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第九章〜種明かし
次、エピローグです。有り難う御座いました。
「やはり、その紙幣に刻印された通し番号に価値があったと考えられるのだよ」
「成る程、そうなんですね。それで、一体どんな番号のお札に価値があるとされているので?」
美桜は、率直に訊いてみた。
「うむ」
例えば、003年以降、流通量が激減した二千円札であるが、当初製造された中に、左上と右下に記載された記番号の違うエラー紙幣と呼ばれるものがある。それは値打ちがあって、オークションでの末端の取引価格が数十万円になる場合もある。また、同じ末地の並ぶゾロ目や、1234・・のようなもの、そして、ふたつの8に数字が挟まれたものなど、価値ある紙幣は意外に多数存在するのだよ」
「なるほどー」 美桜は少し納得した。健三は続ける。
「それでいて、仮にそれを奪って、強盗罪で捕まったとしても、被害額は二千円となるのだったら罪は軽くなろう。だから、容疑者はそれを欲したのではないかと、思われる」
有り難う御座いました!