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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第4章】ちょっとだけ、偉くなりました!

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第53話 住民たちの絶望。そして希望へ。

 僕たちは、魔竜により区画が崩壊している場所に来ている。

 辺り一面建物はない。瓦礫の山が広がるだけだ。

 その現場は赤い夕日に照らされて、更に寂しさを醸し出していた。



 そして現場を見ていたマルデリア伯爵と、娘のマーガレット令嬢がいる。

 二人は僕達の存在に気づき駆け寄ってきた。


 そして青の勇者を見るなり二人は頭を下げた。

「青の勇者様、本当にこの街を救って頂きありがとうございます。」

「いや、あれは、」


 青の勇者は思わず、僕の事を話しそうになる。僕は彼の腕を肘で突いた。

 彼も、ハッとして話を合わせ始めた。


「あれは……、大変な強敵でしたね。でも無事に討伐できたから良かったですが、あんなに強い魔竜は見たことありません」


 上手く真実をごまかしてくれているが、彼の表情は晴れない。



 マルデリア伯爵はつぶやいた。

「昔からの言い伝え、『暗黒の災害伝説』に登場する魔竜に違いない」


「暗黒の災害伝説?」

「あぁ、とある強大な力を持つ魔竜がほんの一週間で複数の国を滅ぼしたという伝説だ。」


 青の勇者も頷いた。

「確かに伝説級の魔竜だ。以前私が討伐した魔王とは比べ物にならないほど強かった。

 その翼の一振りで都市なんか破壊されるのでないかと思うぐらいだ」


 マルデリア伯爵は微笑み始めた。

「そんな伝説級の魔竜を一撃で倒すのですから、やはり青の勇者は、本物の『伝説の勇者様』でございますよ」


 彼は苦い表情になり伯爵から視線を外した。

「えぇ、まあ……。」


 僕はマルデリア伯爵に尋ねた。

「ところで、その伝説の物語はその後どのようになるのですか?」



 彼の表情から笑みが消えた。

「魔竜により破壊された国々の復興は難航を極めた。

 なにしろ、全ての建物が破壊しつくされ、多くの人々の命が失われてしまったからな。」


 リサは今にも泣きそうな表情で聞いていた。

「結局、残った人々は復興どころか、お互い争いを始めてますます混乱を極めてしまう。

 だから暗黒の時代と言われていたんだ」


「それから、どうやって平和な世界へ復興したのですか?」


「それの暗黒期は300年続き、ある時とある『伝説の勇者』と言われる人物を中心とした七人が現れる。七人が中心となり、小さな村を復興させて拡大し最終的に国を建国した。

その末裔が今の国王一族と言われている」



 僕はその話を聞いて感心していた。

「そんな伝説がこの国にはあったのか」



 伯爵は頷いた。そして話を続けた。

「周りを見てくれ。多くの住民が住む場所、財産を一瞬にして失ってしまった。我々も復興に全力を尽くすが、彼らがまず自分の足で立ち上がり前に進まない限り本当の復興は始まらない」



 周りを見渡すと多くの人々がうなだれ地面に座り込んでいた。

 見ていてとても気の毒に感じる。

 あまりにも絶望が大きいのだろう。誰一人上を見上げて前に進もうとはしていない。




「毎日耐え続けて辛抱し、子供たちへの将来の為の蓄えてきた物全てを失った。

 これからどこに行けばいいのか分からない。俺たちの人生がこんな所で終わるとは」

 この様に至る所で、家族が身を寄せ合いうなだれていた。



 まるで未来に希望を持てない絶望の淵にいるかのようだ。

 暗黒の災害伝説ではその状態が300年続くとされている。

 夕日も沈み暗くなると、さらに重たい空気が周りを包み始めた。


 マルデリア伯爵がつぶやく。

「だれか、カリスマ的な人物が領民を希望へ導いてくれればいいのだが」


 僕はふと返事した。

「七人が復興再建を導くのですよね」

「そう、伝説の七人だね」

「人ではないが、希望がみんなを導けますように!」



 そう言うと僕は天へ両手を伸ばした。

 そして態勢を整え、目を閉じた。


 リサや三人の盗賊には気が付いたようだ。

 彼らは微笑み、僕の側から少しずつ離れ始めた。


 青の勇者はリサに尋ねた。

「師匠は、何をされるつもりなんですか?」


 リサは笑顔で答える。

「ここの人達に希望を与えるのです!」



 僕は白目になり小声でつぶやいた。

 そして目を開けて頭上を見上げる。



「魔法発動!」



 その言葉と同時に、僕の周りで色鮮やかな光の粒が輝き始めた。

 その粒は集まりだして僕たちの周りを鮮やかに照らし出した。

 周りでうなだれていた住民はその輝く光に気づき見つめだす。


 僕の周りの光は徐々に大きくなり、上空へと広がっていく。

 渾身の力で最後の魔力を絞り出した時、空全体でその光は大きくアーチを作られていた。


 僕は両手を下ろし、ふぅーと大きく息を吐いた。

 そして満足そうな笑顔で空を見上げた。




 夜空に輝く七色の虹。




 この街の上空で僕たちを明るく照らしだしていた。

 その夜空に輝く七色の虹を目にした人々の目から、大きな涙が落ち始めていた。


「こんな綺麗な虹見た事がない!」

「そうだよ、僕たちは下ばかり見ていてはダメなんだ」

「生きていれば、あの様な綺麗な虹、また見ることできるよね」

「復興伝承の再来だ!」


 地面に座り込んでいた人々が、一人また一人と立ち上がり七色に輝く虹を眺めはじめた。

 絶望の淵にいた住人が希望を持ち前へと歩みだした瞬間だ。



 リサは七色に輝く虹に照らされながら青の勇者に話しを続けた。

「ほらね。勇者様は、言い伝えにも出てくる『伝説の勇者様』ですから!」




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