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勇者として異世界召喚されたんだが、巻き込まれて一緒に召喚された人が実はヤバかった件  作者: 鷹沢綾乃
Act.4 今更ファンタジー!?

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05.早見さん、ゾンビ相手に無双する

 「……なあ、ちょっと一時停止しよう。嫌な予感するから」


 俺がそう言うと、誰もが足を止める。


 「確かにな。すっげえ臭いがきつくなってきたし」


 火村を筆頭に、俺の“直感”を信じてるみんなは、身構えつつ前方を見つめる。

 そして、なんだかネチャッとした感じの足音がいくつも重なりだし、ソレは姿を現した。

 小鬼(ゴブリン)だけじゃなく、元は人だろうと思われる体格の、ボロボロの服を着たゾンビが、ぞろぞろとやってきたのだ。

 その数、両方合わせてざっと50体ぐらいはいた!

 ちょっと!! 数多過ぎ!!

 しかも、まだ奥から足音が近づいてる気配がする!


 「うわっ!! いくらなんでも、全部吹っ飛ばすのは無理だぁ~!!」


 火村が、悲鳴に近い声を上げる。すでに、結構MP消費しちゃってるもんな。

 全力の<火球(ファイア・ボール)>でも、一発では小鬼(ゴブリン)2、3体が限度。人間サイズだと、2体は無理だろう。

 あの数じゃ、火村のMPが尽きるほうが早い。MPポーションはまだあるけど、飲んで回復してる余裕はないだろうな。

 バルトロさんまでもが、逃げたほうがいいという雰囲気になった時、前に進み出てきた人がいた。早見さんだった。


 「ちょっと!! 早見さん、何やってんの!?」


 土屋さんが、焦り声で早見さんを下がらせようとした。その時だった。

 早見さんが、右手の人差し指と中指を揃えて伸ばし、腕を横に構える。直後。


 「とぁぁぁーーー!!!」


 鋭い気合の声とともに、早見さんが真横に腕を振りぬく。その途端。

 数メートル先のゾンビたちが崩れていく。倒れ伏し、腐肉の塊となり、迷宮(ダンジョン)の床に吸収されて消えていく。

 一撃で、およそ2/3のゾンビが崩れ落ちた。


 「てゃぁぁぁ―――!!!」


 間髪入れず、再度腕を今度は斜めに振り下ろしての次の一撃。

 それは、ちょうどヘッドランプの明かりの中に姿を現した第2陣のゾンビを巻き込んで、一気に大半が崩れ落ちる。


 「てぇぃぃ!!」


 もう一撃、今度は斜めに振り上げる。

 それで、ゾンビは完全に全滅。床に吸収されて消え去った。

 あとには、唖然としたまま固まる勇者3人とバルトロさんが残った。俺は、内心“あ~早見さんだもんな”と思っただけ。まあ、ちょっと遠い目になっちゃったはずだけど、あまりのことにぼーっとしてるように見えたみたい。


 「……僕の霊能力、こちらの不死者(アンデッド)にも効くみたいだね」


 顔色一つ変えずに、早見さんがつぶやく。

 あ~やっぱりそういうことですか……


 「ちょ、ちょっとあんた! 今のは一体、なんじゃ!!」


 バルトロさんが、顔色を変えて早見さんに向かって怒鳴るような声を上げている。怒ってるんじゃなくて、驚きすぎて、ああなっちゃってるんだな。


 「僕は、元の世界では本業のほかに、悪霊などを浄化する“霊能者”としても活動していました。その力を、試しに使ってみたのですが……充分通用しましたね。なるほど、胸騒ぎの正体は、これか……」


 早見さんの答えに、水谷さんがぽつりとつぶやく。


 「……そういえば、前に早見さんのステータス見たことがあって、確かに“霊能力”って出てたけど……ここまですごいなんて、思わなかった……」


 でしょうね。俺だって思ったもん。『この人、霊能者としても化け物だ』って。

 で、結局このことがきっかけで、早見さんに対する見方がガラッと変わった。


 戦闘力のない足手まといから、『対不死者(アンデッド)の専門家(スペシャリスト)』へ。


 不死者(アンデッド)だらけのこの坑道を進んでいくのに、これ以上の“戦力”は存在しないってわけ。

 だって、あれだけの数のゾンビをあっさり全滅させただけじゃなく、本人が全然消耗してる気配がないんだもん。


 結局そのあと、早見さんを先頭に、坑道を進むことになる俺たち。

 その後も、数体ずつ小鬼(ゴブリン)や人間らしいゾンビが現れるんだが、早見さんが、短く『てぃ!』と軽く気合の声を発しながらそろえた指を素早く振ると、あっと言う間に崩れていく。

 その後ろを俺たちは、一応後ろを警戒しながらも、とことことついていく。

 気分は、ホラーハウスのアトラクション。

 だって、目の前であっさりやられてくんだもん。


 そんなこんなで、するすると奥まで来ちゃった俺たち。

 そして、目の前に一見別な坑道の入り口に見える大きな穴が見えてきた。


 「ここじゃ。この穴をふさいでほしいんじゃ」


 バルトロさんの言葉に、土魔法を使える面子がさっそく魔法をかけようとする。


 「ちょっと待った! ここは、迷宮(ダンジョン)側に一歩入ったところから地面を浄化しておかないと、あのゾンビたちが土壁をひっかいて、そのうち壁に穴を開けてしまう。霊気の道を消しておかないと、今回の騒動の二の舞になる」


 早見さんが、穴の奥を睨みつけながらそう言った。

 あの~それって霊能者としての判断ですか? 俺、霊気の道なんて“視えない”けど、早見さんはそのぉ……“視える”わけですね?

 とはいえ、そんなこと言われても困るっていうのが、正直な心境。


 「そもそも、おかしいとは思わないか? 最初に魔物が現れた時は、普通に小鬼(ゴブリン)とか出てきていたというんだろう? なら、なぜ今出くわすのが不死者(アンデッド)、それもゾンビばかりなんだ?」


 あれ、そういやそうだな。

 なんでだろう?


 「……これは推測なんじゃが、迷宮(ダンジョン)のほうに、何か起こったのかもしれん。それで、迷宮(ダンジョン)がゾンビどもに乗っ取られた形になっとるとかな」


 バルトロさん、それ、すごい嫌な推測なんですけど……


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