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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第2章】郡領都市 マーズフォレト

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18/23

第18話 新しい異世界での生活。そしてこれから。

太陽も沈みかけ、街全体は赤い夕陽で染められていた。

リサと待ち合わせをしている広場へ向かう為、僕は赤く染まった石畳の上を歩いていた。


広場に入ると、リサが僕の存在に気づき笑顔で手を振ってきた。その隣には町の入口で足止めされていた三人の盗賊達も笑顔で手を振っている。よかった無事解放されたみたいだ。


リサ達と再会した僕は、ギルドでの初依頼を無事に終えて、仮免許から本免許になれたことを伝えた。四人とも自分の事の様に笑顔で喜んでくれた。

その姿を見て少し照れくさく感じていたが、素直に感謝を伝えた。


これで、新しい異世界での生活を正式に始められる。

既に日が暮始めており、近くの宿屋にて今後の事を相談しようかと思っている。




冒険者ギルドに置いてあった、街のパンフレットを見て、宿屋を探した。

おっ!この宿は温泉朝食付きで8,000マネーだ!前世の日本円とも同じ物価である。


一瞬、悩んだが『新生・伝説の勇者』が誕生した特別となる日だ!

よし!今日はここに泊まろう!




宿屋の食堂で『祝! 初依頼達成 & 本免許獲得!』のお祝いをしてくれた。

冒険者ギルドでの初依頼の達成は、冒険者の誰もが一番初めに通る道。

きっと、この依頼の事は一生忘れることが出来ないと思う。

一度失格になってしまった事も含めて…。



僕がギルドからの依頼を行っている間、リサと盗賊達はこの街で調べものをしていたらしい。

それは、今後この街を通じて、どのようにしてエジマーズフォレトの村に利益をもたらせるかをだ。


リサは興味に目を輝かしながら話してくれた。

「この街に村の出張所を作り、この街と村との間で商売をつなげたいのです。そうしたら今以上に村が豊かになるかなと」


「今までは村を訪れた商人だけの交流だったけど、この街に拠点を置いて積極的に行うのですね」

「はい、そう考えています。以前から村長との間でこの話はあったのですが計画止まりでした。

でも、今回の勇者様の件がありましたので、急遽実行へと移せたのです」


「そうなんですね。でもリサさんは読み書き、計算が出来るので適材適所ですね!」

「この大きな街には、私が知らない事が沢山あるので、とても楽しみです」


「リサさんは好奇心旺盛ですね!」

彼女の瞳の中には、沢山の事をこの街で吸収しようとする興味の輝きで溢れていた。


「あと、市場を見て気づいたのですが、この街には農産物などの物資はたくさん集まってきています。だから農産物をこの街へ持ってきても駄目だと思います。」


リサは、身を乗り出し真剣な目で思いを話し始めた。

「そこで考えたのですが、村で採れた物を加工してこの街で売ろうかと思います。」

「ほぉ、考えましたね!」


僕の誉め言葉でリサは笑顔に戻った。

「小麦を使った加工品と、もう一つ近くの森で採取できる薬草を使って薬を作ろうかと思います」

「薬ですか?」


僕は驚いた。食料品の加工品ならば直ぐにでも実現可能となる。

だけど薬となれば話は別だ。

専門の知識も必要だし作成できる薬の量もわずかで知れている。

そんな貴重な薬を…そうか! 

僕はリサの考えを理解した。


「薬は高価だから、この街でも高値で売れる。多くの利益が村に入るという事ですね」

「はい、そうです! それだけなく色んな種類の薬があれば、村で病人が出た時も治療が出来るようになります」



言葉がでない。

リサは利益だけでなく村人の健康の事まで考えていたのか。

医療が発達し簡単に病院に通えたり、薬を店で簡単に入手できたり、転生前の僕には考えもしなかった。

リサは一人の田舎娘で終わる器でない。きっとエジマーズフォレト村を背負っていく人物になるに違いない。そう尊敬の念を持ちながらリサの話を聞いていた。



「で、この三人の盗賊達の役目は?」



リサはニヤッと微笑み、指先で軽くテーブルを叩いた。そして静かに口を開いた。

「この街における、『裏社会』での情報を収集してもらおうかと」



その言葉を聞いた僕は、背筋に冷たいものを感じた。

三人の盗賊達は満足そうに微笑んでいる。


今のリサの微笑み、以前のブラック企業のどこかで見た記憶がある。

リサさん、時々マジで怖い瞬間がある。

裏社会での情報網を構築して、一体何を始めようとしているの?戦争か?!

考えるのは止めよう。リサさんの事だか何か特別な考えがあるはずだ。

ただ、僕は感じていた。


(どんなことがあっても、リサさんには歯向かってはいけない!)



心の中に存在するブラック企業を耐え抜いた無意識の僕が忠告していた。


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