#7 太陽の裏側
「ピンポーン」
玄関チャイムの音で目を覚ました。
「...誰だよ、朝の8時から」
カーテンの隙間から覗いた外は、朝の光が差し込み始めていた。
のそっと布団から起き上がり、寝ぼけたままドアを開けると、目の前には満面の笑顔の世奈が立っていた。
「おはようございます!さあ今日はどこ行きましょうか!」
「...え?」
昨日の疲れも取れていない状態で、思考が追いつかない。
「今日は、どこ行きましょうか?」
世奈は太陽のような笑みでこちらを見てくる。
「えっ、ああ...今日は...秘密、だ」
思わず口から出たその言葉に、自分でも驚く。決まっていない、いや、この街のことをよく知らない。それを悟られたくなくて、苦し紛れに笑った。
「ふふん、なるほど。じゃあ、悠さんに任せますね!」
そう言うと彼女は部屋の中を覗き込もうとする。
「ちょ、ちょっと待て、何を見ようとしているんだ。とりあえず準備してくるからそこでまってて!」
ガチャンと勢いよくドアを閉めた。
5分後
悠は何度もせかされ大急ぎで支度をし僕は再び外の空気を吸うこととなった。
「よし!では行きましょう!!」
彼女は遠足へ行く子供のような足取りで進んだ。
しかし悠の目には昨日程の明るさを感じ取れなかった。
歩くこと数十分、昨日のように歩けば何とかなるさ精神でたどり着いたのは、複合型の娯楽施設だった。因みに道中は昨日程会話は弾まなかった
。そのことに少し違和感を感じたがまだ出会って二日目の人にそれを聞くのはおかしな話だと思い言いとどまった。
「ボウリングにスケート、ゲームセンターもあるんだ!どれから行きましょうか?」
「まさかこんなところがあるとは...」
内心で驚きつつも、どこか懐かしい空気に心が緩む。
「まずは...ボウリングとか?」
「やったー!実は一番やりたかったんですよね!」
彼女は目を輝かせながらボウリング場へ行った。
「気のせいだったか...」
その天真爛漫で陽気な姿を見て先ほどの違和感は気のせいだと結論付け、彼女のあとを着いていった。
ゲームが始まると、世奈の実力に僕は圧倒された。
「ストライク!ふふ、絶好調〜♪」
「うっ...またか」
僕は何度かガターを出してしまい、心の中で小さくため息をついた。
「ねえ悠くん、ボウリングはあんまりやらない?」
「まぁ、久しぶりでさ...」
悔しいわけじゃない。ただ、ちょっとだけ劣等感。
でも、世奈が笑顔でピンを倒すたび、少しずつそんな気持ちも溶けていくようだった。
「ふふ、じゃあターキー決めちゃいます!」
彼女がボールを投げるたび、軌道が滑らかにカーブし、ピンが綺麗に倒れていく。
「どこでそんな技術を身につけたんだよ...」
「ふふ、小学生の頃から家族で来てたんですよ〜。私、ちょっと本気出すとすごいんですよ!」
「……マジかよ」
次第にスコアの差は開いていき、僕は背筋にほんの少し寒気すら感じた。