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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第2章】郡領都市 マーズフォレト

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第24話 僕達の新しい本拠地

「凄い!綺麗に片付いて清潔感もありますね。素敵です!」


 これから僕達の新しい本拠地となる『格安』の宿の部屋を見て、リサは思わず声を出した。

 僕も一人で下見に来た時には驚いたよ。

 こんなに綺麗で整っている宿屋なのに価格は1/4程なのだ。

 とてもお得だ。



 リサの喜んだ姿を見て、宿屋の主人は満足そうな笑顔になっていた。

「君達が気に入ってくれたなら嬉しいよ。食事も1階の食堂で提供できるから、これからはこの宿を自分たちの家だと思って気楽に過ごしてくれ」



「はい、これからよろしくお願いします!」

「さて、そうと決まれば今夜は歓迎会だ。今から仕込みを始めるかな」

 宿屋の主人は楽しそうに調理場へと向かって行った。




 だが、盗賊が気になる事を言い始めた。

「ところで、こんな素晴らしい宿屋なのだけど、他のお客がいませんね?」


 僕もその点は気になっていた。施設も宿屋の主人も素晴らしく値段も格安。

 悪い所なんて見当たらないのだけど、なぜ宿泊客がいないのだろうか?

 ひょっとして食事が不味いとか?!


「理由は分かりませんが、『掘り出し物件』だと思って、しばらくはお世話になりましょう

 今するべき事は、前の宿から荷物を持ってくる事です。行きましょう」

 考えても答えは出ない。理由が判明した時に考えれば良いだけだ。

 そう考え、僕達は荷物を取りに今まで利用していた宿屋へ向かった。




 新しい宿屋の窓の外には、夕日に染まった建物が遠くまで広がっていた。

 街が一望できる素晴らしい景色だ。


 リサは疲れ果てて椅子の上に座り込んでしまった。

「やっと、お引越し終わりましたね。疲れました…。」


 僕も疲れてしまった。最低限の荷物でこの街に訪れて一ヶ月。

 いつの間にか荷物も増えてしまっている。

 今後は宿屋でなく、家を確保しなければならないのかな。



 そう思っていると、部屋の扉を叩く音がした。

「みなさん、夕食の準備が出来ましたよ。歓迎会の始まりです!」

「はーぃ、今から行きます!」



 リサも宿屋主人の言葉で元気が出て、椅子から勢いよく立ち上った。

 階段を下りて食堂に入ると…。

「うわー!凄いご馳走!」


 みんな目を輝かしている。

 それもそのはず、この街に来てからこんなご馳走食べた事なかったからだ。


 全員、席に着き食事前のお祈りを始めた。

「今日も、食事にありつけること教会を通じて神に感謝を致します」


 僕も祈った。

「今日も、食事にありつけること協会のミラさんを通じて神に感謝を致します」

 いつもの祈りにリサは笑顔を見せた。だが、宿屋主人だけは不思議そうな顔をしていた。


「それじゃ、いただきます!」


 この料理が不味くない事を願って、恐る恐る口に入れた。

「美味しい!」




 久しぶりのご馳走。食べるペースも上がっていく。

 食べて、飲んで、お喋りして。

 日々の忙しさを忘れ楽しい時を過ごしていた。



 宿屋主人が楽しそうにリサに話しかけていた。

「この料理はね、ジャガイモを使った料理で、塩と卵を一緒に混ぜると、こんなに美味しくなるんだよ」

「ジャガイモ料理とは珍しいですね。今までの宿屋はカボチャ料理ばかりでしたから、食べる機会が殆どありませんでしたよ」


 転生前の日本ではジャガイモ料理はポピュラーなので僕にとっては普通なんだけどね。

 にしても美味しいな。



 宿屋主人が太い腕で僕の前にハチミツ酒が入ったボトルを差し出した。

「ほら、兄ちゃんのコップ空じゃないか。遠慮せずに飲みなよ」


 僕はひきつった笑顔で、空のコップを差し出した。

 こういうの嫌なんだよね、飲み会みたいで、昔を思い出してしまう。



 宿屋主人は毎日薪割や料理で鍋を振り回しているのだろうか。

 腕がとても太いく力もありそうだ。

 冒険者か兵士にでもなった方がその力を活かせる気がするのだけど。


 力があっても本人にやる気がなければ、意味がないんだけどね。

 そう、勇者の力を持っている僕の様に。


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