第八章〜それから・・・。
書かせて頂きました。どうぞ宜しく御読みになって下さいませ!
「そうだ。その通り。犯人は、佐伯さんの財布から店のレジスターへとお札が移動したのを、偶然見届けたのさ」
「なんらかの理由によって、犯人は喉から手が出る程、そのお札が欲しくなってしまったのですね?」
「そうだ。核心に近づいてきたな」
「そうですか」
が、美桜にもまだ、その二千円札にどれ程の価値があるのが解らなかった。
「一体、何故容疑者は、そんなにお札一枚が欲しかったのですか?わたしにはそんなものに人生を賭ける程の価値があるとは思えませんけどね」
問うた。
すると、健三が、答え始めるのだった。
「記番号だよ」
「キバンゴウ?」
「さよう。容疑者にはおそらくお札のその番号が見えてしまったのだと思う」
「と、申しますと・・・?」
「君も二千円札というのが現在は新規発行が停止されているし、もともと発行杯数が少かったことから、その流通 枚数が極めて少ないのは知っているだろう。しかしだ。意外にも、ただ 2000円札というだけでは 希少価値は小さいのだよ。ただの2000円札の取引価格は古物商に持って行っても ほぼ 額面通りの¥2000に、過ぎないのだ」
「ええ」
美桜は、興味津々といった体で耳を傾けた。
「だから、ただ 2000円札と言うだけで容疑者はそれを手に取りたいと思ったとは思えない。ならば・・・」
有り難う御座いました!