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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第2章】郡領都市 マーズフォレト

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第20話 勇者でもお役に立てられますか?

 僕達がこの街に来て、すでに1週間。

 リサは医薬局製造所へ通い、助手として働きながら薬学を学んでいる。

 三人の盗賊達は朝から夕方まで外出している。一体何をしているのだろうか?

 一方、僕は…、毎日この街での情報収集に明け暮れている。




 僕の毎日の生活を紹介しよう。

 朝陽を感じて目を覚ますと、眠い目を擦りながら朝の支度を行う。

 歯を磨きながら棚の上に目をやると、3,000マネーのお金が置いてある。

 リサが置いてくれているのだ。

 身支度が終わると、それをポケットに入れて宿屋を後にした。




 広場に来るとパンとお茶で朝食をとっている老人と出会う。

「おはようございます。今日もお元気ですね!」


 老人は笑顔で応えてくれる。

「おぅ、元気だよ。お前さんは今日、何するんだ?」


「いつものように、街での情報収集です」

「あぁ、散歩ね。そろそろ働きな。そう言えば、昨日2ブロック離れた赤い扉の家の前で、何だか困った様子の人がいたよ」

 その老人はその方向を指さしながら教えてくれた。



 その老人にお礼をして今日は2ブロック離れた赤い扉の家に行くことにした。


 その前に、冒険者ギルドに行って「ギルドスタンプ」を貰わないといけない。

 冒険者ギルドでの依頼を確認して「ギルドスタンプ」を押してもらうと毎日少額だが手当のお金がもらえる。しかも今日、毎月20日はポイント3倍だ。

 絶対に何があっても冒険者ギルドへ行かなければならない日でもある。


 ギルド職員の黒縁メガネ君が笑顔でスタンプを押してくれた。

「今日はスタンプ3倍デーなので3つ押しますね。ギルドでの依頼を受け達成したら更に3倍、つまり9個のスタンプを追加で押しますよ!」


 僕は笑顔で挨拶して手当てを貰い、受付カウンターを離れた。

(依頼なんて面倒な事は興味ない。簡単に依頼だけ確認して、例の赤い扉の家に向かうとするか)


 掲示されている依頼はいつもの通りだ。

『 穀物倉庫のネズミの駆除 報酬2万マネー 』

『 紛失した鰐皮のバックの捜索 報酬5000マネー 』

『 ゴブリン退治 報酬 20万マネー 』

『 行方不明の子供の捜索 報酬 100万マネー 』

『 王都迄の護衛 報酬 30万マネー 』


「うん、いつもと変わらない」


 依頼には興味がない僕は、冒険者ギルドを後にして、老人に教えて貰った「赤い扉の家」へと向う事にした。




 赤い扉の家の前に着いたが、人の気配がない。

 窓から家の中を覗き込むが…、家具も無く人が住んでいる気配がない。


 何か嫌な予感がする。でも、あの爺さんが嘘をついて僕を騙すようなことはしないはずだ。

 扉のノブを掴み、ゆっくり回した。

 扉が開いた。


「誰かいますか? 入りますよ!」



 恐る恐る、家の中に入る。床の上には埃が積もっていた。

 だが、僕は見逃さなかった。

 部屋の奥にある「作り棚」の前の床だけが、何かを引きずったように埃が綺麗になっている事を。


 その「作り棚」を動かしてみた。


 ガッガガーと、音を立てながら棚は動く。

 その棚の裏側から地下道へと続く階段が現れた。


「うぉ! すげーな。隠し階段だ!」

 僕は、テンションが上がってきた。

 階段の先には秘密の部屋があって宝物でもあるのかな?


 薄暗い階段を慎重に降りるが、僕の心は興奮でときめいていた。

 階段を下りると通路になっており、先は暗くて何も見えない。

 火魔法を使い周りを照らしたが、それでも先まで光は届かない。




「この家、普通じゃないな。単なる地下室かと思ったが、地下通路でどこかに繋がっている」

 その地下通路を慎重に200m程は進んだだろうか。暗闇の通路の先から扉が徐々に表れた。


 鍵穴を覗くと、うっすらと明かりが部屋を照らしていた。

 鍵もかかっていない。ゆっくりと扉を開けて中に入る。


 壁にはランタンがぶら下がり部屋の中を薄暗く照らしている。

 周りは木箱などが散乱しており、まるで使われていない倉庫のような印象を持った。

 ランタンの下には…だれか背を向けて寝ている!


 誰だ?人でない魔物だ!

 一瞬にして全身に緊張が走った。


 まだ、魔物は僕に気づいていない。拘束魔法を発動しよう。


 目を閉じると僕の周りに光の粒子がグルグルと集まってくる。

 その光が1つの光の玉に集まった時、魔物へ向かって手を伸ばした。

 魔物へ一直線に光が放たれた。

 捕縛は一瞬だった。魔物はもがいているが動くことは出来ない。


「ふぅ」

 一気に僕の緊張も解けた。

 だが、この魔物どうしたらいいものか。

 とりあえず冒険者ギルドに伝えよう。


 捕縛された魔物はそのままにして、急いで冒険者ギルドへ向い状況を説明した。

 ギルド事務所で奥の部屋に通されて、しばらく座って待たされた。



 1時間ぐらいだろうか、ギルド職員の黒縁メガネ君が笑顔で部屋に入ってきた。


「翔馬さん、お手柄ですよ!」

 そう言いながら、重そうな袋を僕の前のテーブルの上に、ドスンと置いた。


「これは?」

「今回の報酬です」

「あぁ、魔物を捕まえたという報酬ですか? その辺の魔物を捕まえても報酬出るんですね」

「いえ違います。ギルドからの討伐依頼以外は、報酬は出ません。今回はギルドに依頼がされていたゴブリンの討伐です。それと、そのゴブリン子供をさらっていたので、子供の捜索の依頼も達成です。ダブル依頼達成ですよ! 依頼達成の報酬、合計120万マネー」


 その金額を聞いた瞬間、言葉が出なくなった。多分、心臓は止まっている。

 そう言えば、掲示板にそんな依頼あったな。知らないうちに2つの依頼を解決したのか。



 黒縁メガネ君はさらに興奮した様子で話し続けた。

「今日は、スタンプ3倍デーなのでクエスト達成で9個になります。が、ダブル達成なので更に3倍つまり27個のスタンプになります! 一度に27個のスタンプ私も久しぶりですよ!」



 その言葉を聞いて、僕の心臓は激しく動き出した。

 なんか、スタンプの数がとんでもない事になっている。

 この「ギルドスタンプ」多く貯まる事で手当てなどの金額にも影響を与えるのだ。

 だから初期段階で多く貯まった方が色々と便利なのである。


 沢山のスタンプと、報酬合計120万マネーを手にして僕は昼前だが宿に戻る事にした。

「しばらくは、働かなくてもいいかもな」



 宿屋へ帰路は足取りも軽い。広場には今朝の老人がいた。

「今朝の赤い扉の家の情報ありがとうございました!」


 感謝の念も込めて笑顔で御礼をした。

 老人の情報のおかげで、この大金を手にすることが出来た。

 だから謝礼として少し分けようかと、お金が入った袋を鞄から取り出した。


 老人も嬉しそうに答えてくれた。

「実はね、お前さんが今朝ここからいなくなった後、昨日赤い扉の家の前で困っている人に偶然出会ってね。どうやら昨日は歯が痛くて困っていたみたいで。治療したら良くなったそうだ。」


「歯、ですか」


 その言葉を聞くと、お金が入っている袋を鞄にそっと戻した。

 そして笑顔で興味の無い老人の話を聞き続けた。


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