第34話 ダンジョンの入口の見つけ方
目の前に石碑がある。
他に何もない。
「おい、マジソン。ダンジョンの場所はここで本当にあっているのか?」
「地図によるとここで間違いはないのだけど」
周りを見渡すが何もない。
森の中に開けた場所の真ん中に、この石碑が寂しく建っているだけだ。
「この石碑に仕組みがあり、それを起動する事で入口が開くのかもしれない」
と言いながら好奇心に瞳を輝かせて、マジソンが石碑を調べ始めた。
「私は、謎解き好きなんですよ! ワクワクしますよね」
僕はどちらかというと、そういうのが苦手だ。ちまちま考えていたらイライラしてくるタイプなんだ。
「マジソン、そこ離れて。一気に穴をあけるから」
と魔法発動の態勢をとった。
マジソンは慌てて僕の腕を掴んで止めた。
「駄目、そんな強引な方法は! 入り口を探す謎解きからダンジョン探索は始まっているんですよ!」
僕は魔法発動を諦め、マジソンにその『謎解き』を任せることにした。
マジソンは任されたと、胸を叩き石碑を再度調べ始めた。
その間、僕は芝生の上に座って待つことにした。
「まず石碑に書かれている文字を見てみよう。どれどれ?」
石碑には『石 → 天と地を結ぶ口』と記載されていた。
「つまり、石をどうにかして、天と地を結ぶための口にすればいいのだな」
マジソンは頷きながら考えていた。
あいつ、何もわかってないだろう。
『難題に向き合っている自分恰好いいー』
と自分に酔っているだけだろう。
しばらく時間がかかりそうだ。
僕は地面に寝転び、目の前を指でスライドさせ光る画面を表示させた。
その画面の中で「クロスワードパズル」を呼び出して時間をつぶすことにした。
マジソンは悩んでいる。
「うーん、石を口にする。つまり『一』と『ノ』を取り去ればいいんだな」
腕を組んで悩んだ。
「『一』と『ノ』は一体何を現わしているのだろうか? しかも『天と地』これもヒントのはずだ」
マジソンは座り込み悩んでいた。そして時よりチラチラと僕の方を見ている。
彼からの視線は感じていたが、僕は無視をした。
「いやぁー、難しいな! 天と地と 一とノ か!」
わざとらしい。僕が声をかけてくるのを待っているのだ。
はっきり僕に尋ねればいいのに、それをしない。
きっと彼の中でのプライドがあるんだろう。
しばらく、彼からの視線を感じ続けるので声をかけることにした。
僕は大人だからね。
「マジソン、何が分からないのかな? 僕が答えを教えてあげようか?」
その言葉にマジソンの表情が固まった。
そうである、彼は一緒に難問に挑戦しようと誘っていたのだ。
だけど僕の『既に答えを知っているよ』という反応に驚いている。
答えを知らないのはマジソンだけだ。何とも屈辱的な!
僕はクロスワードをしながらニヤッと微笑んだ。
でもね、僕も答え知らないんだけどね。
転生前のブラック企業で極めた奥義、『ハッタリ』である。
マジソンの事だ、変なプライドを持っているからどう反応するか楽しみだ!
マジソンは苦い表情で悔しそうに話しかけてきた。
「30分考えても答えが出ませんでした。翔馬さん、答え教えてください!」
その言葉に今度は僕が固まった。
まさか素直に負けを認めるとは!
その前に僕は答え知らないよ!
慌てふためきながら、僕は立ち上がった。
「あのね、これ、えっと。そんなに難しく考えなくてもいいんだよ!」
どうしよう、僕の変なプライドのせいで素直に『わかりません』と言えない!
マジソンの目が輝いている。素直に答えを求めている表情だ!
慌てて周りをキョロキョロする。
そして一か八かのハッタリをかまして森の奥を指差す。
その時である、指差した方向から人の声が聞こえてきた。
「ほら、地図の通りにダンジョンの入口があるよ。私たちも入りましょう!」
彼らもギルドからの依頼を受けたのだろう。
三人組の冒険者パーティが草藪に隠れていたその入り口からダンジョン内部へと入っていった。
この石碑、単なる矢印看板だったんだ。
僕は指をさしたまま。マジソンに伝えた。
「あそこが入口」




