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勇者として異世界召喚されたんだが、巻き込まれて一緒に召喚された人が実はヤバかった件  作者: 鷹沢綾乃
Act.5 少しずつでも近づいて

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06.いろいろフォローしてくれる早見さん

 なわけで、宿に戻って夕食もそこそこに、作戦会議となった。


 「でも、作戦も何も、私たちは直接見てないのよ。早見さんが伝えるイメージで、なんとなくわかったような気になっているだけだわ。それじゃ、作戦も何も、ないと思うのだけど」


 水谷さん、さすが冷静。

 でも、次に出会ったときには、まず本番だと思うんだ。絶対、予兆が出たときに『どうぞ頑張ってください』ってことになると思うもん。


 「早見さん、責任取って、作戦考えてよ。わたしたちじゃ、うまくまとまんないもの」


 土屋さんが、早見さんのほうを見て、口をとがらせる。

 確かに、俺たちじゃうまくまとまらんかも。ほんとに、早見さんがいなかったら、俺たちダメダメだったんじゃねって思う。


 「実際そうだよな。オレたち、ほんとに戦えるのか、よくわかってねーんだから」


 火村、素直すぎるぐらい素直にぶっちゃける。

 でも、早見さんが言ったなら、戦えると思うんだよね。ダメそうなら、絶対言いださなかったと思うし。


 「大丈夫。君たちは戦えるよ。僕が霊力付与(エンチャント)したんだ、あの武器なら、あの化け物を切り裂ける」


 早見さんが、にこやかに言い切った。

 そして、さらにこんな風に付け加える。


 「僕も、あれに霊能力を使って、何とか動きを封じられないか、試してみるよ。うまく動きが封じられたら、その間に思いっきり攻撃したらいい。水谷君は、今のうちに、光魔法で<レーザー光線>が使えるように練習したらいいと思うよ。イメージは十分掴んでるはずだし」


 言われた水谷さん、珍しく眉間にしわを寄せる。


 「そう簡単に言わないでほしいわ。コツをつかむのって、結構大変なのよ」

 「ぼんやりとしたイメージだと難しいかもね。そもそも“レーザー”って、略語なんだから」

 「「「「略語?」」」」


 思わず、全員が聞き返す。


 「“レーザー”って単語がなじみ過ぎてるせいかもしれないけど、あれは『Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光増幅放射)』の頭文字をとったものだ。つまり、一直線に飛ぶように増幅させた単一光なんだよ。人工的に作り出された光線ってことだね。それを念頭において、考えてみれば?」


 いきなり早見さんが、英単語の羅列をしゃべった。つまり、それがレーザーって単語の大本らしい。

 ……法学部卒のわりに、いろいろ知ってるじゃん。何か知識チートがないか聞くと、『法学部卒にどうしろと?』って逃げるくせに……


 「言っとくけど、この知識は仕事を通じて知り合った技術者(エンジニア)の人に、雑学として聞いたのを覚えていただけだからね」


 それを聞いて、俺を含めた全員が、チベスナ顔になる。

 なんでこの人の周りって、都合よくそういう知識を持った人がいるわけ?

 ほんとにそういうツテ、あるんだろうね?

 早見さんはというと、苦笑したままだ。


 でもまあ、レーザーが出せるようになったら、攻撃以外でも、いろいろ便利かも。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                         

 というわけで、翌朝、次に出現するまでの合間の時間ということで、迎え撃つ準備をすることになった。

 町はずれの、ちょっとぐらい派手目に魔法を使ったりしても、影響が出ないところで、水谷さんはレーザーが出せるかどうか試し、俺たちは武器を扱う練習を始めた。

 ちなみに、例の教会からは、ほぼ反対側になる。


 武器をふるいながら、横目で水谷さんの様子を見る。……まだ、<光珠(ライトボール)>出してるだけだな。

 あれ、レーザーになるのかね。

 で、早見さんは一時どこかへ行ったと思ったら、しばらくして戻ってきた。

 そして、昼時になったのを見計らって、声をかけてきた。


 「お昼だよ。休憩しよう」


 そういって、草の上に布を敷くと、シレアの町で最後に持たせてもらったお弁当を入れた編みかごを人数分出す。

 あれ、もしかして、お弁当……?


 「それ、シレアの町でもらった弁当箱じゃねーか。それに、何が入ってるんだ?」


 さっそく布の上に座った火村が、興味深そうに手を伸ばす。


 「全部同じものが入ってるから、どれをとっても同じだよ。お茶も入れてもらったから、さっそく食べよう」


 言いながら早見さんは、空間収納(イベントリ)からポットを取り出すと、やはり空間収納(イベントリ)から出したマグカップっぽい器にお茶を注いでる。

 ……便利に使ってるな、空間収納(イベントリ)

 俺も一つ受け取って、ふたを開ける。

 ……これって、いわゆる“ピタパンサンド”ってやつでは?


  「ああ、このあたりの人たちは、外にもっていく食事として、こういうのを持っていくんだそうだ。僕も、これを見た瞬間、『ピタパンだ』って思ったものね」


 薄めの袋状のパンの中に、具材を詰めたお弁当。中には、ちょっと厚めに切った肉切れと、ゆでたピンクと白のカリフラワーに似た野菜。それにオリーブオイルに似た油がかかっていて、塩も振ってあるっぽかった。

 一口かじったら、なかなかいけた。うん、俺、こういう味、好きかも。

 俺だけじゃなくて、ほかの面子もおいしそうにパクパク食べている。

 本当に、ゆっくり休憩出来た。


 その後、もうちょっと粘ってから、暗くなる前に宿へ戻る。

 水谷さんは、まだレーザーをものに出来てない。まあ、一日で出来るようになれるわけないよなあ。

 でも、なんとなく見えてきたものはあるらしい。まあ、レーザーポインターが水谷さんの世界にもあるそうだから、イメージは湧きやすいんだろうね。

 ちょっとしたSFなんかだと、武器、レーザーガンだったりするもんな。あれ、イメージしてもいいよな。


 夕食を宿で食べ、それぞれの部屋で休みながら、明日のことを考え、休む。

 ベッドに入っても、なんとなく目がさえちゃって寝付けない。

 真ん中に挟まれてるはずの、火村のヤツはすでにぐっすり寝ている。ちょっと寝息がうるさい。

 すると、火村の体をぴょんと飛び越えて、クリスが俺のところへやってくると、俺の胸元に乗っかってくる。

 あ、これは……


 (寝られないのなら、少し話をするかい?)


 そういうことになるんじゃないかって思ってた。


 (まあ、安心させる意味もあるから。実際に立ち向かうことになっても、僕がフォローするから、()()は起こらないよ)


 あ、やっぱり。それで、早見さんはどういう作戦で行くつもりなのかな。


 (相手の動きを止める。やろうと思えば、まず出来る。だから、僕が動きを止めている間に、出来る限り攻撃するんだ。手数で落とせばいい)


 ……やっぱり、出来るんだ。そうじゃないかな~とは思ってた。


 (だから、水谷さんの活躍場面を作ろうと、レーザーで攻撃出来るように頑張ってもらってるけど、間に合わなかったら間に合わなかったでいい。被害が出るより、つぶすほうが先だ)


 あ、やっぱりそう思ってるんだ。だよね……

 とにかく、寝よう。


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