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番外編:2.滋養の有る食べ物を探して

ある日、俺はケネス伯爵様の御伴侶に呼び出された。

「呼び出して済まないね。

実は私の友人に双子の孫が産まれたんだ。

友人は『天使が二人も天使を産んでくれた』と、それはもう大喜びでね。

嫁御に滋養の有る物を食べさせたいんだそうだ。

探してもらえる?」

俺は一も二もなく頷いた。

御伴侶様に頼って貰えるなんて、光栄だ。


「奥様‼

野菜がお嫌いだからって、残さないで下さい‼

奥様より、カブトムシの方がよく食べますよ‼」

また、あのキャリーって娘だ。

流石に主をカブトムシと比べるのは、どうなんだ?

しかも、負けてるし。

御伴侶様はニコニコしながら、キャリーを見守っている。

「キャリーは奥方様に健康になって貰いたいんだ。

奥方様は雀くらいしか召し上がらないからね」

こっちは雀か。

奥方様は涙目でスープを召し上がっている。

奥方様、弱過ぎないか?


俺はシュルツ商会中の商品の中から、滋養に良い食べ物を片っ端から探した。

いくつかに絞って、御伴侶様の所にお持ちすると、御伴侶様はとても喜んで下さった。

「早速今から友人の所に届けに行くよ。

ロイド、もし良かったら君も来て、友人に商品の説明をしてくれないか?」

新規顧客獲得のチャンスだ。

俺は有り難く、御伴侶様に随行させて頂く事にした。


馬車が着いた場所に驚いた。

エルファス侯爵邸じゃないか。

そう言えば、エルファス侯爵夫人が双子を出産されたと聞いた。

エルファス侯爵夫人は、奥方様の御令嬢だ。

御伴侶様の御友人はエルファス前侯爵夫人だったのか。


商品を抱えたまま、エルファス前侯爵夫人にご挨拶させて頂いた。

エルファス前侯爵夫人はかつて『社交界の華』と呼ばれた方だ。

『妖精』と呼ばれた美貌は未だ衰えず、とてもお孫様がおられるようには見えない程、若々しい。


「まあまあ。

貴方がシュルツ商会のロイドさんね。

テイラー様から、とても誠実な商売をされると聞いているわ」

テイラー様とは、御伴侶様のお名前だ。

御伴侶様に褒めて頂いていたと聞いて、俄然やる気が出た。

「ありがとうございます。

この度は双子のお孫様のご誕生、おめでとうございます。

シュルツ商会が総力を挙げて探した、滋養に良い食べ物をお持ちしました」


商品の説明を終えると、エルファス前侯爵夫人はパチパチ拍手して喜んで下さった。

「早速義娘に食べて貰うわ。

うちの義娘は天使みたいに可愛い上に、二人も天使を産んでくれたのよ。

早く元気になって貰いたいの」

エルファス前侯爵夫人はニッコニコだ。

エルファス侯爵夫人とは叔母と姪の関係と聞くが、実娘のように可愛がっておられると聞く。

幸せそうなお顔に、こちらまで幸せな気分になった。


御伴侶様をケネス伯爵邸までお送りすると、御伴侶様は俺を労って下さった。

「今日はありがとう。

友人も喜んでくれたよ。

君のお陰だ」

「いえ、こちらこそ、ありがとうございました。

エルファス前侯爵夫人に会わせて頂けるなんて、一生の記念になりました」

俺はエルファス前侯爵夫人にお渡しした物と同じ箱を、御伴侶様に差し出した。

「伯爵様とご一緒にお召し上がり下さい。

御伴侶様も伯爵様も、滋養をつけて健康でいて頂きたいのです」

御伴侶様はニコッと笑って

「ありがとう」

と受け取って下さった。


それから俺は国中にあるシュルツ商会の支部から、『滋養がある』という食べ物を集めては実際自分で食べ、良いと思った物をケネス伯爵邸にお届けした。

エルファス侯爵夫人は床上げが早かったらしく、エルファス前侯爵夫人は

「ロイドさんのお陰よ!」

と喜んで下さった。

ケネス伯爵様の御伴侶も、よく召し上がって下さっているようで、以前より若々しく見えるのは、気の所為ではないだろう。

「野菜嫌いな甥がロイドの野菜だけは、よく食べてくれるんだよ。

伯爵様も体調が良いみたいだし、ロイド様々だね」

と言って下さった。


キャリーは見かける度、奥方様を引き摺って歩いたり、叱ったりしていた。

…良い子なんだよなあ。

やり方は間違っているかも知れないけど、奥方様は以前より顔色が良いし、キャリーのお陰で健康に近付いていると思う。

気付くと俺は『おもしれー事』を探さなくなっていた。

だって、キャリーを見ていれば『おもしれー』から。

あんな女、何処を探してもいない。

俺はキャリーにプロポーズした。

キャリーは頬を染めて、プロポーズを受けてくれた。



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― 新着の感想 ―
 大変面白く読みました。突然ですが、私は本を読んでいる時似てるキャラや似てる人を勝手に当てはまる悪癖を持ってまして。  最初の方を読んでいる時、キャリーの外見をディズニーアニメシンデレラに出てくる姉に…
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