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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第4章】ちょっとだけ、偉くなりました!

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第59話 王都の教会

 国王の謁見が終わり、僕たちは宮殿を後にした。

 正直、青の勇者やエルミアの発言には肝を冷やされたが、無事に宮殿を出られたのでホッとしている。問題のある弟子を持つと師匠としても大変だ。


 青の勇者が僕の方へ振り向きながら尋ねた。

「師匠、どこか行きたい所ありませんか?」

「実はね、教会に行きたいんだ」


「教会ですか?」

「うん、教会。以前ギルドで聞いたのだけど、王都の教会は冒険者ランクが高くないと行けないらしい。君は冒険者ランク高いよね」


「はい、ランクSSSです。でも師匠も高ランクじゃないのですか?」


 それを聞いたリサはクスッと笑っていた。


「実は僕の冒険者ランクはね、Gランクなんだ」

 青の勇者へ冒険者登録カードを見せた。


「えっ、本当に!? 確かにGランクですね。

 師匠ならば私よりランクが高くても良いはずなのに、何か特別な理由でもあるのですか?」


 僕は苦笑いをした。

「特に理由は無いけど、高ランクは必要ないかなと。

 毎日、君たちと平和に幸せに過ごせれば良いと思っているだけかな」


 すると彼の耳元でリサが囁いた。

「勇者様は全く他の事に興味を持たないのですよ。だから世の中の役に立っていただく為、こっそり私が導いているのです!」


 青の勇者はリサの言葉を聞いても腑に落ちない表情のままだ。

「力を持つ者は、その力を世の中の為に役に立たせることが当然だと思うのですが」

「うーん、そうかもね。でも僕は違う道を歩んでいるんだよ」


「確かに、師匠は積極的にその力を使用されない。だが、いざとなったらみんなを救う為にその力を行使しました」

「あまり日頃から力を使うと、みんなその力に頼りっぱなしになるからね」



 彼は僕の言葉で悟った。

「そうか、わかりました。私も冒険者ランクをGにします!」


 僕とリサは慌てて青の勇者の腕を握った。

「いやいや、それはダメ。君はそのままのランクで良いから!」


 リサは更に説得する。

「こんな面倒くさい事は勇者様、お一人だけでいいですから!」


 そうそう、面倒者は僕一人だけでって、おい!


 リサに突っ込みそうになったが、核心を突かれてしまっているので何も言えなかった。

 だが、危ない所だった。彼まで冒険者ランクを下げてしまったら、うちのパーティで受けられる依頼が「ドブさらい」だけになってしまう。彼はそのままのランクでいてくれた方が色々と都合がいい。





 という出来事があったのだが、無事に教会に着いた。王都の教会はこの国で一番情報が集まる場所だ。実は、少し調べたいことがあるんだ。


 目の前にそびえ立つ王都の教会は、天まで届くような二重の塔。この国の威厳を表しているようだ。細部にわたる彫刻も国中から集められた彫刻家により長年にわたって作られたと聞く。


 この国の教会は強大な力を持っており、貴族でさえ手が出せない部分があると言われている。

 国を裏から支配していると揶揄する声もあるほどだ。



 そんな、威厳のある教会内に入ると、ステンドクラスから差し込む光が鮮やかに室内を照らし出し、周りは厳粛な空気に包まれていた。


 その教会の奥に見覚えのある人物が司祭と話をしている。

 その人物が振り向き僕と目が合うと手を上げて微笑んだ。


「翔馬さん!」

魔法協会のガルド主任だ。


 彼らは僕たちの元へ近づいてきた。

「今日は王都に何の用ですか?」

「青の勇者とリサさんが国王陛下に謁見する為、訪れているんですよ。そういうガルド主任は?」


「仕事での出張ですよ。実は来期、うちの課長が異動になるので、その事前説明とその後の段取りを調整しに来たんですよ」

「えっ、あの怖い課長異動するの?左遷?」


 ガルド主任はニヤッと微笑んだ

「うちの協会の上位団体、財団法人異世界転生振興会の魔術局部長に昇進するんですよ」

「えっ、まじ! 昇進!?」


「先日の魔竜襲撃事件、翔馬さんからの攻撃特級魔法の申請を素早い分析と判断で承認し、無事撃退したという功績が認められて、栄転となりました」


 眠りを邪魔する怒りから起こした僕の行動が、青の勇者君や課長の昇進などに影響していたとは。正直少し驚いた。さらに、ガルド主任は横にいる司祭に僕たちの事を話した。


「司祭、この方が先程お話ししていた勇者一行の皆さんです。」


 司祭は笑顔で頭を少し下げた。


「おぉ、みなさんが街を救ったという方々ですね」

 司祭が僕たちを見る目は、まるで神を見ているかのように畏敬の念に満ちていた。


 少し照れる。


 ガルド主任は話を続けた。

「あの後、課長は翔馬さんにお礼を言っていましたよ。今度挨拶に行かれたらいいですよ」

「いや、止めておきます。課長を見ると以前怒られたトラウマがいまだに蘇るので…。」


 ガルド主任は笑みを浮かべた。


「ところで、ガルド主任。一つ聞きたいことがあるのですが。」

「何でしょう?」


「実はマーズフォレトの街で最近、商品不足が深刻になってるんですよ。他の地域はどうかなと」


 ガルド主任は横にいた司祭に視線を向けた。

「司祭、他の地域では特にそのような情報は聞いていないですよね」

「はい、それ以前に商品不足の話、私も初めて耳にしましたよ」


 やっぱり、商品不足の件は情報さえ広がらない様に操作されていたか。



「なぜ商品不足を意図的に起こし、さらにその情報まで隠しているのか?」

 ガルド主任も疑問に考え込んでいた。


「いや、分かりません。

 推測に過ぎないのですが、上位地区であるフォレト地方領の侯爵貴族が、最近怪しい動きをしています。

 おそらく、マーズフォレトの街を現在統治している伯爵から統治権を奪おうと画策しているのでないかと思っています」


「うーん。それもあり得ますね。わかりました。私も協会に戻ったら情報収集します。何か分かったら翔馬さんへご連絡します」

「わかりました。よろしくお願いいたします」




 僕はガルド主任たちに挨拶をして教会を後にした。


 リサは僕に尋ねた。

「一体どういう事だったのですか?」

「王都に入った時あまりにも商品がたくさん並んでいたんだよね。

 単に王都だから商品が集まるのだと思ったのです。

 だけど、マーズフォレトから来ている僕たちに誰一人として街が商品不足だという話をしてこない」


 リサは頷いた

「なるほど、つまりこの王都にはマーズフォレトの商品不足の情報が伝わっていないという事ですね」

「うん。そうなる」


 そして僕は話を続けた。

「何者かが故意的に商品不足を行い、しかもその情報を統制までしている。

 ここまで大掛かりに出来るのはやっぱり……」


「わかりました。私の組織を使って情報を更に集めます」


 僕は、マジソンにも尋ねてみた。

「今回の商品不足の件、何か情報知らない?」


 彼は興味なさそうな表情で答えてきた。

「よくわからないですね。そういう事、僕は疎いので」

「そうか。まあ、とりあえず街に戻ろう。」

「そうですね。帰りましょう」



 僕たちの王都での用事を済ませ、マーズフォレトへ帰路についた。

 今度いつこの王都に来れるのだろうか。

 今度来た時はのんびりと美味しい物でも食べたいな。


 だって僕たちは「のんびり倶楽部」だもの。


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