第27話 山賊のアジト
山賊に襲われた女性の大切な手紙を取り戻す為、僕達三人は山賊のアジトへ向かっている。
まずはアジトの場所の手がかりを探す為、襲撃場所へ行くことにした。
「ここが山賊に襲われた場所です。山側の草藪に隠れていたんです。」
確かに草藪によって身が隠せる。ここに山賊が潜んで通りかかった女性を襲ったということか。
僕達は手分けして痕跡を探し始めた。
草藪の地面を見ると複数の足跡がある。それも山の方へと続いている。
その近くには食いちぎられた「トマトのヘタ」も落ちている。
獲物を待っている間に食べたのだろう。という事は普段からこの場所が山賊たちの狩場となっているのかな。
痕跡を探していた女性が僕達に叫んだ。
「この枝を見てください」
女性の元へ駆け寄り、彼女が指差す木を見ると小さい枝が折れていた。
その枝折れの痕跡は山の方へと続いていた。
しかもその地面の草も踏まれているから、この場所を何者かが通ったのは確実だ。
「この痕跡を辿りながら、山の方へ行ってみましょう。」
僕達は、痕跡を辿り草藪の中を進んでいくと、目の前に洞窟が現れた。
その洞窟の入口には大量の足跡が残されている。
マジソンが足跡を調べながら話し始めた。
「どうやらこの洞窟の中が山賊のアジトのようですね。
ここからは僕達だけで洞窟の中に入ります。あなたは、ここにいてください」
そう言い残すと僕とマジソンは洞窟の中へ入っていった。
洞窟の中は薄暗く湿っており、カビ臭い匂いが鼻をつく。地面には小さな虫も動き回っている。
そんな洞窟の中を慎重に進むと別れ道が現れた。
これ、僕は知ってる。映画とかで良くあるパターンだ。
片方が行き止まりで、もう片方がアジトへ続いているんでしょう。
「翔馬さんは左をお願いします。僕は右側行きます」
マジソンと目を合わせ頷いた。
右手の拳をマジソンのほうへ伸ばすと、彼も応えるように拳を合わせ、挨拶を返してくれた。
これが、死地へと向かう男の別れの挨拶だ。
別れて10歩程進んだだろうか、僕の視界の外に気配を感じた。
その気配を追うように、僕の鋭く睨む視線が敵を捕らえる。
マジソンだった。
この分かれ道。直ぐに合流していた。
やっぱ異世界、怖えーな。僕が知る常識通用しないぞ。
とりあえず、マジソンと再度拳を合わせて無事の帰還を祝った。
しばらく進むと洞窟の先に明かりが見え、男たちの騒ぎ声も聞こえてきた。
きっと山賊のアジトだろう。
慎重に明かりの方へ進むと、開けた場所に出る。
物陰に隠れてその場所の様子を確認してみると…、山賊がいた!
探していた山賊のアジトに間違いがない。
だけど、これは想定外だ。
ちょっと話が違うではないですかマジソンさん。
だってこのアジト、山賊が多すぎる!
パッと見ただけでも150人はいるぞ。
どれだけいるんだよ、この山賊どもは。
二人は目を合わせる。
お互い目が泳いでいる。
どうしよう。
マジソンへ提案してみた。
「ちょっと、これは想定外すぎ。一度洞窟の外に出ましょうか」
「そうですね。一時撤退という事で」
二人は来た道を戻る為、振り返ると目の前には山賊がいた。
しかも20人ぐらい。
はい、これで170人の盗賊に囲まれている事は確実となりました!
よく見ると、その20人の山賊の後ろには微笑んで冷たく睨むあの女の姿も。
「完全にはめられましたね、翔馬さん」
マジソンは歯を食いしばり悔しそうに僕へ伝えた。
だから言っただろう、この様なイベントに関わると碌な事が無いって。
洞窟内の170人を超える山賊たちは、徐々に僕達の方へ近づいてきた。
逃げる隙が無いくらい追い込んできている。
この危機的な状況から僕達はどの様にして切り抜ければ良いのだろうか。
「マジソンよ、この状況を切り抜ける策はあるのか?」
マジソンは微笑みながらつぶやいた。
「もちろん想定内ですよ」
おぉー! マジソン様凄いではないか。切り抜けたらはちみつ酒おごるよ!
期待を胸に、その策を聞いた。
「走って逃げましょう!」
(こいつは馬鹿か!?)




