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第七章〜種
こんにちは。書かせて頂きました。宜しく御願い申し上げます!
「うむ。犯人にとっては、他の何十万もの現金より、その¥2000札一杯の方が価値があると思えるものだったから、だよ」
「は?そんなことがあり得るので?」
美桜が訊き返すと、健三が笑った。
「おそらくはマニアによる突発的な犯行だったということだろう」
「そうなんですか?」
「犯人はおそらく、例の財布を紛失した佐伯さんと同じ書店に入っていたのだろうな」
「はあ」
「そしてこれもたまたま、だ。たまたま冴木さんがレジに並ぶそのすぐ後ろか、二、三人後ろかは判らんが、兎に角同じレジの列に並んでいたんだよ。」
「はあ」
「そして、佐伯さんが例のお札を使って会計するのを見てしまったのだな、きっと。」
はっと何かに気づいた美桜が先回りして訊いた。
「それであの書店のレジに¥2000札がストックされたのを知った、と?」
「そうだ。察しがいいね、ミオ君」
有り難う御座いました!