第47話 とある組織のリーダ
私はリサ。
今日は三人の盗賊さん達と教会の地下にある隠し部屋に来ています。
私が色々とお願いしていた事が進んでいたので、久しぶりに盗賊さんのお友達に会いに隠し部屋を訪れています。
教会に着くと、神父さんが出迎えてくれた。
私は神父さんに尋ねた。
「神は我々の心に存在しますか?」
神父は答えた。
「私の心には存在します。だが隣人の心に存在しない。どうしますか?」
私は答えた。
「教会へ出向きます。」
その返事を聞いた神父は笑顔になり中へ招き入れた。
「お待ちしておりました。こちらです。」
一種の合言葉です。
私もなぜ必要なのか分かりませんが、盗賊さん達が決めた事なので従っています。
神父の案内に従い、地下の隠し部屋に向かった。
隠し部屋と言っても大聖堂程ある大広間でかなりの人数が収容できる。
広間の扉の前に立たされ、神父が私の目を見て合図した。
私は扉が開き広間の中へ進んだ。
「リサ様のご登場!」
扉の横にいた人物が大声で号令をかけると、広間にいる大勢の人が席を立ち、頭を下げた。
私が通された場所は広間の前面にあるステージの上だ。
その中央に一人用の椅子とテーブルが置かれている。
私はその椅子に腰を掛けた。
再度号令と共に、広間にいる人は頭を上げ、席に座った。
ステージ上から広間全体を眺めると300人程の人が私の方に向かって座っている。
「お友達も増えましたね。」
盗賊がその言葉を聞いて答えた。
「はい、先日新たに170人程の山賊が加わりました」
「なんか増えるレベルが違いますね」
思わず笑ってしまった。
前に座っていた山賊の頭領が立ち上がり、リサの前に歩み出る。
そして一礼して口を開いた。
「私は近くの山の麓で山賊の頭領をしております。我が山賊は総勢170人。
先日、勇者殿に我が山賊は成敗され一生の主とすることを心に決めました。
リサ様はその勇者殿の御指南役という事なので、今回加わる事を決めた次第でございます」
リサはその話を聞いて首をかしげたが、勇者の行動を聞いて驚いた。
「まぁ! 勇者様はそのような事をされていたのですね。」
同時に思い出した。先日の宝探しの地図、この山賊から頂いたものだったと。
リサは笑顔でお礼をした。
「山賊さん、この間の宝の地図、大変楽しかったですよ。無事宝も見つかりみんな喜んでいました!」
山賊は頭を下げた。
「お言葉ありがとうございます。宝の地図をお渡しした甲斐がありました。喜んで頂き嬉しく思います」
山賊は席に戻った。そしてリサは立ち上がり、目の前にいる人々に話しかけた。
「みなさん、私のお願いを聞いてくれませんか?」
多くの人がリサの言葉に集中している。
「私はこの街が好きです。素敵な場所もたくさんありますし、住んでいる人々も大好きです。
だから、この街を守りたいのです」
その言葉にどこからか拍手が鳴り出した。
その拍手は段々大きくなり部屋の中に鳴り響いていた。
リサは片手をあげると拍手が止み、静寂が戻った。
「今、この街で不穏な動きがあります。食料品の価格高騰です。
同時に職人を中心とした人々が強制的に連れ出されています」
ここにいる全員が頷いている。
「私は、このマーズフォレトの郡領地を支配下にしているフォレト地方領の領主、フォルファード侯爵が怪しいと思っております」
リサの言葉を聞き逃さない注意深く聞いている。
「だから、お願いです。さらなる情報をみなさんに集めて欲しいのです」
リサは盗賊の方へ振り向き口を開いた。
「そういうお願いをみなさんにしても、いいでしょうか?」
三人の盗賊達は、リサの態度に驚いた。
「えっ! 姉御が自由に指示を出していいんですぞ!」
リサは、キョトンとしている。
「どうしてですか? 盗賊さん達のお友達だから私が指示する立場に何かないですよ!」
その言葉を聞いて、盗賊達は理解した。
「あの……、この組織のリーダは、―――姉御です」
リサは目を丸くして驚いた。
「私……こんな組織を作った覚え、ないんですけど!?」
「まあ、確かにここまで組織を大きくしたのは私らですが。
オイラ自身、姉御に仕えてますので、実質この組織のトップは姉御です」
リサは体中の力が抜け、椅子に座り込んだ。
「私が、裏組織のリーダ!?」
全く想像にもしていなかった。
確かに村にいた頃からこの盗賊達は、私のお願いをよく聞いてくれていた。
この街に来てからも同様だ。
しかも『なんか、お友達たくさん作ってる。凄ーい!』としか思っていなかった。
でも実は、裏組織を作って拡大していたとは。
しかもその組織のトップが私!?
何かの冗談かと思ったが、そうでもない。
目の前には屈強でガラの悪い男たちが私を慕い集まってくれている。
しかも、この街を守る為にはこの人たちの力が必要だ。
私は決心した。
再び立ち上がり宣言した。
「私は決心しました。
この街に住んでいる人々の暮らしや幸せ、そして子供たちの未来と夢を守る。
どうか……その為の力を、私に貸してください!」
リサは頭を下げ、みんなの力を求めた。
一斉に立ち上がり、大きな拍手が鳴り響いた。
盗賊達の目からは、ひとすじの涙が流れだし、頷きながら拍手していた。
「姉御、ご立派です。これからもついて行きますぞ!」
今日、リサが組織のトップ就任した事で、将来にわたりこの日が「創立記念日」となる。
また、今後リサの組織がこの街で、いやこの王国内で大活躍する事をだれも知らない。




