じ? だってうちとは同じパーティだからズッ友じゃん! だから呼び方もかえるっしょ!」


 僕は困惑した。

「ズッ友ですか」

「それな!」


 うん、何かよくわからない事が分かった気がする。




 マジソンも会話に加わった。

「エルミアさん、僕もエルミアさんの事エルちゃんって呼んでいいですか?」


 エルミアは冷たい視線を彼に向けた。

「は? まじありえないですけど。そんな風に呼ばれたら、イミフでテンション爆下げ~」


 マジソンはキョトンとしている。

 きっと、エルミアの返答の意味が理解できていないのだろう。

 僕は彼の肩を叩き慰めた。


「まじ、イミフ!」





 街道をかなり進んだところで日も暮れ始めた。

 今晩は近くの河原でキャンプをすることにした。

 焚火を囲み食事を楽しみ、そして談笑が続く。

 暖かい飲み物を星空の下で頂くのも、これ、また楽し。


 今回の依頼にて持参した食料は以前と比べてかなり質素になっている。

 街の商品不足により十分に準備が出来なかったのだ。




 青の勇者がつぶやいた。

「一刻も早く街の商品不足が解消されなければ、住民の生活は困窮してしまいます」

「そうだね。リサ達の組織が情報収集しているけど、何か分れば良いのだが」


 僕たちはこの街で起きている問題を語り合いながら夜を過ごしていた。




 翌朝、眩しい陽射しと青の勇者の掛け声で目が覚めた。

 川原にて青の勇者は剣を振り、稽古をしていたのだ。

 彼が剣を振ると空気が歪み、その波動で近くの小石が震えていた。

 剣の振り方、角度、力の入れ方。その全てが完璧でないと空気の歪みなんて見れない。

 このレベルに達するまでかなりの練習をしたのだろうと、素人の僕でも理解できる。


 彼は、毎朝稽古を欠かさない。

 SSSランクのとてつもなく強い勇者は、努力と鍛錬を毎日続けているからこそなれたのであろう。彼を見ていると、そう思えてしまう。


 僕の横ではその稽古を眺めているマジソンがパンをかじっていた。

「ねえ、君の魔法はどれくらい上達したの?」


 パンをかじりながら答えた。

「そうですね。水属性を今練習しているのですが、一度にバケツ1杯分を出せますね」

「ふーん。それって凄いの?」


 マジソンは怪訝な表情で僕を見つめた。

「何もない所から水を発生させるのって、非常に難しいのですよ。

 さらにそれをバケツ一杯分出すなんて奇跡にも近いですよ!」


 僕は頷きながら青の勇者の練習を眺めている。

「そうなんだ。難しい魔法なんだねー。達人レベルだねー。凄いねー。」


 川の対岸ではエルミアが豪快にも頭上から大量の水を自然魔法で発生させ水浴びならず、滝浴びをしていた。

「うっはー、マジ朝からの滝浴び、チョー最高じゃん!」



「マジソン君、あれ凄い量の水だね」


 マジソンは黙り込んでしまっている。

「きっと、エルミアさんは『神』ですよ」



 練習と水浴びを終えた二人は僕たちの元に来た。


 僕はマジソンに尋ねた。

「ねえ、やっぱりマジソンも毎朝、練習した方がもっと魔法が上達するんじゃない?」


 それを聞いた青の勇者も話に加わる。

「マジソンさん、毎日の努力の積み重ねが大切ですよ。私は朝の訓練は小さいころから20年以上は続けていますよ」


 流石、青の勇者。20年以上も続けているのか。




 エルミアも話に加わる。

「えっ、今なんの話しているの? ワタシもまぜて!」


 僕たちから練習をする様に迫られて、マジソンはおどおどしている。

「ちょっと、別に僕は勇者を目指している訳でないから、自分のペースで訓練をしますよ」


 僕は更に問い詰めた。

「マジソン君。そんなだからいつまで経っても『見習い』なんだよ」


 エルミアは嬉しそうな表情になった。

「見習いって、チョー受けるんですけど! その年で見習い、マジやばくない?」


「いやいや、普通ですよ。僕も週に3日の訓練を3年間も続けているし、徐々に上達もしているし!」


 マジソンも必死に弁明している。


「そんな事言うなら、エルミアさんも全く練習してないじゃないですか!

 ちゃんと練習しているんですか?」



 指摘されたエルミアはキョトンとした表情を浮かべた。

「あぁー、確かにアタシ最近練習してないんだよねー。マジヤバかも。」


 マジソンは得意げな表情になる。まるで同士を見つけたような表情だ。

「ほらね。ちゃんと訓練はしないと駄目ですよ」



 エルミアは口を開いた。

「確かに、ここ2年間はサボってたかも。でもその前の500年間はガチ練しまくったから、今は少し休んでも全然アリっしょ!」


 エルミアは満面の笑顔で答えた。




 僕とマジソンは同時に同じ言葉を口にした。

「エルミアたん、マジぱねー。マジもんの神じゃん!」



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