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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第3章】 新しい僕らのパーティ

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第28話 山賊どもよ、知るが良い我が力を

 僕とマジソンは山賊のアジトで壁際に追い詰められている。

 完全に山賊の策にはまってしまった。


 確かに考えてみれば、あの女は僕達をここに誘導しているような感じがしていた。

 今となってはどうでもよい。

 ところで、今までに同じ方法で襲われた人々はどうなったのだろうか?

 殺されたのか、奴隷として売られたか。もしくはまだここに居るか。

 どちらにしても悲惨な出来事だ。



 マジソンは余裕な表情で山賊たちに叫びだす。

「おい、山賊どもよ。降参するなら今のうちだぞ。でなければ僕は本気を出さなくてはいけなくなる」


 山賊は悪人がよくするニヤケ顔になり応えた。

「この状態からは逃げられない事なんて子供でも理解するぞ。どうやったらこの人数相手にできるんだい」


 山賊たちは僕達をバカにするように一斉に笑い出した。



 しかし僕は心の中でマジソンの事を信じている。

 魔導士って攻撃力強いと聞いたことあるから、きっと凄い魔法で山賊たちを一掃するつもりだ!

 僕はそんな勇敢な彼とパーティを組めたこと誇りに思う。

 そんなマジソンの勇士を見ると…、足が震えている。

 ハッタリかよ。

 冒険者ギルドに戻ったら直ぐパーティの解散届を提出しよう。



 期待はしていないが念の為、尋ねてみた。

「おい、マジソン。この状況どうするんだ」

「上手くいくか分かりませんが、試したいことがあります」

「策があるんだな」

「もちろんです。こう見えても魔導士『見習い』ですから」

「そうか、それは頼りがいあるね。……『見習い』!?」

「言ってませんでしたか?見習いです」


 確かに下級魔導士であれ、魔導士はこの世界でも需要が多い。

 冒険者ギルドでパーティを組む相手がいない魔導士などいるはずがない。

 でも実際いたのだ。ここに。

 今までギルド通いを適当にしていたツケが今出てしまうなんて。日々の情報収集は大切だな。

 僕は普段の行動を反省した。


 伝説の勇者である僕を改心させるって、魔導士でなく僧侶の方が仕事として合っているのではないか?マジソン君。



 マジソンは目を閉じて何か呟きだした。

 しばらくすると山賊の様子がおかしい。まわりをキョロキョロし始めた。


「マジソン、これは一体」

「姿と気配を消す魔術です。魔導士見習いと言っても、これ位は出来ますよ!」

「凄いじゃないか、マジソン先生!」

 とりあえず、パーティの解散届は必要ない!


「では、この隙に洞窟を出ましょう」

 その言葉を聞いた時、良い事を閃いてしまった。

「マジソン君、まだ若いね。こっち来なさい」


 僕はマジソンの手を引っ張り、気づかれないように山賊たちの間を静かに抜けて部屋の奥へと進んだ。




「ほら、あの先にある部屋。お宝部屋だよ。折角ここまで来たのだからいくつか持って帰ろうよ」

 そう話す僕の笑顔は、山賊以上に悪人顔でニヤツいていた。

 後でマジソンからそう言われた。



「いや、無理ですって。今は洞窟から出ることが最優先です」

「そんな事言わずに、すぐそこにお宝があるんだよ。少しでいいから!」


 そんなやり取りをしていると、背後から僕の肩を誰から掴まれてしまった。

 振り向くと山賊だった。


 魔術が解けたのね。

 集中し続ければならないところで、僕の行動が想定外過ぎて集中力を失ったって訳か。

 マジソンが物凄い形相で僕を睨んでいる。本当ゴメンって。



 僕はため息をついた。

 本当はやりたく無かったが、魔法を発動する事にした。

 小さい声でブツブツと口を動かすとマジソンも状況を理解したようで真剣な表情へと変わっていいた。



 その時マジソンは思っていた。

(ギルドの人からは、翔馬さんの事「伝説級の勇者」って言っていたけど、それが本当ならばこの状況を一転する強力な魔法を発動するのか?

 一瞬にしてこの場にいるすべての山賊の首が飛んだりとか…。)


 マジソンの表情は恐怖へと変わっていた。



 僕はブツブツ言い終わると白目になった。

 その瞬間、僕の頭の上に赤黒いドロドロとした光が渦を巻き一点に集まってきた。

 その赤黒い光が一点に集まり終わると、眩しい光が四方に飛び散った。


 その眩しさが収まると僕の目の前には黒い小さな四角い物体が浮かんでいた。



「?」



 ここにいる全員が思った感想だろう。

 だが、その魔法の威力はすさまじかった。


 山賊たちが足を震わせ、地面に崩れ落ちる。

「うぁー! 足が…立つことが出来ない。体が、勝手に!」


 その場にいた山賊たちは立てなくなり次々と地面に押さえつけられた。

 そして、すべての山賊は勇者に向かって土下座し、頭を下げていた.



 マジソンは目の前で起きた出来事が説明できない。

「翔馬さん、一体どのような魔法をかけたのですか?」



 得意げにマジソンに視線を移し、僕は説明を始めた。

「これはね、『天下の副将軍』という魔法なんだ」

「この後、山賊たちはどうなるのですか?死ぬのですか?」

「いや死ななよ。もう僕に歯向かえなくなるだけ」

「それだけ?」

「うん、それだけ」



 マジソンの表情が険しくなった。

「で、『天下の副将軍』って…何?」


 僕は、今まで当たり前のように思っていたのだが、この世界では知らないのは当たり前だ。

「僕の世界では、悪い奴らが暴れた後に、天下の副将軍が『印』を見せるんだ。そうするとこのようにひれ伏して歯向かえなくなるんだよ」


 マジソンは理解していないようだ。僕も説明をしていて確かに意味が分からない。

 だけど、そういうものなんだ。


「解らないですけど、解りました。これで解決ですよね」

「うん、解決」


「山賊は殺さなくていいのですか? せめて見せしめでリーダだけでも」

「そんな怖い! 簡単に命を奪わなくてもいいよ。彼らも真面目に生きていくと思うから」

「そう言うものなんですか」

「そう言うものなんです。なあ、お前ら!」


 山賊たちは一斉に答えた。


「へい! これからは真面目な山賊になります!」


 山賊たちの瞳は素直な少年のように綺麗に輝いていた。


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