3. 大学生・坂本桃の場合
21歳の大学生・坂本桃には、飲み会で知り合った6歳上の恋人ができた。恋人は27歳にして正社員経験が皆無で、1〜2年単位で職を転々とし、今も契約社員として働いている。桃は彼と一緒にいて楽しいと思っていたので、恋人が正社員かどうかなんて気にも留めていなかった。
しかし付き合い始めて1ヶ月を過ぎてから、恋人の本当の性格がわかってくるようになる。自己中心的な言動が増え、デートも自分の行きたいところしか行きたがらなくなった。恋人はカードゲームが好きなのでカードショップに行きたがるけれど、桃は全くカードゲームに興味がないので、カードショップに行くのは退屈だった。さらに桃が生理中で性行為ができないとわかるとあからさまに不機嫌になることもあり、桃に内緒で元彼女と連絡をとっていたことも発覚する。
もうこんな人とはやっていけない。でも1ヶ月と少しで別れるなんて早すぎるのではないか。桃は恋人と別れたいけれど、優しかった頃のことも覚えていたので別れを切り出すことに迷いがあった。そんな中で桃は「悩める人のための食堂」をコンセプトにした飲食店を友人におすすめされ、行ってみることにする。
店内では個室で女性店員に悩みを聞かれた。彼氏と別れたいが、1ヶ月と少しで別れるなんて早すぎるのではないかということ。時間を無駄にすることへの怖さ。桃はこういった気持ちを打ち明け、気づけば30分近く話していた。女性店員は桃に寄り添いながらも、そんな人とは別れなさいとアドバイスする。
先ほどの女性店員がキッチンに入ってから15分後、桃には具沢山のシチューが提供された。女性店員に話を聞いてもらったこともあり、桃は次回恋人と会った際に別れ話をしようと決める。切り出す場所はカフェかファミリーレストランにしようと考えた。