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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第3章】 新しい僕らのパーティ

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第25話 冒険者パーティを組んでみました

 もう昼前だろうか。

 僕は新しく本拠地となった宿屋のベッドの上で、寝転びながら本を読んでいた。


 リサが笑顔で僕に近づく。

「勇者様、今日は何をされるのですか?」

「うーん。特に予定ないかな」


「ほら、冒険者ギルドに行って『ギルドスタンプ』や毎日の手当てを貰いに行かなくてもいいのですか?」

「そうだね、大金があるから別に行かなくても良いかな?」



 リサは困った顔をした。

 新しい宿屋に来て3日目。勇者は毎日このような状態なのだ。

 大金を手にしてからは冒険者ギルドにも通わず、だらだらと過ごしている。

(本当に、大金は人を狂わせてしまうのだ。)

 そうリサは思い始めていた。




「私、勇者様が活躍されるお話を聞きたいです」


 ベッドで寝ていた僕は、その言葉に反応し飛び起き、ベッドの淵に座りなおした。

 そして、リサの顔を見て冒険の話を始めた。



「その…、えっとね。僕の冒険はね…。」



 ――― 何もない! ―――



 引き籠り生活をしていたら、そりゃ冒険譚などないだろう。

 だが、このままの生活も悪くないと思っている。

 だけどリサの表情を見ると、そう言えなくなってしまった。


「最近何もしてないので、お話しする事が無いです。だから冒険者ギルドで色んな依頼を受けます。その時の活躍をお話しますので、しばらく待ってくれますか?」



 リサは笑顔で応えた。

「はい! 待ちます。私冒険のお話を聞くのとても好きなんですよ!」

(本当はあまり興味がないですけど…。)




 僕は、ベッドから立ち上がり、身支度をして冒険者ギルドへ向かった。

 勇者が去って静かになった部屋の中でリサはため息をつく。

「本当に勇者様は何にも興味を持たれないのですね。私がしっかりと導かなければ!」

 リサの目には固い決意の光が輝いていた。




 久しぶりに冒険者ギルドへ来た僕は、黒縁メガネ君を見つけ近寄った。


「ひさしぶり!元気してた?」

「翔馬さんじゃないですか。最近来ないから心配してましたよ。そう言えば紹介した宿屋いかがですか?」


「良い宿を紹介してくれてありがとう。僕の仲間も満足して喜んでいたよ。

 宿屋主人も親切でいい人だし。」



 黒縁メガネ君は笑顔で頷いていた。

「今日の、スタンプ押しておきますね。あと本日の手当です」


 先日の思いも寄らない依頼達成の大量スタンプ確保の影響で、若干だが手当金額が増えていた。もっと沢山スタンプを貯めれば手当金額も増えるはずだ。

 これからは地道にお金を増やすことも悪くないのかも。


 同時に、ブラック企業での営業成績による歩合制ボーナスを思い出してしまった。

(ブラック企業だけの話かと思っていたけど、この世界での報酬制度もあまり変わらないんだな)



「僕ね、ダンジョンに挑戦しようかと思っているんだ。」

「ダンジョンですか、いいですね。Gランクの冒険者が受けられるダンジョンは…今はないですね。」


 忘れていた。僕は伝説の勇者であるけど、冒険者ランクは最低の「Gランク」だという事を。

 困った。これじゃ僕の冒険譚をリサに話すことが出来ないじゃないか!


 黒縁メガネ君は奥の棚にあった1枚の書類を僕に見せた。

「このダンジョンの依頼なら、行けると思います。」

「本当ですか!その依頼を受けたいです」


「ただ、Gランク冒険者単独では駄目なので、Dランクの冒険者とパーティを結成したら依頼は可能です」


 その方法なら可能なのか。

 でも、一緒にパーティを組めるような人とは見当たらない。

 これは困ったぞ。



 黒縁メガネ君はギルド内にいる一人の冒険者を指差した。

「あの魔導士、実は彼はDランクでパーティ仲間を探してます。彼とパーティを組まれたらいいですよ」

「ぜひ、お願いします」



 声をかけられた魔導士はこちらに近づき、黒縁メガネ君から状況の説明を受けた。

 魔導士の彼も喜んで話に乗ってくれた。


「始めまして、魔導士をしている『マジソン』です。よろしくお願いします」

「僕は、勇者の『翔馬』。田舎村から他の仲間と一緒にこの街で過ごしている。こちらこそよろしく」


 マジソンは翔馬から『勇者』だと紹介され、驚いた顔を黒縁メガネ君に向けた。

「大丈夫ですよ。翔馬さんは、特殊なので他の冒険者と同じように接しられ大丈夫です」



 おい、黒縁メガネ! その言い方だと僕に何か問題があるような言い方じゃないか!

 文句を言いたいけど、ここで喧嘩したら今後『ギルドスタンプ』を押して貰えなくなってしまう。だからここは我慢で過ごすほかない。




 僕は笑顔でマジソンに手を差し握手をした。

 これで、正式にパーティ結成だ!



 黒縁メガネ君は一枚の書類を手渡した。

「パーティ登録しますので、必要事項を記載して提出してください。」



 書類に目を通したら「パーティ名」となる項目があった。

 パーティ名を決めるのが一番大変なんだよな。センスを問われるし。



 壁に掲示されている他のパーティ名を参考にすることにした。

 なになに?


「赤の軍団」、「黒の軍団」、「緑の軍団」

 これ適当すぎるな。多分一秒で名前決めている。他には?


「漆黒の剣術心眼」、「闇の手の稲妻軍」、「不死たる者の儚い夢」

 これは、痛い。この世界でも中二病いるんだな。


 マジソンと顔を見合わせる。

「翔馬さん。特にこだわりないので好きなの付けて良いですよ」



 面倒事、こっちに振ってきやがった。

 もういいや、好きに付けさせてもらうよ。

「わかった、俺がパーティ名決めるから、あとからの文句は無しね」



 僕は書類にペンを走らせ、受付にいる黒縁メガネ君に渡した。

「書類提出しましたから、早速依頼行ってきます!」

「お気をつけて、初パーティ頑張ってくださいね!」



 笑顔で手を振り、二人を見送った。

 受け取った書類に目を移しパーティ名を見た。



「パーティ名: のんびり倶楽部 」

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