第55話 王都へと続く道
僕は王都へと続く道を馬車に揺られながら、流れゆく景色を眺めていた。
僕たちが乗っている馬車は王国から迎えに来た使者が操り走らせてくれている。
馬車の中では、リサはソワソワと緊張しており、青の勇者は無表情のまま外を眺めている。
一番喜んでいそうなマジソンは無言で不貞腐れたような顔をしている。
「マジソン、君が一番喜んではしゃいでいると思ったけど、王都へ行くの嫌なのか?」
「王都は好きですよ。ただ……」
マジソンの表情が暗くなる。
「ただ、僕は国王の事嫌いなんですよね」
驚いてしまった。
このマジソンが嫌いと言うくらいだから、国王は相当嫌な奴なのだろうか。
でも逆に興味を抱いてしまった。
「あの国王、昔、実の兄を追放したという噂じゃないですか」
「うん、それは以前聞いたことある」
「しかも国政には全く興味を持たず、毎日ダラダラと働かずに贅沢三昧という」
(うーん。毎日ダラダラ過ごしている人って、聞き覚えが……。)
国王への悪口が止まらない。
「少しは領民の為に汗を流すべきなのに、例の悪徳侯爵みたいな汚職貴族を放置して賄賂を要求している噂も聞きます」
「そうなんだ。でも単なる噂かもよ。実は立派な王様だったりして!」
僕は、マジソンの国王への悪口を抑えようと必死になった。
何故なら、この馬車の外で王国からの使いの者が馬車を操作しているからだ。
悪口が聞こえたら一体どうするんだ。
本当に空気が読めない奴だな!
マジソンの表情は晴れない。
「出来る事なら会いたくないのだけど、ほのぼの倶楽部のパーティの一員として翔馬さん達に誘われたから行くだけです。でなければ行かないですよ」
とりあえず話題を変えよう。
「マジソン君、あそこに見える大きな石橋凄いね!」
マジソンは石橋を見た。表情が少し明るくなった。
「あの石橋は先代の偉大な国王様が2本の橋を建造されたのです。
この辺りは複数の街道が交わる交通の拠点だから、移動がスムーズに出来るようにと」
「そうなんだ。その先代の国王様のおかげで他の地域との交流が深まっているのか」
よし、予定通り話が変わってきた!
そして、また顔が曇る。
「でも、その次の代のどっかの国王が、『二つある橋は無駄』と言って1つを破壊して自分の屋敷を作る為の資材にしやがったんです。
今残っている橋は残された1本です。」
駄目だ、悪口に戻ってしまった。
ほら、リサもこの様子を見て、非常に慌てているよ!
……ちがう!単に国王への謁見に緊張しているだけだ。
そうだ!青の勇者に助けを求めよう!
「青の勇者君は、何度も国王様に謁見しているんだよね。さぞかし立派な王様だよね!」
彼は「フン!」と冷たい笑みを飛ばし、外を眺めたまま答えた。
「ヤツは『くだらん国王』だ。形式上何度も謁見しているが、ヤツに仕えるつもりは全くない。
僕は領民を救うために戦っているだけだ。
もし国王の身に危険が迫ったとしても僕は無視するね」
僕は冷や汗が止まらない。こいつら揃って一体なんて事言っているんだ。
外にいる王国からの使者に今の会話聞かれていたら、完全に僕たちは反逆者扱いだぞ!
馬車の中で僕だけがキョロキョロ周りを見ながら慌てふためいていた。
マジソンは青の勇者の方へ微笑みながら、手を差し出だす。
青の勇者も爽やかな笑顔でマジソンを見つめ返し、差し出した手を強く握ぎる。
二人は固い友情を確かめ合っていた。
――― 駄目だ、こいつら! ―――
この二人は王都では危険すぎる。
何もない事を願い王都への道中を進んでいった。
あっ、でもリサがいればきっと大丈夫だ!
横にいるリサへ視線を向けると、リサは『あわあわ』と緊張していた。




