第43話 謎解きは私に任せて!
無事に洞窟の中に入った僕達は奥へと進んでいく。
だが、洞窟の先は外からの光が届かないため闇が続いている。
手を頭上に伸ばして初級魔法の『光の玉』を発動する。
頭上に小さな光が現れ、みるみる大きくなっていく。
カボチャ程の大きさになった時、その光はさらに頭上へと浮かび上がり、僕達の周りを明るく照らしだした。
その魔法に盗賊達も驚いているようだ。
「おぉ、勇者様がちゃんと勇者らしい事してますね!」
何、その言い方!?
思わず、光の玉をそのまま盗賊達にぶつけてしまいそうになったが、勇者としての良心が思いとどまらせてくれた。
彼らにとっては最大限の誉め言葉なのであろう。
素直に気持ちを受け入れる事にした。
その光に照らされた洞窟内には虫一匹すら何もなかった。
洞窟をどんなに進んでも、何も見つける事が出来ない。
この洞窟に人が手を加えた形跡すら見当たらないのだ。
僕は宝の存在自体に不安を感じ始めた。
「本当にお宝あるのかな」
「きっとお宝、ありますよ! どのようなお宝なのか楽しみですね!」
リサは励ますように言葉をかけてくれた。
その時、リサの表情が急に明るくなり、暗闇の先を指差した。
「あそこ、何かあります!」
僕は洞窟の先の暗闇に目を凝らしてみた。
何かが見える。
僕達は駆け寄ると目の前に石板が現れた。
何か図形や字が書いてある。
こういうタイプの謎解きは苦手なんだよね。
リサはその石板に記載されている文字や図形を興味深く調べ始めた。
僕も見たが一体何を意味しているのかサッパリ解らない。
いっそ、魔法でこの石板を破壊すれば入り口でも現れるのかもしれない。
リサは頷きながら文字や図形を指先でなぞっている。
「そうか、そう繋がって、こちらがこれで…。」
えっ!リサはこれらの文字や図形の繋がりを理解しているの?
僕が驚きながらリサの解読作業を見続けていた。
「よし、わかった!」
リサがつぶやくと盗賊達に指示を出した。
「あなたは、左の壁にある石の前で待機。
あなたは、右奥の小さい石像の前で待機。
そして、あなたこの石板の前で待機」
三人の盗賊達はそれぞれ指示された場所に移動した。
「動かして!」
リサの合図で盗賊達は指示されたものを一斉に動かした。
石を引きずるような音が洞窟内に響き渡ると僕の横にある壁が振動を始め、動き出す。
思わず叫んでしまった。
「まじかよ、ここに隠し扉あるのか!」
リサは両腕を組みながら満足げな表情をしている。
「よくこの石板の謎解けましたね。一分程しか時間かかってなかったですよ」
リサの表情が爽やかに輝いた。
「私、こういうの凄く得意なんです!」
リサの頭の回転力には毎回驚かされる。
新薬の調合開発は確かにリサにはぴったりな仕事だ。
だが、その能力は、一人の薬の調合師としてだけで終わらせる器じゃないな。
きっとこれから何か大きなことをやり遂げる人物になるに違いない。
盗賊達に指示を与えているリサの後ろ姿を見て僕は思った。
リサの背中がとても大きく見える。
そう、まるで人類を救う勇者の背中を見ているように。




