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異世界転生チート勇者様、私に惚れているらしく、他の何にも興味がないらしい  作者: よつ丸トナカイ
【第1章】 勇者登場!

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第13話 勇者の涙

今日、僕は魔術協会に来ている。

特に魔法発動の為や、書類申請をしに来ているわけではない。

単に、いつもお世話になりっぱなしの窓口職員ミラさんやガルド主任に会いに来ているだけだ。



通信接続をして僕は協会事務所の建物前に到着した。

だが、いつもと違い何やら騒がしい。

どうも怒号が隣の工事現場から聞こえてきている。


「おい、こらっ! 手を抜くんじゃない! これ以上、モタモタしていると承知しないからな!」



手に棒を持った監視員が棒を振りまわし、作業員を威嚇していた。

その怒号と威嚇に恐怖し震えている作業員たちは、足を引きずり、今にも倒れそうになりながら作業を続けていた。



僕はその様子を横目で見ながら、無関心を装い協会の建物の中に入っていった。


(あぁ~、怖い。

何をしたら、あの様に怒鳴られながら働かされるのだろうか?

きっと、犯罪者か何かだな。

やっぱり、僕みたいに真面目にコツコツと麦畑と向き合って働くのが一番だよ!

今の僕は、なんて素晴らしい異世界での生活なんだろ!)


幸せな生活を改めて実感し、喜びの笑顔で窓口へと歩いて行った。




「こんにちは! ミラさんお元気ですか?」


声をかけられたミラが顔を上げると、驚いた表情で席を立ち、ガルド主任の元へ駆け寄った。

二人は一緒に僕の前に近づき、ガルド主任が心配そうな顔で話しかけてきた。


「翔馬さん、大丈夫ですか? もう期日まで1ヶ月しかありませんよ!」

「ん? 期日?」

「はい、勇者と魔法の『仮免許』の有効期限ですよ!」


「仮免許? 有効期限?」

ミラとガルド主任は顔をお見合わせた。



(駄目だ! この人完全に忘れている!)




ガルド主任は小さく、ため息をした。

「翔馬さん、完全に忘れていますね。転生時の講習会を受けましたよね」


「難しい話ばかりで、ほとんど寝てました(笑)」


「あちゃ…。講習会で説明があった通り、翔馬さんの魔法と勇者の仮免許、有効期限があと1ヶ月なんですよ!」


「あらら、そうだったんですね。では、本免許にしたいので手続きよろしくお願いいたします!」


「翔馬さん…。本当に講習会で何も聞いていないのですね」



頭を掻きながら、照れくさそうに僕は微笑んだ。

「もし有効期限が切れてしまったらどうなるのですか?」


ガルド主任は、静かに受付カウンターの椅子に腰を掛けて、ゆっくりと話し始めた。


「おもての作業員、ご覧になられましたか? あのグループに入る事になります」

「・・・!」



僕も静かにカウンターの椅子に座り、ガルド主任を見つめた。


何故だか、足が震える。

額から汗が流れてきた。

涙が頬を伝って流れていく。

胸が痛い。

頭がクラクラする。


今までの生活が奪われ、つらい未来しかない。

そう思うと吐き気さえ感じてきた。


心に思っている事が口から出てこない。

震える唇が、小さく開いた。


「ど、どうすればいいの?」


ガルド主任は説明を始めた。

「ギルドで冒険者登録をする必要があります。そして、ギルドから正式な依頼を受け、達成したら本免許へ更新となります」


ガルド主任の説明を聞いて、希望の光が見えてきた。先程までの震えは止まり笑顔になった。

「そうなんですね。僕は村長から『ボルトフィッシュ』の収穫依頼を受けたから、あとはギルド登録するだけですね!」


ガルド主任は小さく首を横に振る。

「村長からの依頼は、ギルドを通していないので無効です。単なる個人的なお願い程度です」



僕はうつむき、両手の拳を強く握った。

(チッ! あの魚派のドン野郎! 無駄に依頼をよこしやがって、本当に使えん奴らだ!)


怒りを抑え、笑顔に戻り顔を上げた。

「わかりました、ギルドに行って依頼を受けてきます。そうして本免許に更新してきます」


「気をつけて! 次回お会いする時は、正式な勇者免許に更新された後ですね。頑張って!」


僕は励まされ、笑顔で建物から出た。

指を横に動かしステータス画面を開いた。

確かに魔法と勇者の免許のページを見てみると「仮免許」と表示され有効期限もあと残り1ヶ月となっていた。




「何度言えばわかるんだ! 足が動かなければ手を動かせ! お前らの代わりはいくらでもいる!」

監視員はさっきよりも厳しい口調で怒鳴っていた。


僕は両手で耳を塞ぎながら、逃げるようにその場を去った。




村に戻り、リサと村長にこの事を話した。

ギルドに登録するには、この村が所属している郡の郡都「マーズフォレト」に向かう必要があるらしい。


だが、この村「エジマーズフォレト」から出た事が無いので一人では不安だ。

そう悩んでいたら、村長がリサに同行を提案した。

村からの用事をリサに依頼するという名目だ。

リサは快諾してくれた。



やったー! リサが旅に同行してくれたなら不安は全くない! 

しかも、しばらくリサと二人だけで旅が出来るなんて…!

いかん、変な事を想像してしまった。



とにかく郡都、マーズフォレトのギルドで冒険者登録をする為に、僕とリサは旅に出ることになった。


さぁ、これからの二人旅。きっと楽しいものになるぞ!

楽しみだ!

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